無印良品が取り組む「空き家リノベーション」と地方創生

2022年11月18日 11:00更新

東京ウォーカー(全国版)

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1980年の創業以来、それまでの消費社会のあり方を問題視し、「最良の生活とは何か」を追求し続けてきた無印良品。近年では第2創業として「人と自然とモノの望ましい関係と心豊かな人間社会」を掲げ、特に「サステナブル」「SDGs」にもリンクする取り組みを多く実施しているが、まだあまり一般に知られていないものが「地方創生」をテーマにしたさまざまな試みだ。

無印良品が掲げる「地方創生」の取り組みは大小さまざまなものがあるが、本記事では、その一つとして「空き家リノベーション」についての思いと実例を、同社・執行役員の長田英知さんの解説のもと紹介する。

コロナ禍におけるライフスタイルの変容が大きなパラダイムシフトだった

「3戸のうち1戸が空き家になっていく」と言われる深刻な社会問題


日本における「空き家問題」は深刻な課題で、日本全土における空き家は、2030年には空き家の割合が30%を超えるとの試算もある。こういった背景の中で、はじまった無印良品による「空き家リノベーション」だが、本格的に取り組むきっかけとなったのはコロナ禍でのライフスタイルやニーズの変容にあったと長田さんは言う。

「仕事のオンライン化が進み、必ずしも『都市部での生活が必要』とは言えなくなったことは大きなパラダイムシフトなのではないかと感じています。一方で、それまで都市部で暮らしていた人たちが日常的に利用している生活インフラが各地方に整備されているかと言うと、そうでもなかったりもします。

そうした中で、我々無印良品が地方に積極的に店舗を展開し、生活に必要なものを適正な価格で購入できるようにし、また都市部から地方部へと移住する人に対して、これからの時代のライフスタイルに沿った住居を整備し提案していきたい……そういった思いのもとで、『空き家リノベーション』に取り組み始めたところです」(長田さん)

無印良品の「空き家リノベーション」実施後、早くも反響や賛同の声が


無印良品による、「空き家リノベーション」の実例はまだそう多くはないものの、前述の「空き家問題」と合わせて、取り組みに対する反響や賛同の声は多いという。これまで無印良品が展開してきた多くの商品やライフスタイルの提案がそうだったように、「一見価値を見出しづらいものであっても、無印良品なら新しい価値を生み出すことが可能」といった同ブランドへの支持や信頼もまた「空き家リノベーション」を加速させているように思う。

一番最初に行われた「空き家リノベーション」は宮崎県日南市で、ここではリノベーションした空き家に対し、映像や画像で「移住バーチャル体験」できるサービスが取り入れられ、本格的な地方移住を前に、そこでの生活をイメージしやすい取り組みも実施されている。また、北海道清水町では3軒のリノベーションが決まり、すでにこのうちの2件のリノベーション住宅は実際に移住者への貸し出しを行ったという。

さらに、直近では高知県四万十町でも「移住体験住宅リノベーション」の提携が決まり、今後「空き家リノベーション」の新しいモデルとして、無印良品ならではの「新しい価値」を見出していきたいという。

【写真】無印良品のリノベーションによって生まれ変わった家


あくまでも主役は「ローカルヒーロー」たち。無印良品はその伴走役になりたい


無印良品が地方創生に力を注ぐにあたって、もう一つ大きなテーマとして掲げているのが「土着化」だ。近年、各地域で移動販売を行ったり、地域の産地野菜の店頭での販売にも力を注いでいる無印良品だが、これも「土着化」というテーマに沿った取り組みだという。

「『地方創生』は、地域に根ざした活動をすることが大切だと考えています。たとえば、今後各地方に出店する無印良品の店舗にしても、ただ量販するだけの店舗ではなく『地域のコミュニティセンター』という位置付けにしていきたいと考えています。

すでに一部店舗で実施している、各店舗で自由に飲める給水機の設置などの有益なサービスも各地域の店舗が主体的に行えるようにしながら、無印良品として『地方における新しいライフスタイル』を提案し、多くの成功事例を作っていくことが今は一番大切なことだと考えています」(長田さん)

無印良品の「空き家リノベーション」は、物件ごとの取り組みではなく、地方創生全体を意識してのものだ


また、「空き家リノベーション」を含む、さまざまな「地方創生」の取り組みを行うときも、あくまでも「主役はその地域で暮らす人々」であり、そういう人たちと無印良品がどう関わっていくかが今後の課題だとも。

「地方では『地域の担い手の高齢化』などによって、その地域自体の体力が落ちてしまっているケースが多いように感じています。『ローカルヒーロー』という言葉がありますが、地域を活性化させる主体となるのは、あくまでもその地域の人々であるのが理想です。

無印良品は、『ローカルヒーロー』の方々を後押しするような伴走役として、で各地域の人たちと協働しながら、『空き家リノベーション』を含む『地方創生』を進めていきたいと思っています」(長田さん)

文:松田義人

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