ボードスポーツの二刀流・平野歩夢のスタイル「苦労や不安もあるが、そんな経験ができるのは自分だけ」

東京ウォーカー(全国版)

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ボードスポーツの二刀流・平野歩夢が抱く強い思い、そして葛藤

東京オリンピックで初の正式種目となったスケートボード。競技として今、新たなブームが到来している。そんなスケートボード競技に冬季オリンピックのメダリスト、平野歩夢選手が出場し、多くの話題を呼んだ。スノーボード競技で2大会連続メダルを獲得したトップ選手が、なぜ『二刀流』という選択をしたのか。東京オリンピック出場前、アメリカ遠征中の平野選手に話を聞いた。
※本稿は 『Two-Sideways 二刀流』 (KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

二刀流挑戦を宣言

【画像】スケートボードとスノーボード、似て非なる2つの競技

二刀流宣言。それは平野歩夢にとって、自分自身との戦いの宣言でもある。

「誰もやっていないこと」

平野が繰り返してきた言葉だ。彼がスケートボードとスノーボード、両方の競技でオリンピックを目指すと宣言したのは2018年11月。2014年、弱冠15歳でソチオリンピックの銀メダリストに輝いたのに続き、平昌オリンピックで2大会連続の銀メダルを獲得してから、9カ月後のことだ。会見の場で残した「同じタイミングで始めた競技。オリンピック種目になってしまった以上は、スルーするわけにはいかない」という言葉も印象的だった。

2020年(当時予定)に開催される東京オリンピックでスケートボード、2022年の北京オリンピックでスノーボードへの出場を目指すこの挑戦。これまで、夏冬の両オリンピックに出場したことがある日本人は4人しかいない。

スケートボードを始めたのは4歳のときで、スノーボードよりも半年早くスタートしている。二刀流宣言は今回が初めてではない。小学2年生のときに、天才スケートボード少年として取り上げられたテレビ番組では「スノーボードとスケートボードの世界一になりたい」とコメントを残している。スルーするわけにはいかないのだ。

本人が「サッカーとバスケットボールくらい違う」と語るほど、実は2つの競技は異なるものだ。平野のスノーボードでのライバルであり、オリンピックで3度金メダルを獲得しているレジェンド、ショーン・ホワイトでさえも、途中で断念せざるを得なかった前人未到の挑戦である。

平野はトレーニングの一環としてスケートボードは取り入れていたものの、競技としてのスケートボードからは10年以上離れていた。しかも通常のオリンピックであれば、4年の準備期間があるが、二刀流となると単純計算でも半分になる。もちろん、両者を同時に練習しなければいけない期間も出てくるし、出場する大会のスケジューリングなども段違いでシビアになる。もしかすると、スノーボードで金メダルを取ることよりも難しいかもしれない。

「スノーボードだけ極めていくほうがラクだとは思うんです。宣言当初はそもそも実現できる要素もほぼないような状態だったし、知らない世界に飛び込むこと自体に不安はありました。でもチャレンジとは、そもそもそういうものだと思う。失敗をしていくこと、それを積み重ねていくこと。それを自分の糧にする」


原動力となっているのが、冒頭の「誰もやっていないこと」という言葉だ。これまでにも、日本人初となるスノーボード競技のメダリストに輝き、ソチオリンピックでは15歳74日という冬季オリンピック種目の日本人として最年少メダリスト記録も打ち立てた。世界で初めて、ダブルコーク1440(縦2回転+横4回転)を連続でメイクしたのも平野だ。

「昔から自分にしかできない表現というものにこだわってきました。そういう意味では、この二刀流というのは自分にとってすごく大きい。もちろん苦労や不安もたくさんありますが、そんな経験ができるのは二刀流に挑戦している自分だけ。スノーボードだけを続けていたら、スケートボードに挑戦することで感じる不安や、自信のない部分って味わえないと思うんです。またチャレンジャーの立場でゼロから上を目指すことで、今後スノーボードに戻るうえでも初心だったり、挑戦だったり、そういう面にも再び意識が行くようになるのかなという期待もあります」

二刀流に取り組むことによって、新しい世界を見てみたいという思いは強い。スノーボードでは世界のトップ選手として不動の地位を得ている現状に満足せず、つねに〝もっと〞を追い求める。そんな求道的な姿勢も平野の魅力のひとつ。滑りだけでなく、その生き方もチャレンジの連続だ。

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