改めて考える「LGBTQ」とは?

東京ウォーカー(全国版)

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改めて考えるLGBTQとは?


オーストラリア在住で、YouTubeで性教育について発信を続けているしょご先生。2月に開設したニコニコチャンネル「しょご先生 日本一わかりやすいリアル性教育」も終了を迎える。本シリーズの最終回に、日本とオーストラリアの性教育事情を知るしょご先生に改めてLGBTQについて聞く。

これまで、しょご先生にはいろいろな話を聞いてきた。YouTubeやニコニコチャンネルを見て社交的で積極的な性格というイメージを持たれた人も多いと思うが、本人いわく「実は超がつくほど人見知りであがり症」。自身を“陰キャ”だという。そんなしょご先生が性教育について発信しようと思ったのは、「日本のLGBTQが抱える問題や性教育の遅れを痛感し、自分でできることとして、みんなが本当に知りたいことにきちんと答えていきたい」から。自身がゲイであることはあえてカミングアウトしていないが、隠しているわけではないという。また、オーストラリア在住歴も23年と長く、教師という一面も持っている。そんないろいろな“顔”を持つしょご先生が、今感じる日本のLGBTQへの課題とは。

初代ミスター・ゲイ・ジャパンでもあるしょご先生

日本でもここ数年で、「LGBTQ」という言葉を日常のいろいろな場面で目にしたり、耳にしたりするようになった。読み方はそのまま「エルジービーティーキュー」。Lはレズビアン、Gはゲイ、Bはバイセクシュアル、Tはトランスジェンダー、Qはクィアやクエスチョニングのことで、「セクシャルマイノリティ」などと言われることも多い。海外ではかなり以前から「LGBTQ」への理解が進んでいたが、日本でもようやく性は多様であることを認識され始めたというところだろうか。

そうはいっても、だ。正直、日本で「LGBTQ」に対してしっかり理解されているとは言い難く、まだまだ固定観念は根強く残っている。特に若い世代に比べてシニア世代で、都市部に比べて地方で理解が進んでいないと言えるだろう。これはしょご先生に話を伺ってきた性教育への理解とも状況が似ている。それでも「LGBTQの人たちが声を上げてきたことで、多くの国では同性婚が認められたり、同性カップルが婚姻と同等の権利を得られたりするようになりました。こうした動きから、LGBTQの人たちも生きやすい社会にするためにさらに声を上げる動きが活発になっています。日本でも少しずつですがそうした動きがみられるようになりました」としょご先生は話す。

“プライドパレード”は世界各国の都市で行われている

“プライドパレード”という言葉を聞いたことがあるだろうか。世界各国の都市で行われるセクシャルマイノリティのパレードイベントだ。世界では100~300万人という巨大な規模のものもあるという。日本でも1994年8月末に初のプライドパレードが開催された。その後、何度か中断されたが、現在では毎年プレイドパレードやそれに準ずるイベントは行われている。「近年、都市部だけでなく地方都市でもプライドパレードが行える社会になってきました。パートナーシップ制度も多くの自治体で取り入れられ、認知度、理解度は日に日に増えているのは数字を通してもわかります」としょご先生。

こうしたパレードの開催には多くの企業が協賛していて、また、この時期にはアイコンであるレインボーカラーのアイテムを販売するメーカーも増えてきた。しかし、まだ課題はある。「企業がレインボーアイテムを販売することで、LGBTQのサポートに繋げているのは非常に喜ばしいことです。しかし、企業内での同性パートナーへの福利厚生がなかったり、サービス内容に同性パートナーが含まれないというケースがまだまだあるのも事実です」(しょご先生)。つまり、対外的には理解を示していながら、もっと身近な自社の中、あるいはその会社で行うサービスに反映されておらず、まだ偏りが見えるケースがあるのだ。

一方的に声を上げるのではなく、相手にどう伝えるのが効率的なのかも考えていく必要がある

それでも、ひと昔前に比べれば状況は各段に変化しているとしょご先生は話す。「若い世代でも声を上げる人が増えているのは喜ばしいこと。昔に比べると周りと違う考え方を持っていてもいいという空気感を感じるようになりました」。しかし、目的は“声を上げる”ことではなく、“メッセージを届け、考えてもらう”こと。つまり、声を上げる+αが必要だという。「一方的に声を上げるのではなく、相手にどう伝えるのが効率的なのか、伝えた後、どうしたら自分で考えて行動してもらえるのか、そうした“+α”が求められる社会になってきていると思います」(しょご先生)

今は声を上げる手段としてインターネットやSNSなどがあり、個人でも簡単に“発信”することができるようになった。ただ、それが“独り言”になってしまっては意味がないし、だれかを怒らせたり、傷つけたりするような結果になるのも違う。「日本人は声に出さない人が多い印象です。生きにくさは、LGBTQであっても、そうでなくてもだれもが感じる。でも、なかなかそういう話題を表に出さないですよね」としょご先生。オーストラリアではパレードを短い動画にまとめて発信するなど、興味を引く伝え方をしていたり、伝えるターゲットを絞り、ターゲットに合わせて伝え方を変えたりして発信されるため、各人が身近なこととしてとらえやすいという。関心の高い人だけが自分から情報を得るのではなく、困っている人や悩んでいる人がしっかりと声を上げ、より多くの人が正しく理解し、考えられる状況に導く必要がある。

オーストラリアはLGBTQに限らず、先住民、移民など、多くのマイノリティが共存する国なので、正当な理由なく権利を侵害されたり、不当に扱われたりするようなことがあれば「“戦う”姿勢を持っている」(しょご先生)という。「以前、オーストラリアの高校でLGBTQの生徒、職員は学校から去ってもらうという通達をされたことがありました。もちろん、これは不当な扱いなので、多くの人が行動を起こし、メディアでも大きく扱われ、全面撤回されたということがありました。日本ではまだまだ諦めてしまう、周りを巻き込んでしまうと迷惑がかかってしまうと考えてしまう人が多いように思います。社会を変えていくにはより多くの人をどれだけ巻き込めるかにかかっていると思います」(しょご先生)

少し難しい話になったが、そもそも同性であっても異性であって、それぞれ個々の人間として理解していくものだ。男性だから、女性だからでくくるのはナンセンスであると、ようやく最近になって考えられるようになってきたが、LGBTQも同じだということ。

多角的に物事を見ること、視野を広げ、いろいろな角度から見ることが大切だ

これまで性教育の話でしょご先生が伝えてきたように、一方向からだけでなく多角的に物事を見ること、視野を広げ、いろいろな角度から見ることが大切だ。そのためにも正しい知識は不可欠。わからないと距離をおいたり、間違った情報に踊らされてしまいがち。「知識を身につけるのはもっとカジュアルに考えるため。例えば性欲は人間の三大欲求にもかかわらず、睡眠や食欲に比べると特別扱いをされている気がします。かしこまって、あらたまって扱われるが、性欲があるのは当たり前で、誰でも持っているもの。それを特別視する必要も隠す必要もない。性行為に快楽を求めるのも当然のことだが、どこか悪いこと、恥ずかしいことのように思われてしまうのはおかしいんです」としょご先生。

LGBTQについてもしょご先生が発信しているのは、正しい知識。理解が進めば、もっと身近に感じるようになり、さらに理解が進む。人の性のあり方は多様でLGBTQの人たちがいるのは特別なことでないということ。まずはLGBTQを同じ一人の人間として当たり前の存在として寄り添っていくことから始めれば、社会は変わっていけるはずだ。


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文=岡部礼子

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