コンペ受賞率9割以上!気鋭クリエイターによる「ありそうでなかった」を実現するアイデア発想法とは

東京ウォーカー(全国版)

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本に貼っていくと繁華街のネオン街が完成する付箋や、炎形の付箋を教科書や参考書などに貼ることで、嫌いな教科が炎上してしまう文具など、ユニークな作品をSNSで見たことがある人も多いはず。ありそうでなかったアイデアや、発想のコツを日々Twitterに投稿しているのが、アイデアクリエイターのいしかわかずやさん( @issikazu20 )だ。

身近なモノをデザイン性あふれる商品に変身させるいしかわさんは、IT企業でデザイナーとして働きつつ、趣味でデザインコンペに出品。その受賞率は9割以上という、実力派クリエイターだ。彼のアイデア発想術を知りたいと、Twitterフォロワーは3万人以上を誇る。

繁華街になる付箋


例えば、11万いいね、1.8万リツイートされた「繁華街になる付箋」は今、商品開発を進めている企画。「町なかで繁華街の看板を見た際に、付箋が本から飛び出ている風景と似ていたので、付箋と看板を組み合わせてみました」と、いしかわさん。第一弾を販売したのちに、反応がよければ展開案として台湾や歌舞伎町など町ごとにバリエーションを増やす予定という。

ちょっとの工夫でこんなに便利!共感と驚きを与えるアイデアの数々

いしかわさんは、サンスターの「文房具アイデアコンテスト」2年連続受賞 、「コクヨデザインアワード2020」ファイナリスト、「シヤチハタ ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション」3年連続受賞など多くのコンペで賞を受賞し、受賞率は9割以上に!先に紹介した「繁華街になる付箋」をはじめ「四角いガムテープ」「筆跡えんぴつ」など、Twitterでもバズったアイデアは数多い。

これから紹介するように、一から新しいものを創造するというより、すでにあるものにちょっとした工夫を加えただけですごく便利になったり、新しい視点が加わったりするのがいしかわさんの作品の真骨頂だ。

課題炎上付箋


課題炎上付箋は「コクヨデザインアワード2020」の最終選考に残った作品。教科書などで未解決の課題に付箋を付けていくが、貼れば貼るほど炎上して見えるので、焦って勉強を促す効果を狙ったもの。「難しい問題は炎も大きいので、勉強に取り掛かる優先順位もわかる仕様になっています。『消火』する事で勉強内容を『消化』することができます」(いしかわさん)と遊び心がおもしろい。

筆跡えんぴつ

1.1万いいねを獲得した「筆跡えんぴつ」 は「14thシヤチハタ ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション」の受賞作。3BやHBと書かれた鉛筆の硬度をより直感的に伝えるために、それぞれの筆跡をそのまま鉛筆に印刷している。「鉛筆という誰もが使うアイテムを題材にして、今までありそうでなかったアイデアを生み出すことができた事例です。みんなが『当たり前』だと思っていた部分を変えられたので、周りへの衝撃が大きかったと考えられます」

Tapemark

「Tapemark」は2020年に制作し、サンスターの「第25回文房具アイデアコンテスト」でグランプリを受賞。透明な梱包用テープの切れ目が溶け込んで分かりづらい問題を解決するために、本の”しおり紐”をテープの切れ目に挟み、すぐ見つけられるようにしておくというアイデアだ。「切れ目が分かる上に、紐を引っ張ることで簡単にめくれます。低コストで実現できることが強み。見た人からも『こんな簡単に解決してしまうのか!』と驚きの声を多数いただきました」

MY紙コップ

「MY紙コップ」は、22年の作品。周囲に数字が書かれていて、各自が重複しないように数字を決めたうえで折り目を付ければ、自分の紙コップがすぐ判別できる仕組み。「紙コップ単体で自分のものだとわかる印をつけるにはどうすれば良いか?を突き詰めた結果ひらめきました。誰もが経験したことのある課題をシンプルな方法で解決できた事例の一つです」

先に紹介した作品のほかにも、通常丸形のガムテープを四角形にして転がりにくくした「四角いガムテープ」や、「FUDE-MAKURA」「Cutter Line」「キラキラ画鋲」といった、ありそうでないアイデアを4つまとめてつぶやいたツイートは21万いいねを獲得。「なんで今までなかったんだろう?」という声が多かったという。

「バズることは意識しています。たくさんの人に自分のアイデアに共感して欲しいという気持ちがあるので、その反応を確かめる指標として、いいね数やRT数などの数字を参考にしています」といしかわさん。ちょっとした工夫で使いやすくなり、見たことがないモノに生まれ変わった商品は、斬新さ、おもしろさがいっぱいだ。

アイデア誕生に必要な3つの習慣 いしかわ流の発想法

いしかわさんは、Twitterで自身のアイデアを具現化した商品の紹介だけでなく、発想のコツも惜しみなく披露している。では、どのように考えればいいのか、いしかわさん流の「アイデアが生まれる3つの習慣」を聞いてみた。

(1)リラックスしている環境で考える「~ながら発想」

リラックスできる環境で考える

「まずアイデアというのは、プレッシャーを感じていない状況=リラックスしている環境で生まれます。一番自分がぼーっとしている時間に頭を使うと短い時間でアイデアが生まれたりします。また、体を動かしながらの方が脳もリラックスしているので、散歩をしている時や、電車で移動している時、お風呂に入っている時に頭を使うことをオススメしています。アイデア発想の時間を別で確保する必要もないので、時間的効率も上がります」

(2)既存のモノを疑う「完成形じゃないと思い込む」

既存のモノを疑う

「アイデアは、人とかぶってしまうとその時点で評価されなくなってしまいます。なので、考えるときは『人が考えなさそうなところで考えること』が重要になってきます。人は当たり前だと思っている事には頭を使いません。逆にその当たり前の部分を掘り下げてみると、人がまだ開拓していない領域で考えることができます。すると、今まで見えてこなかったアイデアの兆しが見えてくるので、突き詰めると『ありそうでなかったアイデア』が生まれます」

(3)既存のモノを少し変える「UPDATEする」

既存のモノを少し変える

「既存の製品の課題点を見つけたら『少し変えてそれを解決する』ということを行います。例えば、『定規は15センチである必要があるのか?』という疑いをもった後に、『定規の長さをポストの投函口と同じ長さにしたら便利じゃないか?』と考えたり、『付箋は四角い必要があるのか?』と疑った後に、『サメの背ビレにしたらかわいいんじゃないか?』というふうに考えたりします」

あらゆる人にアイデア発想の楽しさを伝えたい

いしかわかずやさん。現在、アイデアを生み出せる発想法のコツや、アイデアが生まれるようになる習慣を紹介する本を執筆中。2022年秋ごろに上梓予定

ここに挙げた「アイデアが生まれる3つの習慣」をはじめ、多くの人と独自の発想法を共有したいと考えるいしかわさんは、2022年秋ごろにオンラインコミュニティを開設予定だ。「みんなが最強のアイデアマンになれる『アイデア発想コミュニティ』を考えています。今まで培ってきた独自の発想法や考え方をすべてメンバーの皆さんに伝授し、ありそうでなかったアイデアをみんなが生み出せるようになるコミュニティです」

そこでは、発想法を勉強する以外にも「アイデア出しのワークショップの実施」や「デザインコンペの開催」、「コミュニティで生まれたアイデアをクラウドファンディングで商品化するプロジェクト」「いしかわかずやがメンバーのアイデアを見るアイデア添削会」をはじめ、メンバー同士の交流イベントやセミナーの開催など、豊富なコンテンツを検討中という。

「アイデアは、デザイナーや企画職の人が考えるものだと思われがちです。なので、みんなに、自分でもできるかもしれないという気づきを感じてもらいつつ、アイデアを考えることがもっと身近なコンテンツになったら素敵だなと思っています」。自分には縁がないと感じている人も何か得られる魅力的なコミュニティになりそうだ。

そして、「アイデア発想=いしかわかずや」となる未来も考えている。「(自身は)日本で一番有名な『アイデア発想の人』になることを目標にしています。そして、誰でも簡単にアイデアを生み出せる方法を皆さんに知ってもらい、これからの時代におけるアイデア発想のレガシーとなるコンテンツを目指して発信活動を続けていこうと思います!」

取材・文=澤田佳代

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