2日目のカレーに潜むイケメンの正体は擬人化された食中毒菌!?ヘルス・グラフィックマガジンを深掘り

2021年11月17日 18:00更新

東京ウォーカー(全国版)

Twitterで
シェア
Facebookで
シェア

キラキラと華やかな誌面から笑顔を投げかける8人のイケメンたち。美少年系あり、いなせなお兄さんあり、シャイなメガネ男子あり、「怖いくらいに、個性派ぞろい…」のキャッチコピーに「これはなに?新手の恋愛ゲーム?」と思わされるが、よくよく見れば「『2日目のカレー』に潜むぜ」「子どもとジジババは牛に気をつけな」「傷のある手で触るなよ」「トイレ行ったら手を洗えよな」など不穏当なセリフが。

これが噂のドクメン8。ハートをわしづかみにする魅惑的なビジュアルに惑わされると、痛い目にあわされるのだ


これ、実はアイセイ薬局が発行する健康情報誌(フリーペーパー)「ヘルス・グラフィックマガジン」の「食中毒」(6月15日発行)をテーマにした号の1ページ。ウェルシュ菌やカンピロバクター、黄色ブドウ球菌など私たちの身近にある食中毒菌※8種を擬人化し、「食中毒菌・ドクメン8」として紹介している。パッと目を引くビジュアルに、食中毒菌の特徴を端的に表現したセリフ、さらによくいる場所や症状など食中毒をわかりやすく解説する。
※同誌では食中毒を起こす細菌やウイルス、寄生虫などの病原体をまとめて「食中毒菌」と総称している。

こんなチャレンジングな誌面を作る「ヘルス・グラフィックマガジン」とは、いったいどのような情報誌なのだろう。編集長・門田伊三男(かどたいさお)さんにお話を伺った。

ドクメン8が掲載された「食中毒」の号。石像が食中毒を象徴的に表現する


「デザインの力」でわかりやすく魅力的な冊子に

今年11周年を迎えた「ヘルス・グラフィックマガジン」は、発行部数15万部の季刊フリーペーパー。アイセイ薬局グループの店舗や病院、クリニックなどの医療機関、フィットネスクラブ、図書館、フリーペーパー専門店など全国600拠点以上で入手することができる。

門田編集長は「『予防医療のための有益な情報や、セルフケアに役立つ健康情報』を、当社の強みである『デザインの力』を発揮して、わかりやすくて魅力的な冊子にしてみてはどうだろう?と考え、企画したのが『ヘルス・グラフィックマガジン』です。薬局の待ち時間に読めるフリーペーパーとして2010年10月に創刊に至りました」と誕生の経緯を振り返る。

ヘルス・グラフィックマガジンの特徴は、なんといってもそのビジュアル。ドクメン8のように工夫を凝らした表紙や誌面は「なにこれ?」と目を引き、手を伸ばしたくなる。

「よくある医療情報や健康情報は『カタい』『むずかしい』『つまらない』ものが多いです。せっかく役に立つ情報を掲載していても、まずは読んでもらわないと何も伝わりません。そこでヘルス・グラフィックマガジンは、思わず手に取ってみたくなるような表紙をはじめ、多彩なグラフィック表現で“正しく・わかりやすく・楽しく伝える”ことにこだわって制作しています。薬局に立ち寄ることがない人にも健康情報を届けたい、と考えています」というのが編集方針だそう。

「食中毒」号の裏表紙。キャラ弁の表情が、いかにも食中毒を招きそうなヤバさだ


SNSで大人気!もっと知りたいが遠ざけたいドクメン達

そして冒頭のドクメン8。SNSで話題になるなど、注目度もインパクトも抜群だ。なぜ食中毒菌を擬人化しようと考えたのだろうか。門田編集長は「食中毒菌は名前も覚えにくく見た目も似ているので、擬人化することでそれぞれの特徴を明確にし、印象を強く残すことを狙いました」と話す。

だが、人間にとって食中毒菌は怖い食中毒をもたらす「敵」。編集会議でも当初は悪者っぽいキャラクターにする案を検討していたそうだが、「過去に似たような方向性の企画があったのと、コア読者層である40代女性に訴える表現にしたいと考え、検討を重ね行きついたのが『イケメン化』でした」と教えてくれた。

「ドクメンと象徴的なアイテムを絡め、やや上から目線のコメントで個性を際立てています。危険なのに憎めない、もっと知りたいが遠ざけたい、そんな味わい深いキャラを目指しました。『ドクメン8』という名前もあえてユニット名っぽくすることで、覚えやすさを意識しています」

イケメンぞろいのドクメン8は、読者の推しキャラも多様だ。特に人気のキャラを聞いてみると、「『ウェルシュ菌とサルモネラがタイプ』『サルモネラがメガネ男子で好き』など、SNSで推しキャラについてコメントをいただいていましたが、特に『サルモネラ』の人気が高いようです」とのこと。ちなみに門田編集長の推しメンはカンピロバクター。「何とも言えない鶏の持ち方が気に入っている」のが理由だそう。

「もれなく下痢が付いてくる」とSNSで話題に

ドクメン8が話題になったのはTwitterから。「読者がTwitterで『薬局でもらった冊子。真面目なものかと思いきや食中毒擬人化されてた。ドクメン8どれと付き合ってももれなく下痢がついてくるよ。』と紹介してくださったことがきっかけで、バズりました」

さらにSNSでは盛り上がりを見せ、「ただ菌が書かれているより読みやすい」「タメになるし面白い!」「調理師試験を控えている私にとって最高の教材」「食品関係の仕事なので職場で広めたい」といった好意的な感想や、過去に食中毒でつらい経験をした方から「私、ノロさんと付き合ったことがある」「彼けっこうしつこいから、もう付き合いたくない」といったコメントも。なかにはアニメ化希望の声もあったのだとか。

その結果、「『ドクメン8』の人気を受けて『食中毒』号の発行前と比べると定期購読者数が2倍以上に増え、コーポレートサイト内の冊子閲覧ページでは、アクセス数が約20倍になりました」と、爆発的なヒットを記録したそう。

「これまで表紙が話題になることはありましたが、中のコンテンツがバズったのは今回が初めて。中面が話題になったおかげで多くの人に読んでいただき、冊子目的で店舗に足を運んでくださったりしました。webユーザーの方と実店舗を紐付けられたという意味では、今回の号が最も反響があったと思います」

目を引くビジュアルで健康情報をわかりやすく

食中毒予防の手洗いのコツをわかりやすく伝える「ピカピカ2度洗い」。長めの1回より短めでも2回のほうが効果的なのだ

ドクメン8はそのインパクトからSNSで話題になったが、そのほかのページも必見。「食中毒」の号では近年大人気のBBQに潜む危険を強烈なキャラで解説した「ワイルダー一味の危ないバーベキュー」や手洗いのポイントをわかりやすく伝える「ピカピカ2度洗い!」など、目を引くビジュアルを交えて掲載。専門用語や堅苦しい説明なしに、今すぐ役立つ健康情報を伝えている。

こちらは同じ「食中毒」の号の「ワイルダー一味の危ないバーベキュー」。見るからに危なそうな面々がバーベキューに潜む危険な行為を、身をもって解説する

「潔」「熱」「冷」。食中毒予防の3原則も、一目瞭然


「中面は特にフォーマットなどを設けず、毎回アプローチを変えて制作しています。健康や薬に関する情報は、専門用語や疾患名など難しく感じる言葉が多く、堅苦しく近寄りがたいイメージを持たれがちです。そこでキャッチーなコピーやイラスト・写真を効果的に使用することで、細部まで読み込まなくても感覚的に理解できたり、飽きることなく読み進められる効果を狙っています。毎回新しい見せ方を考えなくてはならないので大変ですが、何とかネタ切れにならないようにがんばっています」と門田編集長。1冊発行するまでに約半年、編集会議を重ねて内容を練っていくのだそう。

表紙のインパクトもハンパない

そしてヘルス・グラフィックマガジンもう一つの主役が表紙。たった1枚のビジュアルで人目を惹き、冊子を手に取らせるという重要な役割を担っている。昨年創刊10周年キャンペーンの一環として「表紙総選挙」を実施したところ、見事1位となったのは「鼻炎」だった。

創刊10周年キャンペーンの一環として行われた「表紙総選挙」で1位に輝いた「鼻炎」。美しい滝の写真だが、鼻炎にしか思えなくなってくるのが不思議だ


投票した人からは「自然に癒されながらにして鼻炎を思わせる…サイコーです!笑」「かつてこんなに美しく的確な鼻炎の表現があっただろうか」「直接的なビジュアルではないのに鼻炎にしか見えません!!空耳アワーのような表現がとても好き」といったコメントが寄せられた。ちなみに2位は「夏バテ」、3位は「頭痛」という結果だった。

こちらは第2位の「夏バテ」。白熊のユーモラスなポーズにクスリと笑えると共に、なぜか共感もわいてくる

3位「頭痛」の表紙。レスラーに頭を締め付けられるとは、なんという地獄。痛みが伝わってくるようなビジュアルだ


門田編集長は「どの号の表紙もお気に入りですが『下痢・便秘』号の表紙は大好きです。表紙写真は海外のカメラマンさんの作品で、名前がBEN ZANKさん。“便”と“BEN”。偶然なのですが、まさにこの号にピッタリだと思いました。普段入れないのにわざわざクレジットも入れちゃいました。写真自体もシュールかつクオリティが高くてとても気に入っています」とお気に入りを明かす。内容的におすすめの号については、「正直全号ですね」と答えてくれた。

門田編集長のお気に入りは「下痢・便秘」。ユーモアたっぷりにテーマを伝え、「なんだこれは!」と手に取らせるインパクトがある


「年齢層や季節感でさまざまなテーマを扱っていますので、老若男女すべての方に参考にしていただければと思います。これからも有益な健康情報をポジティブかつ分かりやすく提供して、どんどん読者を増やしていきたいですね。また制作側の気持ちは読者にも必ず伝わると思いますので、これからも楽しんで作っていきたいです」

編集スタッフが楽しみながら作っているヘルス・グラフィックマガジン。手に取ればその言葉の意味がよくわかる。webサイトで読むことも可能なので、気になる人はぜひチェックを。

取材・文=鳴川和代

この記事の画像一覧(全10枚)

キーワード

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

ページ上部へ戻る