【松井玲奈インタビュー】鴻上作品の再演で新キャストに抜擢
関西ウォーカー
SKE48を卒業して以降、女優としてドラマや映画に活躍している松井玲奈。2016年、グループ卒業後の初の舞台、つかこうへい七回忌特別公演「新・幕末純情伝」では、体育会系のノリの男たちの中、紅一点で主演し舞台度胸を見せつけた。今回は、鴻上尚史作・演出の「ベター・ハーフ」に出演。4人の登場人物が、それぞれのベター・ハーフを探し求める姿を通して、今の時代の愛の形を描き出す3年半の物語だ。
広告代理店勤務の祐太(風間俊介)は、上司の沖村(片桐 仁)が出会い系サイトで意気投合したハルカに自分の写真を送られ、沖村に成り代わってデートすることになる。待ち合わせ場所に来た遥香(松井)は、デリバリーヘルスでバイトしながら芸能界デビューを夢見ている女の子。が、彼女もまた、トランスジェンダーでピアノ弾きの友人・汀(中村 中 なかむらあたる)の身代わりだった…。
4人の心の内面が、鋭くビビッドに描かれ、互いが密接に絡みながら展開して行く。鴻上は「観た後に元気になってもらおう、それでも生きて行こうと思ってもらえる作品にしたかった」と語る。この作品は15年に初演され、大好評を得て早くも再演に。今回、遥香役のみキャスト替えとなり、そこに松井が初参加する。「4人芝居で1人だけ替わるのは、かなりのプレッシャーとガッツが必要。それをやりきれる人は?」と探した鴻上。映像を見て「ちゃんと野心を持ち、戦おうとしている目を持っている。前の舞台で、根性ある子だと評判を聞いて」出演を依頼した。
前作のDVDは見ず、数日後に稽古を控えた彼女に話を聞いた。作品に向かう姿勢、役への取り組み、しっかりした受け答え。「何事も挑戦、ガッツだけは自信あります!」と話す彼女は、この難役をチャンスとして確実に乗り越えるだろうパワーに満ちていた。
Q:台本を読んだ印象は?
一回目では理解しきれなくて。でも、稽古に向けて自分で読み込んでいくうちに、恋愛の形、愛の形っていろんな形があるんだ、決まった形がなくて、人それぞれ持ってるものだったり感じるものが違うんだなって、それを今、すごく感じています。これから、私が思ってることを稽古場に持って行って、みなさんと合わせた時にどうなるんだろうっていうのが今、とっても楽しみな状態です。
Q:出演を受けられた理由は?
もともと私、ラーメンズさんが大好きで(笑)。中学生ぐらいのころからずっと観てて、家にDVDが全部あって、片桐(仁)さんにもすごく憧れていたんです(笑)。芸人さんでもあるけど、限りなく演劇に近い、あの空気観を感じた時に、舞台っておもしろいって思ったので。その片桐さんと一緒にお芝居が出来るのはうれしいし、しかも4人芝居っていう今まで経験したことのない、すごく密な芝居が出来る。風間(俊介)さんも(中村)中さんもすごく素敵な方たちなので、また新しいものが感じ取れるんじゃないかなと思って、是非やりたいですと言いました。
Q:グループ卒業後の初の舞台で舞台の印象は良かったんですね。
舞台がもっと好きになりました。でも、千穐楽は泣かなかったんです(笑)。みんな絶対泣くと思ってたみたいで、打ち上げの時に「なんでお前泣かなかったんだよ?」みたいに責められましたけど(笑)。もともと舞台がすごく好きだったので、もっともっとやりたい、いろんなことに挑戦したいなって思った時に、今回はなかなか挑戦できない少人数の舞台だったので。再演で、私だけキャストチェンンジで、みなさんはもう出来ているところに新しく入って行く…プレッシャーというか、前よりもいいものにしたいなっていう気持ちもありますし、そうなるように頑張らなきゃなと思ってます。
Q:普通はビビリますけど?
ビビッてますよ(笑)。でも、何事も挑戦。鴻上さんからお話をいただいたので、すごくありがたいなと思って。周りの方からも絶対にやった方がいいと言ってもらえたので、挑戦したいと思っています。そして何かちゃんと自分の持ってるものを作品にいいものとして出せるようにしたいですね。
私、繊細さとかはあまりないかもしれないですけど、ガッツだけは自信はあるので(笑)。折れても立ち上がるだけの力はある…立ち直りが早いわけではないですが、這ってでも掴み取りたい気持ちみたいなのは、ずっといろんなことに対してあって。負けず嫌いなんだと思います、単純に(笑)。頑張ります!
Q:芸能界デビューを目指して頑張ってる遙香ちゃんの気持ちはわかりますよね?
わかりますね。何かを目指して頑張りたい。目指してる場所も、自分が昔いた場所だからこそ、わかることは多いですね。遙香はある意味、すごく人に甘えるのがヘタクソな子なのかなって私は感じています。夢を追いかけて若くして家を出て、1人で生きて行かなきゃいけなくて、人に甘えることを選択しないで生きてきてる子だからこそ、なんとなく頼れる相手が出来た時に、そっちに深くハマってしまう。どう頼っていいのかわからない…読んでいてそんなことを感じたので、もっと楽に甘えればいいのになって思いました。
Q:松井さんは甘えられるタイプ?
甘えられないタイプです(笑)。だから、あ~、わかるなと思って(笑)。全部が全部一緒ではないですけど、生い立ちを考えた時に、きっとずっと一人で気を張って生きて来た女の子だからこそ、今までになかった人との関係が生まれて、自分が保ってきてたものがブレてきてしまったのかなと感じました。人の優しさに触れた時にどうしていいかわからないという感覚は、ちょっとわかるなって思います。
Q:ダンスシーンもありますね?
踊るのは大丈夫です、上手ではないですけど(笑)。アイドルになりたい子っていう照準に合わせてダンスします(笑)。頑張ってついて行こうと思ってます。
Q:ネットでの恋愛ってどうですか?
多いですよね。最近、アプリで出会っちゃうみたいなことをよく聞くので。この人を彼氏に出来るかどうか、この子を彼女にできるかどうか、自分のなかでチェック項目を作って、付き合う基準を考えて会うっていう話を聞いて、衝撃を受けました。なんか昔の出会い系よりもどんどん進化してると思います。
Q:松井さんのなかでは違うと?
怖くないのかなって思いました。恋愛って、日常生活の中にいる人たちと出会って、自然にこの人のこといいなって思って恋に発展するというのが、自然なのかなとは思います。彼氏欲しい、彼女欲しい、じゃあ欲しいと思ってる人と会って、カードいる?いらない?みたいにゲームのように決めるのは、人としてちゃんと向き合えているのかなって不安になりそうで。それが結果として良くて、幸せになる人もたくさんいると思うんですけど、自分が今まで思ってた恋愛観とは全然違っていたので、すごくびっくりしましたね。
Q:今回一番楽しみにしてることは?
観た人の感想が一番楽しみです。愛知と福岡は、今回初めてこの演目が行く場所でもあるので。初めて観る方や東京・大阪で初演を観てる方たちにも、キャストが変わってどのように新しく観えたのか、どう感じたのか。その反応を早く聞きたいと思います。今日のお客さんはどう想ったのかな、楽しんでもらえたのかなっていうのが、すごく楽しみですね。
Q:ファンの方へのメッセージを。
単純に、私が出てるから観に来ていただけるっていう、きっかけが自分にあることはすごくうれしいです。そのきっかけがあって劇場に来ていただいたら、あとは単純に物語を楽しんでいただけたら、それが一番ウレシイです。おもしろいシーンもあるので、是非そんな笑えるシーンも楽しみにして来てもらえたら。
Q:これからも舞台を続けたい? どんな作品をやりたい?
はい、舞台はやりたいです。私、古典も好きなので、いつかは古典作品にちゃんと挑戦出来たらうれしいなって思います。もともと舞台は三谷さんの「オケピ!」と、蜷川さんの「マクベス」を観てすごく興味を持ったんです。なので、エンタメ性のある作品もすごく楽しくて好きなんですけど、古典的な昔からある作品も、同じ物語でも演る人たちや演出が変わることによって全然見え方が違って楽しいなといつも思っていました。シェイクスピアみたいな作品もやってみたいですね。もっともっと実力を付けないとダメだなと思いますけど。
Q:今回、少人数で4か所のツアーは楽しみね。
いろいろ行けるのは楽しみですね。地方に行くと劇場のサイズ感とか全然変わって、毎回違う空気を味わえるのが楽しみで。でも、やっぱり食べ物ですかね。グループにいた時とか、今までもお仕事で地方に行っても、外へなにか食べに行くとかしたことがなかったので、そういうことができたら楽しそうだなって。この作品の初演の時は、けっこうみんなでご飯に行くことも多かったと聞いているので、その流れに乗っかれたらいいなって思います(笑)。
福岡では屋台に行ってみたいですね、ベタに(笑)。大阪は通天閣に行きたかったんですけど、前の舞台の時には行けなかったので、ビリケンさんの足を触りに行きたいです(笑)。
Q:移動していろんなところに行くのは好き?
鉄道が好きなんです。鉄子って言われるほど詳しくはないですけど、鉄道に乗れるのが楽しいですね。【関西ウォーカー編集部/ライター高橋晴代】
高橋晴代
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