「スポーツが楽しめる社会」を未来へ繋ぐ!スポーツ用品販売大手アルペンのサステナブルへの取り組み

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東京ウォーカー(全国版)

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環境問題に対する意識が高まるなか、さまざまな企業がサステナブル(持続可能)な社会の実現へ向けた取り組みを進めている。

スポーツ用品を取り扱う「アルペン」や「スポーツデポ」、ゴルフ用品専門の「ゴルフ5」、アウトドア用品を販売する「アルペンアウトドアーズ」など392店舗(2021年8月時点)を運営する、スポーツ・アウトドア用品販売大手の「アルペン」(愛知県名古屋市)もその一つだ。

同社は2020年2月より 「Alpen GREEN PROJECT(アルペングリーンプロジェクト)」 と、 「Alpen DREAM PROJECT(アルペンドリームプロジェクト)」 というサステナビリティに関する2つのプロジェクトを始動させた。

そこで今回、同社のサステイナビリティ推進プロジェクト サブリーダーの柴田利佳氏に、その具体的な内容や、今後のビジョンについて話を聞いた。

株式会社アルペン サステイナビリティ推進プロジェクト サブリーダー・柴田利佳氏

スポーツができなくなる瞬間が、すぐそこまで迫ってきている

ーー サステナビリティに関する2つのプロジェクトをスタートさせた経緯を教えてください。
【柴田氏】私たちが取り扱っているのは、スポーツやアウトドアに関する商材です。しかし昨今の気候変動の影響から、「暖冬でスキー場がオープンできない」「酷暑により屋外で運動ができない」「自然災害の被害を受けてスポーツをする場所がなくなってしまった」など、スポーツをする機会を奪われる事態が頻発するのを目の当たりにしてきました。

スポーツができなくなる瞬間が、すぐそこまで迫ってきているのではないかーー。そんな危機感から、弊社の水野(代表取締役社長の水野敦之氏)が、サステナビリティの重要性を改めて認識し、社長直轄のプロジェクトとして発足しました。

【写真】名古屋市内にある、株式会社アルペンの本社ビル

ーー そこから、どのようにプロジェクトを進めていったのでしょうか?
【柴田氏】まずは社内で、「どんなサステナブルな社会を作っていきたいか」ということを徹底的に議論しました。その中でたどり着いた答えが、「すべての人がスポーツをもっと身近に楽しむことのできる社会を実現し、持続していくこと」だったんです。

次に、それを実現するために足りないことや、我々ができることを列挙して、1つずつ検討していきました。最終的に2025年までの達成を目指した10項目の目標を掲げて、2つのプロジェクトを立ち上げることになりました。

ーー 2つのプロジェクトについて教えてください。
【柴田氏】まず1つ目が、スポーツができる自然環境を守り続けるための 「Alpen GREEN PROJECT」 です。しかし、スポーツが楽しめる環境を守れたとしても、スポーツの本当の魅力を知っている人がいなければ意味がない。そこでもう1つが、スポーツ愛好家を次世代に育んでいくための 「Alpen DREAM PROJECT」 です。

前述の10項目のうち、1から8までが「Alpen GREEN PROJECT」、9・10が「Alpen DREAM PROJECT」に該当します。

2025年までに達成を目指す10項目(アルペン公式Webサイトより)

捨てられるアパレルを1枚でも減らしたい

ーー 10項目のなかで、「アパレル回収」に関する取り組みは早い段階からスタートされていますよね?
【柴田氏】そうですね。「捨てられるアパレルを1枚でも減らしたい」という思いで、衣類回収プロジェクト「BRING」と連携し、まずは2020年2月に「アルペンアウトドアーズ」を中心とした18拠点でスタートしました。今年5月からは、目標に掲げたアルペングループ全店舗でのアパレル回収開始を実現しました。

本社に設置されたアパレル回収BOX。アルペングループ全店舗に設置してある

ーー どういったものが回収の対象になるのでしょうか?
【柴田氏】基本は衣類のみで、当社で購入した商品でなくても大丈夫です。下着や汚れているもの、濡れているもの、革製品などはお断りさせていただいています。当社で販売している商品を例に挙げると、靴下やスニーカー、カバンなどはNGになりますね。

ーー アパレル回収を開始して、お客様からの反響はいかがですか?
【柴田氏】アウトドア愛好家の方は環境意識が高い傾向があるため、プロジェクト開始当初から回収を始めていた「アルペンアウトドアーズ」での認知度は高まってきています。そのほかの店舗に関しては、今年5月に回収をスタートしてから3カ月ほど経過したところですので、お客様への周知はまだまだこれからですね。

環境に配慮した店舗運営を目指して

ーー 店舗運営においては、どのような取り組みを行っていますか?
【柴田氏】目標1で「CO2の排出量を40%削減する」と掲げており、まずは全店舗の照明をLED化しました。また、今年8月には「スポーツデポ・ゴルフ5 千葉ニュータウン店」(千葉県印西市)の店舗屋上に太陽光発電設備を取り付け、再生可能エネルギーの導入をスタートさせました。

スポーツデポ・ゴルフ5 千葉ニュータウン店の屋上

ーー 目標5で「商品在庫を20%削減」とありますが、これはどういった内容ですか?
【柴田氏】「商品の在庫量を作りすぎない、仕入れすぎない」ということですね。特に仕入れに関しては「適切なタイミングで、適切な商品を、適切な量仕入れる」という点に力を入れており、判断のためのミーティングは役員を含めて毎週行なっています。これにより、過剰な在庫を抑制でき、売り場に並ぶ商品数も適切な量になりつつあります。

「エシカル消費」で寄付付きTシャツの販売も好調

ーー 取り扱うアパレル商品も、環境に配慮したものを増やしていく予定だそうですね。
【柴田氏】はい。目標4に「アパレル商品の30%以上を環境にやさしい商品に切替」と掲げている通り、環境に配慮した商品の比率を高めていきたいと思っています。これは仕入れ先であるナショナルメーカーさんとも情報交換をしながら進めています。

ーー そういったサステナブル商品に対して、お客様の反応は?
【柴田氏】昨今の環境意識の高まりを受けて、ファッション業界でも「エコファッション」や、社会や環境に優しい商品を購入する「エシカル消費」がブームになりつつあります。あるデータでは、消費者の6割くらいはエシカル志向があると言われているそうです。

実際、「アルペンアウトドアーズ」の店舗で国立公園への寄付金付きのTシャツを販売したところ、通常の売価に寄付額が上乗せされているにもかかわらず、売れ行きは好調でした。特に若いお客様の間で、エシカルに対する意識が高まっていると感じています。

アルペンアウトドアーズ フラッグシップストア 柏店(千葉県柏市)

ーー 自社製品においては、どのような取り組みをしていますか?
【柴田氏】目標3で「自社ブランド商品に付随するプラスチックを70%削減」と掲げています。まずは製品を梱包しているパッケージ類に目を付け、そこからプラスチックの削減に取り組んでいるところです。そもそもビニールなどで包む必要がなさそうな商品は裸での陳列に切り替えるなど、本当に少しずつなのですが…。今年の秋冬シーズンくらいから、そういった商品を売り場で手に取っていただける機会も多くなるかと思います。

現段階では、パッケージの素材もすぐに変えられるものとそうでないものがあったり、代替品が見つからないようなものもあり、情報収集しながら推進しています。

スポーツは人生を豊かにしてくれるもの

ーー サステナビリティに関する取り組みに、従業員の皆さんはどのような形で参加されていますか?
【柴田氏】プロジェクトの立ち上げ以来、有志で本社や店舗周辺の清掃活動などを行なっています。今年4月22日のアースデイ(※)には、出社社員163名で本社周辺を、全国の店舗総勢637名にて各店舗周辺の清掃活動を実施しました。

アースデイでの清掃活動の様子

一方で、エコやサステナブルの観点をビジネスの中でどう取り組んで、どう伝えていくかというのは難しく、まだまだ従業員の理解度を高めきれていないという課題も感じています。

当社は、お客様と直接接点を持つ場がありますので、従業員がサステナビリティの意味や商品情報などを正しく理解し、お客様へ伝えられるようにしていきたいと思っています。

ーー コロナ禍では、プロジェクトの進行や店舗運営にどのような影響がありましたか?
【柴田氏】「Alpen DREAM PROJECT」で、子供たちがスポーツの魅力に触れるイベントなどを提供する予定だったのですが…。実際のところ、企画はほとんど進んでいません。

一方で、屋外で密を避けながら楽しめるという理由から、スポーツやアウトドアに親しむ人が増えたことは実感しています。当社としても、特にゴルフやアウトドアの分野で、売り上げが非常に好調に動いています。外出自粛が長引くなかで、改めて「身体を動かしたい」という根源的な欲求を感じる人が増えて、健康志向も以前より高まっているのではないでしょうか。

どんな情勢のなかでも、スポーツは人生を豊かにしてくれるものです。スポーツを身近に楽しめる社会が続くよう、我々もこの活動をどんどん進めていきたいと思っています。


(※)アースデイとは、地球環境について考える日として提案された記念日のこと。1970年にアメリカでスタートし、現在は約180カ国で開催されている

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