横山光昭さんに学ぶ“お金の話”。「貯める力」を身につける最初の一歩、お金を増やすには「具体的な目標」が最重要

東京ウォーカー(全国版)

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このところの急激な物価高の進行を受けて、お金に関する不安を抱えているという人も多いはず。一方で、これまでにも「お金を貯めたい」と考えてきたにもかかわらず、なかなかそうできなかったという人も少なくないだろう。そこで話を聞いたのは、「家計再生コンサルタント」として数多くの家庭の赤字家計を再生してきたファイナンシャルプランナーで、『90日で「貯める力」をつける本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を上梓したばかりの横山光昭さん。「貯める力」を身につけるための第一歩を教えてもらった。

家計再生コンサルタント/株式会社マイエフピー代表取締役・横山光昭さん【撮影=藤巻祐介】


いま、なぜ「貯める力」が必要なのか

私は、いまこそ「貯める力」が大事になってきていると痛感しています。それにはふたつの理由があります。ひとつが、「リスク対策」です。多くの人が実感していることと思いますが、最近は急激に物価高が進んできました。それにもかかわらず、収入は増えないどころか手取りが減っているという人もいるのではないでしょうか。

しかも、ウクライナなど海外の情勢不安や世界的インフレなどもあって、これからどんな経済状況になるのかということが非常に読みづらい時代です。こういった大きな経済的危機のときには、給料が減るだけでなく失職してしまう可能性も否定できません。

手取りは増えないのに物価は上がり、今後の景気は不透明という中で十分な貯金がないと、不安にさいなまれたり慌てたり妥協したりやりたいことをあきらめたり……さらには、おいしい話に騙されやすくなるリスクもあります。そういったリスクへの対策として、お金をしっかり貯めておくことが欠かせないのです。

「貯める力」の重要性が増しているもうひとつの理由が、「お金を増やすため」というものです。政府が進める「資産所得倍増計画」では、「貯蓄から投資へ」と呼びかけています。しかし、政府はこうは言っていませんが、その中身は「貯蓄や年金だけでは不十分だから、投資制度を整備しておくので将来のために自分たちでお金を増やしてくださいね」というものです。

もちろん、私も投資はするべきものだと考えています。ただ、なかには、家計が赤字にもかかわらず、「みんながやっているから」「世の中の風潮としてしないといけない感じだから」といった理由で投資を始めて、投資のために貯金を切り崩したりキャッシングをしたり、クレジットカードで生活費をまかなったりしている人もいるようです。

余剰資金で投資ができていないため、なんらかのトラブルでお金が必要になったときに、せっかく投資をしていても損をするタイミングで現金を引き出してしまって、お金を増やすために投資を始めたはずなのに逆にお金を減らしてしまうという本末転倒というべき状況に陥るケースもあります。そういった間違いを犯すことなく、しっかりとお金を増やすための「貯める力」を身につけてほしいと思っています。

お金を増やすために上がっていくべき「ステージ」

そして、お金を増やすためには、お金をきちんと扱う「ステージ」を順に上がっていくことが欠かせません。そのステージとは、以下の3つです。

【お金をきちんと扱うための3つの「ステージ」】
第1ステージ:お金を管理する<br />第2ステージ:お金を学ぶ<br />第3ステージ:お金を活かす

最初のステージは「お金を管理する」というもの。最も重要なまさに基礎の力であり、これこそが「貯める力」とも言えます。お金を貯めるには、まずは現状の家計がどうなっているかを把握することから始める必要があります。そのうえで、目標を持つ、無駄な出費は抑える、少しずつ貯金するといったことが第1ステージにあたります。

第2ステージの「お金を学ぶ」になると、第1ステージで管理できるようになったお金をこれからどのように活用していくかを学んでいく段階になります。具体的には、お金に関する本を読んだりセミナーに参加したりするといったことです。そうする中で、「いままでどおりの生活」と「投資をする生活」とを比較し、それぞれでお金がどうなっていくのかということも学びます。

最後の第3ステージは「お金を活かす」です。これは、管理できるようになったお金を実際に活用していく、つまり、実践での投資となります。

ここで最も重要となるのは、「順を追って3つのステージを確実に上がっていく」ということです。特に第2ステージでお金の活用法について学んでいると、すぐにでも投資をしたくなってくるものです。しかし、学び始めた段階では投資にまつわるリスクについて十分に学び切れていないということもあり得ます。そうして投資で失敗してしまうという事態を回避するために、順を追って3つのステージを確実に上がっていくことが必要になるのです。

「順を追って3つのステージを確実に上がっていくことが重要」【撮影=藤巻祐介】


具体的な目標なくしてお金は貯められない

そして、お金を増やすためには、第1ステージの解説でも少し触れましたが、「目標を持つ」、つまり「お金を貯める理由をはっきりさせる」ことが重要です。みなさんはどうしてお金を貯めたいのでしょう?まずはそこをはっきりさせなければなりません。

人間は、「なんとなく将来が不安だからお金を貯めたい」といったぼんやりした気持ちだけでお金を貯められるような強い意志を持った生き物ではありません。そうではなく、具体的に何かを買いたいといったお金の使いみちをイメージするのです。それが、お金を貯めるための大きなモチベーションとなってくれます。

これまでお金を貯められなかった人には、自分自身のことを「お金の劣等生」のように思っている人も多いものです。そういう人に必要なのは、「自分でもお金を貯められるんだ!」という自信を持つための成功体験です。だからこそ、より具体的な目標を掲げることで「お金を貯めよう!」というモチベーションを強め、そして実際にお金を貯められたという成功体験を得ましょう。

その目標も、なるべく短期間で設定するほうがいいと思います。もし「1年間で100万円を貯めて〇〇を買う」という目標を立てたとしたら、その目標を叶える可能性はかなり低くなります。これまでお金を貯められなかった人ですから、1年間もモチベーションを保てないのです。

短期間での目標を設定し、まずはその期間における小さな成功体験を得る。それを繰り返して小さな成功体験を何度も積み重ねることができれば、「自分でもお金を貯められる!」という自信がどんどん大きくなっていくはずです。

「具体的かつ短期間で達成できる目標を設定し、成功体験を積み重ねることで自信につながる」【撮影=藤巻祐介】


この記事のひときわ #やくにたつ
・「リスク対策」と「お金を増やすため」に「貯める力」が必要
・「お金を管理し、お金を学び、お金を活かす」というステージを順に
・短期間での目標を設定し、小さな成功体験を得る

構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=清家茂樹、撮影=藤巻祐介

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