スタバ地元密着プロジェクト第4弾! “今”に輝く伝統工芸「津軽びいどろ」とコラボ
東京ウォーカー(全国版)
本州最北端の青森県・津軽地方を訪れたのは、東北地方が遅い春の空気に包まれ始めたころのこと。青森市内中心部からほど近くにある、北洋硝子がその目的地だった。
時代の移ろいから生まれた、美しき“津軽びいどろ”

宙吹き、型吹き、スピン、プレス、伸ばしといった多様な成形方法によって作られる北洋硝子の製品群は1977年、「津軽びいどろ」の名とともに今日のスタイルを確立し、青森県の伝統工芸品に指定されるに至った。そんな同社最大の強みはといえば、30色でも多いと言われるガラス製造業界において、100色を数えんとする圧倒的なカラーバリエーションを誇ることに尽きるだろう。

快く出迎えてくれた同社代表取締役の宮内幸一さんが手にしているのは、かつて定置網や刺し網などに使われていた漁業用の浮球(うきだま)。樹脂製に取って代わられる以前、ガラス製が当然だった時代に同社は、浮球の製造で名を馳せた1949年創業の老舗メーカーである。
「うちの浮球は丈夫で質が良いと評判でしたが、そのうち家電など、世の中の多くの製品にプラスチックが使われる時代を迎えました。そうした変化に対応するべく、浮球の製造技術を活かしながら、テーブルウェアをはじめとしたハンドメイドガラス製品の創作に方針転換をしたんです」


ガラスの着色は、例えば青色ならコバルトと銅、赤色なら胴と金とセレニウムといった具合に、発色性のある金属酸化物を主原料に混ぜ、溶解することで実現する。この中には北洋硝子にしか出せない色もあるそう。
“作る”だけで終わらない「JIMOTO made」シリーズ

時代の変化を乗り切り、卓越した技術と挑戦心でもって「津軽びいどろ」を築き上げた北洋硝子に、青森県・津軽地方のスターバックスで働くスタッフたちが集まってきた。そう、スターバックスが展開する「JIMOTO made」シリーズは今回、ここ青森県津軽地方が舞台なのである。
2016年の「江戸切子のオリジナルグラス」を皮切りに、店舗のある地域とのつながりを強く、深いものにしようと始まったスターバックス独自の取り組み。「JIMOTO made」シリーズの名のもと、日本各地で受け継がれる伝統技術や職人技を活かして作られた商品を、地元の店舗でのみ販売し、その商品を通じて地域の魅力を再発見・発信する、文化的な側面をもった意欲的なプロジェクトだ。


文化や風土の上に成り立つ地域性、作り手のたしかな技術と想いが込められた地域限定商品を作るだけにとどまらず、そこにある事実や背景を売る側のスタッフが理解することで、来店客にも“地域愛”や“情熱”をしっかり伝えられる好循環が発生する。「JIMOTO made」シリーズが目標とするところはまさにそこであり、制作現場でのスタッフ訪問を欠かさないのもそれが理由である。

講師と案内役を務めてくださったのは、取締役と工場長を兼任する中川洋之さん(県が“青森マイスター”に認定する凄腕の持ち主)は、スタッフのさまざまな問いかけに即答しながら、軽妙なトークで笑いも誘う。企業秘密と思える調合の数値も教えてくれるなど、そのオープンな姿勢もまた、職人としての自信があればこそだろう。

「私が若い時分は他の部門に移りたいと言ったら、「だったら会社辞めちまえ!」なんて先輩に言われたもんだけど、今はもうぜんぜん違います。なんでもやりたいという人は、8つある手法の好きなものにどんどんチャレンジすればいいし、反対に、向かない人に特定の手法を強いることもしません。何事も相性、職人は適材適所です。そうしたほうが、みんな楽しく働けますからね」
たくさんの若い人が職人として働き、休日の自主練も活発な、どこか自由な気風に満ちた北洋硝子の製造現場。中川工場長の話を聞き、なるほどと思わずにいられなかったが、すべてが思いどおりになるわけでは当然ない。箸置き作りで基礎技術を習得することが初めの一歩であり、プレスならプレスで、ひととおりの工程をこなせるようになることが求められる。そうしてはじめて、自分の希望がかなうのだ。まさに、ステップバイステップ。時代は移り変われど、職人の世界には特有の厳しさが連綿と続いている。そして、ここにいる若い職人たちは、そのことを自然と理解しているのだ。



工場内を初めて見て歩き、自分たちと同世代、あるいはもっと若い職人が黙々と仕事に励む現場の様子、その仕事ぶりに感動と感銘を受けたスタッフたちが、昂ぶりを抑えられないまま会議室に戻ってきた。その時点できっと気づいていたに違いないが、それでも、河上プロダクトマネージャーが段ボールを大事そうに抱えて登場すると、みんなの緊張感と期待が一気に高まった。その瞬間が、ついにやって来たのだ。
津軽地方の個性を映しだした4つのグラス

ガラス製の浮球に使われていた北洋硝子の「北」と、スターバックスのロゴが並んだ「JIMOTO made」シリーズの最新作。左から、弘前公園前店用の「津軽びいどろHIROSAKI」、青森ラビナ店・青森中央店・青森西バイパス店用の「津軽びいどろAOMORI」、青森ELM店用の「津軽びいどろGOSHOGAWARA」。津軽地方全体を表現した右端の「津軽びいどろTSUGARU」は、青森県・津軽地方のスターバックスで販売される。



スピンを自在に操る、若き職人の奮闘
今回の商品を手がけたのは、生産グループチームリーダーで、“スタバ好き”を自認する横山俊彦さんである。職人の家系に生まれた影響もあり、「津軽びいどろ」を生んだ北洋硝子で働くことを早くから決意。入社して以来スピン一筋、中川工場長も認める腕前をもった期待の若手リーダーだ。

「ロゴの見え方、色柄と透明な部分との割合を安定させるのも難しかったですが、デザインどおりの色柄を出すのがいちばんの難関でした。例えば白と青を使う場合、規格品はどこからでも同じに見えるよう1:1の比率なんですが、これらの商品はどれも独自の比率。「津軽びいどろTSUGARU」では雪をイメージした白が多いため、スピンでの成形に失敗すると他の色が偏ったりするんです。現物を見ていただければわかると思いますが、カレットをバランスよく散らすのには本当に苦労しました」
同世代の職人が「JIMOTO made TSUGARU」を完成させたと知り、ガラス作りと商品への興味がいっそう増したスタッフたち。「家族そろって大好きなスターバックスの商品を開発しているのに、言いたくても家族には言えないのがきつかったですね」と、横山さんは開発期間中の思いもよらぬ苦労話を披露してみんなを笑わせた。


回すスピードや時間さえ守れば、金型どおりの製品ができあがるように思えるスピン成形だが、簡単そうに見える作業の中にこそ、じつは職人の技が凝縮されている。同じスピンでも「津軽びいどろGOSHOGAWARA」は“線”で、他のグラスは“点”の色柄になっているが、温度によって変化するガラスの硬さはもちろん、混ぜるカレットの量と投入のタイミングなどの緻密な計算なくして、それぞれの色柄を実現するのは不可能だからだ。それを安定的に、商品のクオリティーで仕上げるのは、容易なことではない。
雪溶けと春の芽吹きを表現した「津軽びいどろTSUGARU」、雄大な津軽の海を表現した「津軽びいどろAOMORI」、新色のカレットで淡い桜を表現した「津軽びいどろHIROSAKI」、荒々しさと力強さが表裏一体の土地柄を表現した「津軽びいどろGOSHOGAWARA」。自分の手がけた商品が並んだ店に行くのが楽しみで仕方ないと言う横山さんの想いは、多くの人に届くことだろう。
北洋硝子とスターバックスの不思議な縁!?

地場の伝統工芸品である「津軽びいどろ」が、青森県・津軽地方を舞台にした「JIMOTO made」シリーズのパートナーになったことは、ある意味で当然と言えなくもない。だが、そこには説明のつかない巡り合わせ、不思議な縁があったこともまた事実だ。
「東京の展示会で5年ほど前、スターバックスの方と名刺交換をしたんです。それは本当に交換でしかなくて、うちみたいな田舎の会社と仕事をすることはないと思っていました。そうしたら去年の6月、スターバックスさんから突然連絡がきて、これは何事かと。まさかこんなことが起きるなんて、びっくりするやら嬉しいやらで」

研修の終わりに、どこかはにかみながら、しかし、大きな充実感を漂わせてそう話す中川工場長の隣で、先頭に立って開発に奮闘した横山さんが同じように、嬉しそうな表情を浮かべていたのが強く印象に残った。そして、今回の「JIMOTO made」シリーズに関わった北洋硝子の方たちに見送られ、「津軽びいどろ」の故郷をあとにしたのだった。【ウォーカープラス編集部】
取材・文=ヤマダマサノリ、写真=小林孝至
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