真剣勝負のプロ棋士、頭の中は「天ぷら」に「動画収入」!?雑念多き“非本格将棋漫画”が面白い
将棋のプロ棋士と言えば、才能あふれる者の中でも、狭き門をくぐり抜けた一握りだけがなることのできる厳しい世界。盤上に全身全霊を捧げるはずのプロ棋士の、雑念あふれる日常を描いた漫画が今、注目を集めている。

横道に逸れすぎ!集中できないプロ棋士の頭の中に引き込まれる
話題を呼んでいるのは、漫画家の増村十七(
@masumura17
)さんがTwitterやpixivコミックで連載中の「花四段といっしょ」。『“非”本格将棋漫画』をうたい、主人公である花つみれ四段の、将棋そっちのけで思考が散らかってしまう日常にフォーカスした異色の将棋漫画だ。
昨年Twitterに投稿され、9000件以上のいいねを集めた第一話では、対局中の花四段の様子が描かれている。その日、順位戦の対局に臨んでいた花四段。順位戦は、数ある対局の中でも、「名人」のタイトルに挑むための唯一の道のりであり、棋士にとっては重要な意味を持つ戦いだ。花四段も当然、目の前の盤面に集中……、と思いきや、彼の脳裏をよぎったのは「お金がほしい」という将棋とは無関係な煩悩。「旬の野菜の天ぷらが食べたい」、「フラッと名店に入って行けるような暮らし」と、肝心要の将棋についてはそっちのけで、思考の脱線は加速していく。

よく考えず上の空で指し続け、局面が進行していた盤上を見て我に返る花四段。子供の頃からいろいろな物事にすぐ気を取られてしまう悪癖があった――と、今度は幼少期の思い出にとらわれかける。そう、プロ棋士になった今でも、頭の中の雑念の多さは変わっていなかったのだ。

そのたびに余計な考えを振り払おうとする花四段だったが、その後も対局相手の海老六段の新しい財布が目に入り、海老六段の最近の羽振りのよさ、YouTuberをはじめたこと、広告収入はいくらだったか、と思考は連想ゲームのような状態に。相手を唸らせる鋭い手を指したその時、花四段の脳髄が計算していたのは、その先の局面ではなく、海老六段がYouTuberとして稼いだ収入額なのだった。
