福岡から「バルサの10番」を!バルサアカデミーで九州初のジュニアユースが誕生

九州ウォーカー

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バルサアカデミー福岡校1期生の選手とスタッフ。「1期生として、今後入ってくる選手のためにもいい成績を残したい」と松下宙人(そらと)選手が意気込みを語ってくれた

バルサアカデミー福岡校が、九州初となるジュニアユース(U13)を設立し、この4月より始動する。バルサアカデミー福岡校は、スペインサッカーの名門FCバルセロナのカンテラ(下部組織)と同じトレーニングメソッドに基づいた指導が受けられるスクールとして、2009年に開校。以来、幼児・小学生を指導してきた同校だったが、設立から12年を経た今年、ついに中学生の育成も手掛けることとなった。

【写真】右から森本将司監督、ケン・オダ テクニカルディレクター、マネジメントも担当する尾形コーチ。彼らを中心に、トレーナー、通訳スタッフなどが選手をサポートしていく

福岡市西区にある「アメージングスポーツパーク福岡伊都」を拠点とし、FCバルセロナのスクール部門所属のスペイン人コーチであるケン・オダ氏、広島や山口で長年に渡りジュニアユースやユース世代を指導してきた森本将司氏を監督に迎え、運営される。今回はこのお2人と、設立に尽力したコーチ兼マネジメント担当の尾形氏に話を伺った。

――バルサアカデミー福岡で、ジュニアユースを設立することになった経緯を教えてください。

尾形コーチ:実は、3年程前からスクールだけでなく世界のバルサアカデミーで公式戦に出られるチーム作りをする方向への転換があり、より実践的な指導ができるようになりました。その流れを受け、福岡でもジュニアユースを目指したのですが、当初なかなか拠点となる場所がなく。ですがこの度「アメージングスポーツパーク福岡伊都」という自前のグランドも確保できたため、設立へと至りました。

また、これまでスクールを運営するなかで選手や保護者から「中学生も指導してほしい」という声をいただいていたことも、設立を考えるきっかけになりましたね。

日本でのバルサアカデミーのジュニアユース設立は、奈良、葛飾(東京)に続く3例目です。福岡での設立にあたっては、その2チームの活動がプロジェクトとしてうまくいっていることも、後押しになったと思います。ちなみに広島でもバルサアカデミーが今年5月に開校するので、3年後をめどにジュニアユース設立を目指しています。

ケンコーチ:FCバルセロナ側としても、小学生以降もバルサメソッドを提供できることがベストだという思いもあり、バルサ側からジュニアユース設立の許可が出たという経緯もあります。

――選手選考(2021年秋にセレクションを実施)の際、どのような基準で選抜をされたのでしょうか。

ケンコーチ:最も大事にしたのは、バルサのサッカーを表現できる、または表現できそうな選手であるかどうか、です。フィジカル的な要素というよりは、ゲーム中に起きていることを理解できているか、試合の中で優位なのか不利なのか、どういう戦い方をすればよいかなどについて、感覚的にでも気づけているかどうかを評価基準としました。

バルサのアイデンティティとして「ボールを持って主導権を握る」ことが最優先になります。選手がそういう気持ちを持っているか、そして“サッカーが好きかどうか”というのも確認しました。この“サッカーが好きかどうか”というのは、見てすぐわかる選手もいますが、何回か見ないとわからない選手もいます。そういう点からも、セレクションを2次まで設けたり、体験会を実施したりして選手を複数回見られる機会を作りました。来年度以降の選考についても同様の予定です。

また、バルサは「選手育成」にも力を入れているので、今後はもっと福岡校のスクール生からジュニアユースの選手を輩出できたらと思っています(1期生18名中スクール出身者は7名)。スクールからジュニアユースに上がってもらうメリットとしては、バルサのサッカーをある程度理解できているので、チームがより早く成長できるという点です。

――“バルサ式”のトレーニングについて、その特徴を教えてください。

練習は火・木・金曜に福岡市西区の「アメージングスポーツパーク福岡伊都」にて実施。トレーニングマッチ等は春日市の春日公園球技場で実施することも(写真は春日公園)

ケンコーチ:FCバルセロナのカンテラ(下部組織)と同様の、メリハリのある計画的なトレーニングを実施することで、より選手の成長を促せると思います。つまり、トレーニングだけでなく、しっかり休ませる時間を取るということです。

ここでいう“休む”とはフィジカル面だけでなく、精神面も含みます。できるだけ隔週を目安にオフの日を設けたいですし、1日の使い方も終日使うのではなく、基本的には半日で終えてサッカー以外の時間も大事にしてほしい。また、限られた時間でトレーニングをすることで“サッカーをしたい”という気持ちがより高まり、トレーニングの質も高まると考えています。

バルサでは「人間性」もとても大事にしていて、人間性を育成することで選手としても、またサッカー以外でも成功できる可能性が高まると考えています。そのためには、サッカー以外のさまざまな体験も重要です。

スペインから派遣されているテクニカルディレクターも練習に参加。気づいた点は、全体だけでなく選手個人にも積極的にアドバイスする

選手には、疲れている状態ではなく、常にフレッシュな状態で練習に入ってほしい。そのために、量ではなく質にこだわりながら、短期・長期の両面でしっかり選手のブレイクを作っていきたいと思います。なぜそのようなことができるのかというと、1回90分の練習のなかで、さまざまな要素が詰まったトレーニングをするからです。試合に近い形のトレーニングを用いて、選手として必要な動作や筋力、そして何よりも大事な判断力を養います。選手は終わったあと、頭も使っているのでとても疲れているはずです。そういったメリハリあるトレーニングにより、質を保てるのです。

サッカーのトレーニングにはいろいろありますが、バルサでは「アナリティック(反復練習)」ではなく、より実践に近い「グローバル」というメソッドを採用しています。この手法だと、選手は90分ほぼ止まることなく流動的に、いろいろな要素を同時に鍛えることができます。

また管理の仕方にもよりますが、こういったメリハリあるトレーニングにより、実際に奈良と葛飾のジュニアユースでは負傷率が下がったという報告もありますので、その点でもこの手法を踏襲していきたいと思っています。

――サッカー選手として、どのようなスキルを身につけるべきだと考えていますか。

ケン氏:1つアドバイスするとすれば、クリエイティブな選手に価値を感じています。「発想力」は、幼い頃から遊びのなかでも身につきます。公園でサッカーをして遊ぶなら、2対2、3対3、ゴールキーパーの有無などさまざまなシチュエーションでやってみるとよいでしょう。技術や戦術は後から身につけられますが、サッカーは一瞬のスポーツです。発想力やひらめき力を身につけていれば、イメージしたことを表現できる力が後の技術にも結びつくし、優れた選手に育つのではないかと思います。

例えば陸上は合図で走り出すスポーツなので、どうしてもフィジカルや筋力面で差をつけていかなければいけません。しかしサッカーでは、先に動いた者、先に気づいた者、先にひらめいた者が勝ります。なので、ひらめきは大事なのです。だからといって、フィジカルやテクニックが不要という訳ではありません。クリエイティブさに加えて、自分の特徴を伸ばすとよいでしょう。足が速い、身体が大きい、テクニックがあるなど自分の特徴を知り、それを生かした状況判断をできる選手が“一流”です。ですから、そこへ導いていく指導は必要だと思っています。

また、失敗を恐れない「チャレンジ精神」も大切です。失敗は自分なりの方法を編み出すきっかけになり、それが自信にもつながると思います。試合中は、最終的に各選手が判断します。臆することなくトライ&エラーができ、自信を持って判断できる選手が育てば、強いチームになると思います。

――選手たちに、どのようなモチベーションで日々の練習に励んでほしいですか。

森本監督:まずは、楽しんでワクワクしながらサッカーをしてほしいですね。“ふざける”“楽する”という方向の「楽しむ」ではなく、「全力でやる楽しさ」を感じてほしいです。やらされているより主体的にトレーニングをしたほうが吸収も早いと思います。

ケンコーチ:選手が毎回、楽しみに来てくれるようなトレーニングをしたいですよね。そうすれば、選手のモチベーションも上がると思います。それから、「バルサ」の一員であるという自覚を持って、ピッチ内外で謙虚な気持ちや振る舞いをしてほしいです。そして上手くいかない時も、バランスを保てるような精神的な強さを持ってほしいですね。

――バルサアカデミー福岡ジュニアユースとしての、今後の目標や展望を教えてください。

ケンコーチ:私自身もそうでしたが、選手にとってこの3年間は人生を左右するといっても過言ではないほど重要な時期だと考えています。なので、ジュニアユース卒業時に「人間的にも選手としても成長できたな」と思えるような3年間にしてあげることが目標です。

この年代からプロのような環境を提供できることが、バルサアカデミーのメリットだと思っています。メソッド、指導者、トレーナーなどの英知を集結してサポートしていきますし、スペイン遠征も準備しているので、そんな良い環境のなかで選手には育ってほしいですね。

森本監督:バルサアカデミーに入っている以上、最終的には選手にはカンプ・ノウ(FCバルセロナのホームスタジアム)を目指してほしいと思っています。10万人もの観衆の中でも、緊張感を持ちつつ、サッカーを楽しめるような選手になってほしいです。自分自身に期待して、でも自分に負けないように3年間をやりきってほしいですね。

尾形コーチ:福岡だけのことではありませんが、2023年1月に奈良に新拠点のグラウンドが完成します。会社(日本でバルサアカデミーなどを運営している株式会社Amazing Sports Lab Japan)として、近い将来、奈良で日本のバルサアカデミー各校の選手を集めたユースを展開していきたいというビジョンがあります。今後、バルサとも詰めていかなければなりませんが、ぜひ楽しみにしていてください。

スクール設立当初からの目標「福岡からバルサの10番」に、さらに近づくため設立されたジュニアユース。福岡県サッカー協会、九州クラブユースサッカー連盟に登録を終え、本格的に活動をスタートさせた新チームの活躍に期待したい。

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