【パンダWalker】パンダ作家・大西亜由美さんが生み出す「パンダの日常」がかわいすぎる!作家への道と制作秘話を聞いてみた

東京ウォーカー(全国版)

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1体のパンダ人形が過ごすなにげない日常を切り取った写真が話題となり、個展や雑貨まで手掛ける人気の「パンダ作家」大西亜由美さん。なぜパンダが主役?どんな風に撮影をしているの?「パンダ作家」になるまでのお話と制作の裏側をインタビュー。

1体のパンダの人形がいろいろなことを体験!(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI

誕生日をお祝い!(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI

たこ焼きだって食べちゃう(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI

外へもどんどんおでかけ!(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI

やわらかな空の青とピンクの風船が優しいムードでいっぱい(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI


パンダ人生のはじまりは?

大西さんがパンダに興味をもったきっかけは?と聞くと「気が付いたらパンダが好きだったので明確には覚えていないんです」と意外な返答が。「でも、小学1年生の図工の時間に、好きな動物を粘土で作る授業があり、その時にはもうパンダを作っていました。その後、中学ごろからパンダグッズを集め始め、高校生の頃にはパンダの形をした鞄などを作って、フリーマーケットで売っていましたね」と大西さんは振り返る。

実際に販売していた「パンダの形をしたカバン」(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI

型紙のラフスケッチ。これをもとにバッグを制作していた(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI

高校卒業後、ファッションデザイン関連の専門学校へ進学した大西さんは、そこで服のデザインや型紙を引いて縫製をする勉強をみっちり3年間学んだ。

「今撮影に使っているパンダ人形を作る際には型紙を起こし、手縫いで仕上げたので、勉強した技術は役に立ったと思います」

専門学校を卒業後、一般企業に就職。商品の企画デザインの仕事に就いた。その後、服販売の部署に異動、販売のやりがいや接客の楽しさを実感したという。

「でも、自分で作ったものならお客さんにもっと詳しく説明ができるのに、と思うようになったんです」

その後、いつか自分で作ったものを自分の店で売りたい!雑貨店を開きたい!という思いが強くなり、雑貨店へ転職。商品のディスプレイや雑貨を魅力的に見せる方法を学びながら「もし自分がお店を開くなら、どんなコンセプトでどんな商品を扱うか、どこに店を構えるかという構想を練っていました」と当時の想いを語ってくれた。

パンダブログを開設。お気に入りのパンダ人形を使って写真を撮り始める

お店を開く夢を胸に日々を過ごしていた大西さんは、2005年にブログを開設。それは「店を持ったらホームページも作らないといけないし、ネットショップもある方が便利かな?という理由から」だったそう。「でも、初心者だったので、まずは慣れようとブログを作りました。何かに特化したほうが覚えてもらえるかなと思い、昔から好きなパンダを中心としたブログに決めたんです」と大西さん。このブログが現在も続く「パンダ作家の雑記帳」。最初に始めたのはソフトビニール製のパンダ人形を使ってのおでかけ写真だった。

「手足が動くお気に入りのパンダ人形があったんです。それを使って、青空を背景に何気なくとった写真が妙にしっくりきて」

青空を見あげるパンダ(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI

こうして、大西さんはパンダの日常写真を撮り始めた。「パンダが人間のように暮らしていたら楽しいかなと思い、人形と小物を使っていろいろな場所で撮影をするようになった」そうだ。

時にはスケートボードも!(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI


その後作った1体のパンダ人形が、パンダ作家へのきっかけに

ブログを開設してから3年後、大西さんは1体の手作りパンダ人形を完成させる。これまでのソフトビニール製ではなく、その後は手作りパンダ人形が撮影の主役に!

「2年半かけて作成しました。モデルにしたパンダは特にいないのですが、図鑑やパンダの資料をたくさん見て勉強しながら、私好みのパンダに仕上げました。リアル過ぎず、かわい過ぎない絶妙な感じにしたかったんです」

このパンダはいろいろなポーズが取れるように、関節が自由に動き、支えなしで自立できるようになっている。

ベースが出来たら次は毛皮部分。関節を動かすため生地がつっぱらないようにするにはどうしたら?とあれこれ試行錯誤したが、専門学校時代に学んだ知識を使ってなんとか作り上げた。

こうして、いざ撮影!と思いきや、なんと「写真に撮ると全然かわいくない!細かな修正を重ねながら、カメラに映った時に一番かわいく映るパンダを完成させました」。

1体の手作りパンダを撮り始めた頃の作品(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI

バッグや犬などの小物も手作り(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI

花々も自然のセットとして活用!(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI

どうやったらかわいく映るか、とにかく研究の日々!(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI

パンダ作家として名乗り出したのもこのころ。2008年にグループ展に参加することになった大西さん。「パンダ人形を手作りしたけれどぬいぐるみ作家ではないし、パンダの写真は撮るけれど写真家でもない。パンダも描くけどイラストレーターでもないし…、と考えた結果、全部まとめて『パンダ作家』という肩書を勝手につけました」と振り返る。

その後、テレビ番組にも出演。放送後に行われた作品展ではたくさんの来場者が訪れ、写真集の出版にもつながった。

「今でも『あの番組、見たよ!』と声をかけていただき、ずっと覚えていただけていることがとてもうれしいです」

こんな場所にも行きました!スタートから撮影まで。パンダ写真ができるまで

おでかけしたりおうちでくつろいだり、さまざまな場所で遊ぶパンダ人形の撮影は、どのように行われているのか。工程やロケーション選びの方法について大西さんに聞いてみると?

「最初にロケーションを考えます。そこで使いそうな小物を用意し、なければ自分で手作りします。そして、現地に出向いて撮影。レイアウトやポーズを変えていくつかのパターンを撮影します」と大西さん。

★例えば海辺★
海辺の撮影なら、サーフボードや海パン、バケツや麦わら帽子など海で使いそうな小物を用意し、兵庫県の須磨海岸や大阪府貝塚市の二色の浜で撮影。シチュエーションを変えて数パターンを撮る。「海での撮影は冬に行うこともあります。そんな時は、レフ版を当てたりして夏らしく見えるようにするのがむずかしいですね」と教えてくれた。

★カレンダー★
カレンダーを作るときは「まず、思い浮かんだアイデアをラフスケッチします。その後、小物を用意し、なければ作ります」と言い、貴重なラフスケッチも見せてくれた。

1月は寝正月、実家感などできあがりのムードもしっかり想定(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI

例えば1月は「こたつでゴロゴロ」「実家感」「寝正月」という出来上がりのイメージが言葉で表現されており、必要な小物や色までしっかり描かれている。

1月のカレンダー。出来上がりがこちら(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI

3月は、ナチュラルなシーンを演出したいと思い、2022年の寅年に合わせて手作りしたトラのパペットと一緒に自宅の花壇で撮影。パンダのサイズに合わせて、ここには小さめの花を植えるようにしているそうだ。

トラのパペットは、パンダが持ってちょうどいいサイズに作る(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI

ほかにも、サーフィンをしたり、アジサイと一緒に撮影したりと、月ごとに季節感満載の行事やおでかけを楽しむパンダの姿がかわいくてたまらない。今にも動き出しそうな躍動感、存在感でいっぱいなのだ。

8月は海辺でサーフィン!(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI

アジサイや桜など、季節の花も小道具に(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI


時には、小物から場所を考える時もある。カレンダー撮影の時も、小さなカメラやケーキ、フルーツや眼鏡などいろいろなアイテムをそろえた。

巧妙に作られた小物がズラリ。ミニチュアを買ったり自分で作ったり。ケーキもおいしそう!(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI

「以前、小物の中に、もんじゃ焼き用のコテがあったんです。それなら場面をお好み焼き屋さんにしよう!と、壁に貼るメニューの札やポスター、有名人のサインまで手作りしました」と徹底的に小物にもこだわる大西さんだ。

ミニサイズのお好み焼きは、本物の食材で作ったそう(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI


記憶に残った撮影場所は、スキー場と市場!

数々の場所で撮影をしてきた大西さんだが、ここは良かったな、楽しかったな、苦労したなど、記憶に残っている撮影場所を聞いてみると…

「ひとつはスキー場ですね。私が住んでいる大阪では雪が積もることがめったにないので、雪のシーンは滋賀県のスキー場まで行くんです。到着するにも時間がかかるので、そう何回も通えない。だから、現地では出来るだけたくさん撮影します。雪だるまやかまくらを作ったり、自作のスノーボードでパンダを滑らせたり。長時間の撮影になるので、邪魔にならないようにキッズゲレンデの端っこなどでこっそり撮影しています」

ゲレンデに立つパンダ(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI

寒いスキー場での撮影。苦労は多いのでは?

「ポーズの微調整をするために、手袋を外して素手で行うのが冷たくて辛いですね。パンダを直接雪の上に置くとぬれてしまうので、毎回お尻の下にラップを置いたり。細かい作業も多いです」

パンダと犬が入る「かまくら」のサイズ感が絶妙!(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI

パンダのお尻の下にラップを仕込んで防水対策。雪だるまも手作り(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI


また、スキー場に行けない時もあるそうで、そんな時は「かき氷器で人工雪を作っています。でも、気温が高いとすぐに溶けてしまうのと、一面の雪が再現できないのでスキー場にはかなわないですね」

かき氷器で作った氷を雪だるまに(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI


また、兵庫県西宮市にある西宮市東地方卸売市場での撮影も記憶に残っているそう。

「ミニサイズの段ボールの展開図を作り、箱のデザインを考えて、ひとつひとつ自分で組み立てました。そこに、金柑やミニトマトなど、本物の野菜を入れて撮影したんです。市場の方からも大好評でした」

市場の中での撮影。本当にパンダが働いているかのようなリアルさにびっくり。箱のデザインもとってもリアル!(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI

トマトもニンジンも本物を使ったそう(C)PANDA panda LIFE*** AYUMI OHNISHI


こうやって、パンダ作家活動を17年も続けてきた大西さんに「好きなパンダはいますか?」と聞いてみた。すると…

「神戸市立王子動物園のタンタンです。丸顔と短い手足がとても愛らしくて、完璧なフォルムだなぁと思います!アドベンチャーワールドにもよく行きますよ。初めてパンダを観たのは1997年のアドベンチャーワールド。座っていても、歩いていても、寝ていてもすべてがかわいくて感動したのを覚えています。次はどんな動きをしてくれるのだろうと、目が離せませんでした」とパンダへの愛をいっぱい語ってくれた大西さん。その愛情をたっぷりと注いだ作品の数々は、ブログや公式サイトで続々と公開中。アクセサリーやステーショナリーなどのグッズも販売しているので、ぜひチェックを。

取材・文=田村のりこ

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