孫弟子に直撃!“時事漫才”を確立させたレジェンド漫才師「コロムビア・トップ」の素顔とは?
東京ウォーカー(全国版)
世の中を騒がせた話題や出来事をネタにする時事漫才。今では爆笑問題やナイツの漫才スタイルとして広く知られているが、その礎を築いた漫才師をご存知だろうか。
その名も、「コロムビア・トップ・ライト」。戦前から漫才コンビとして活動をスタートさせ、テレビ黎明期に社会風刺漫才を生み出したことで、東京を代表する漫才師として活躍した。残念なことにお2人はすでにお亡くなりになっているが、今もなお慕っているお笑い芸人は多く、まさに「レジェンド芸人」と呼ぶに相応しい存在となっている。
そこで今回は、コロムビア・トップ・ライトのボケ担当であるコロムビア・トップさんの生誕100年を記念して、孫弟子にあたる青空一歩・三歩さんにインタビューを敢行。直系弟子から見た、コロムビア・トップさんの知られざる一面やその魅力について大いに語ってもらった。

レジェンドを前に、会話もできない緊張感
戦前から平成にかけ東京漫才の代表格として、演芸場での漫才を中心に、テレビやラジオの司会者やコメンテーター、政治家としても活躍したコロムビア・トップさん。「ゲロゲーロ」のギャグで一世を風靡した青空球児・好児さんを筆頭に、総勢20名を越える“青空一門芸人”を育て上げた功績も讃えられている。まさに“大師匠”といえる業績を遺してきたトップさんとは、一体どのような人物だったのだろうか。
「初対面では怖いぐらいの緊張感があった」と話すのは、三歩さん。「当時私は師匠である(青空)千夜・一夜の付き人をしていました。さらにその師匠であるトップ師匠に初めてお会いした時は、緊張しすぎてご挨拶もちゃんと出来ないぐらいで。トップ師匠は、私の父がコロムビア・トップ・ライトの時事漫才が好きでよくテレビで観ていた方だったので、その時はご挨拶だけでお話はしませんでした。この時までは、ただただ“怖い師匠”だと思っていましたね」
打って変わって、三歩さんの相方の一歩さんは「緊張感よりも喜びのほうが強かった」と話す。「当時は雲の上の人だったので、生のお姿を拝見して感激しました。トップ師匠が一夜師匠に我が子のように接しており、びっくりしたのを覚えています」

弟子にも気遣いを忘れないやさしい素顔
「漫才と司会という、2つの分野で先頭に立った人」と一歩さんから評されるように、漫才師から羨望の眼差しを集めていたトップさん。険しい芸能界を生き抜いてきたからこそ、芸にも人にも厳しい師匠だと思ってしまいそうだが、素顔はまったく違う性格だったそうだ。
三歩さんが言う。「トップ師匠に怖いイメージを持つ人もいますが、弟子にも気を遣う方でした。お酒を飲んでいる時に弟子が気を遣うと逆に怒られるほどで。自分は気を遣っても、人に気を遣わせない人です。それにほかの一門と違い、師匠がステーキを食べたら弟子もステーキ、師匠がラーメンを食べたら弟子もみんなラーメンを食べる、という決まりでした。本当に親父のような人でしたよ」
また、トップさんは「東京漫才を盛り上げ支え続けたい」との思いから、晩年期においても舞台に立ち続けたという。「今から20数年前に漫才協会が浅草東洋館を借りることになったとき、毎月トップ御大が出演し続けてくださいました」と一歩さん。
「100歳まで生きてほしかった」。“お手本”と呼ばれる理由
では、孫弟子から見たコロムビア・トップ・ライトというコンビの魅力とは何だったのだろうか。三歩さんによると、コンビでのネタはすべてトップさんの手によるもので、漫才作家としての才能も秀でていたと話す。
「千夜・一夜も、『一茶がホイ』というネタをトップ師匠から無理矢理もらったそうです。(青空)うれし・たのし師匠も『上海』というネタを無理矢理もらったとか(笑)。『俺が書いたネタを、千夜・一夜とうれし・たのしが勝手に使っているんだ』と、トップ師匠はお酒を飲むと、そう言いながら喜んでいました」
このように、現在の東京漫才を支えた大御所芸人たちにも大きな影響を与えていたトップさん。三歩さんは、「コロムビア・トップ・ライト師匠は東京漫才のお手本」と言い切るほど。
最後に、トップさんの生誕100年を迎えた今の心境について、三歩さんと一歩さんにご回答いただいた。
「トップ師匠と酒を飲むと、口癖のように『俺は100歳まで生きるから』と言っていました。孫弟子としては、本当に100歳まで生きていてほしかったと思います。まだ舞台に立っていてもらいたかったですね」(三歩さん)
「庶民の小さな幸せに目を向ける方でした。生き様に裏表のない方でした。戦後の日本人に芸能界をきちんと認知させ、広めた功績が大きいと思います」(一歩さん)
落語が中心だった東京のお笑いに漫才を根付かせ、時事漫才を確立させたコロムビア・トップさん。舌鋒鋭い辛口漫才とは違い、その素顔は実にやさしく、人間味にあふれていた。
取材・文=橋本未来
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