もっふもふでにっこにこ!幸せそうな“笑顔”を見せるホッキョクギツネがかわいすぎる
東京ウォーカー(全国版)
ホッキョクギツネといえば、白い毛に覆われた小さめの体、小さい耳と短い鼻づらから成る丸顔が犬のようにも見える、かわいらしい顔立ち。カナダやグリーンランドなど北極周辺のツンドラ、海岸地帯に生息するキツネで、夏と冬で毛が生え変わる種。夏毛は灰褐色だが、冬毛は降り積もる雪に紛れるとどこにいるのか分からなくなるほど白くなり、その立ち姿はかわいい雰囲気に加えて、気品さえ感じるほど神秘的でもある。
笑顔で迎えてくれる個体は旭山動物園だけ!?
そんなホッキョクギツネ、日本国内では3施設でしか見られない貴重な動物。そのなかでも、北海道の人気動物園「旭川市 旭山動物園」で暮らしているオスの個体は、なんとも特徴的だ!ベースである白に灰色が混じったような毛色で、特に顔の毛並みがユニーク。アイラインで目尻を延長したような柄があり、目を閉じるとまるで笑顔を振りまいたような表情になるなど、実に愛嬌のある顔立ちなのだ。
ちなみにホッキョクギツネの毛色は生息地域により変わるようで、冬でも白くならず、青灰色や褐色のままの個体もある。分類として“白色型”と“青色型”の2種類があると教えてくれたのは、園長の坂東さん。白色型は、冬は白色で夏は灰褐色(はいかっしょく)になる。対する青色型は、冬は青灰色(せいかいしょく)で夏は暗褐色(あんかっしょく)になるそうで、「白色型は全身が真っ白なのに対し、青色型は顔や首周りに灰色っぽい毛が目立ちます。現在飼育している個体は後者ですね」(坂東さん)
「2013年、オランダからやってきたこのホッキョクギツネと、検疫用の隔離施設で初対面した時は、みんなの目が点になりました」と坂東さん。白色のホッキョクギツネを想像して待っていたら、そこにはタヌキかと思うほど丸々とした愛嬌のある姿の個体がいたそう。
「ホッキョクギツネは、シベリアやアラスカ、カナダのほか、ヨーロッパにも生息しています。分布域が広く、多くの亜種があります。ただし、亜種による姿の差を明記した資料は見当たらなくて…。当時は“こんなホッキョクギツネもいるんだね”とみんなで強引に納得しました」(坂東さん)。今は青色型の個体にも見慣れたそうだが、過去に展示していた歴代の個体は白色型だったそうだ。
なお、この2つのパターンも地域により違いが見られるんだとか。例えばカナダ北部では青色型は全体の1%なのに対し、グリーンランドでは青色型が過半数を占めているという。
かわいらしい体躯は極寒の地で暮らす種ならではの特徴
ホッキョクギツネの体長は53~55センチ、尾長約30センチ。体重は3.1~3.8キロと、ほかの種のキツネに比べると小柄のほうで、主に日中に行動する。寒さにとても強く、野生ではマイナス50度以下を記録するような過酷な環境下で暮らしており、マイナス80度でも耐えることができるらしい。そのため、突起部がより少なくなるよう進化していて、耳は小さめ、鼻づらも短い。特に冬毛は深く密生し、ホッキョクグマと同じように足の裏までも毛で覆われている。冬は、小さく丸まりじっとしていることが多いが、これはなるべくエネルギーを消費しないよう、体力を温存しているからなんだそう。
旭山動物園のホッキョクギツネ舎は、生息地の環境を再現するため、岩場や飛び石を設置し、ホッキョクギツネの跳躍力を引き出すように工夫されている。「飛び石を伝ってくると間近で観察できるよう用意されたスペースがあり、ホッキョクギツネの夏と冬の毛の違いなど、より近くで観察できるようになっています」(坂東さん) 。
目を閉じていても笑っているかのようなハッピー顔のホッキョクギツネを見られるのは、冬毛の時期だけ。といっても北海道の冬は長く、例年、5月いっぱいくらいまでは白い毛のままで過ごしているので、機会があれば観に行ってみたい。また、夏毛に生え変わる途中や夏毛になってからも、人懐っこい犬やタヌキのように愛嬌のあるフォルムは健在なので、ほかの姿でも癒やされそうだ。
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