タザキの投資本案内「父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え」/お金の原則を学ぶと、お金の悩みから解放される

東京ウォーカー(全国版)

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こんにちは。YouTubeチャンネル「聞いてわかる投資本要約チャンネル」を運営している、二児の父でサラリーマン投資家のタザキ( @tazaki_youtube )と申します。

学生時代に株の魅力を知って以来、投資本好きが高じて自分の学びをYouTubeで発信したところ、想像以上の反響を呼び、3年間でチャンネル登録者が10万人を超えました。これまでに読んだ投資・マネー系の本は300冊以上。

ここでは、多くの投資本やマネー本を読んできた経験から、特におすすめの書籍や、コスパの高い書籍を、経験値や投資スタイル別で紹介していきます。6回目となる今回は 「父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え」(著:ジェイエル・コリンズ/ダイヤモンド社) を取り上げます。

お金持ちの家は何世代にも渡りお金持ちであり続けることが多いですが、それは資産が相続されているだけでなく、「マネーリテラシーも引き継がれているから」ではないでしょうか。しかも、そこには相続税は一切発生しません。

『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』は、今でいうFIREを実現させた著者ジェイエル・コリンズが、10代の娘に向けて書いた手紙が元になっています。

父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教えダイヤモンド社


年頃の娘さんにとっては「お金のことばかり考えたくはないわ」と思ったようですが、お金に無知でいると、嫌でもお金の心配をしなければならない人生になってしまいます。

逆に、お金に関する原則を学べば、お金の悩みから解放され、お金以外の大切なことに集中することができるのです。投資、貯蓄、簡素なライフスタイルを身につければ、タイトル通り「自由」を手に入れるということですね。

投資と人生のシンプルな原則

全体を通して、何度も出てきたフレーズがあります。
・支出は収入よりも少なくする
・借金はしない
・余ったお金を投資する

言い方が変わっているところはありますが、基本はこれが原則になっています。

・支出は収入よりも少なくする
当たり前のことですが、それができない人が少なくありません。日本人でも、独身の3割、2人以上世帯の2割ほどで、金融資産がほぼ0だと言われます。

まずは月に5000円や1万円などから、少しずつでも貯まる生活スタイルにすることが、資産形成の第一歩です。

著者は、 収入の50%を確実に貯蓄し続けた ことによって、経済的自立を果たしたと言います。

すでに、毎月一定の貯蓄や投資ができているという方も、毎月の収入の50%を貯蓄または投資に回すことを、一つの目標にしてはいかがでしょうか。私も50%は一つの努力目標にしていますが、毎月必ずというのはなかなか難しいものです。

・借金はしない
借金をすることは、複利の力を敵に回すことに他なりません。

毎月の支出の一定額を、利息の支払いに充て続けることになります。また中毒になることは、精神衛生的にも良くありません。すでに借入がある場合は、利息の水準に合わせて繰り上げ返済をすべきです。

・余ったお金を投資する
投資は「あくまでシンプルでいく」ことに主眼を置いています。それを実行するための方法として、バンガード社のインデックスファンドを買うことが推奨されています。

投資と言っても
・個別企業の株式を選ぶ
・優秀なアドバイザーや専門家からアドバイスを聞く
・ファンドマネージャーが市場平均を超えるように作ったアクティブファンドを選ぶ
・こまめな売買を繰り返す
このような考えは全部不要 だと言い切っています。

もし個別株やアクティブファンドを買おうかなと思った時は「私はウォーレン・バフェット(投資の神様とも呼ばれる著名投資家)だったかな?」と自分に問いかけるべきだと。

かなり徹底した考え方ですね。また、そこまでインデックス投資を推す理由が、楽だからではなく(実際楽でもありますが)、他の選択肢よりも資産を増やすことに有効であるからと、強調して語られています。

おもしろみにかけてしまう、ということは否めません。しかし、大抵の人が資産運用を始めるにあたっての最も賢明な選択であることは確かでしょう。

株式インデックスを買うときはVTSAXというバンガード社の投資信託が勧められていますが、 日本のネット証券で手軽に買えるVTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)も、個人投資家向けとして紹介されています。 VTSAXと同様に、全米全体の銘柄に広く分散し、コストが安く、株式に100%投資できるため、問題はありません。

また個人的には、資金規模の小さい積み立て段階では、投資信託の方がVTIなどのETFよりもベターだと思います(すでに取り崩す段階に入ったら、ETFの方がベターな可能性はあります)。理由は、積み立て段階で重要な複利効果を少額からでも活かせるためです。

VTIを買おうと思うと192ドル(2022年12月現在)が最低購入金額であり、日本円で約2万6000円(2022年12月現在)です。一方、実質同じ中身の投資信託である楽天・全米株式インデックス・ファンド(通称楽天VTI)なら、100円から購入できます。

資産形成に複利での運用が重要であることは常識ですが、資金規模が小さいと、ETFでは複利効果を生かせません。VTIの分配金利回りは約1.5%ですから、価格と同程度の分配金約2万6000円をもらうためには、約173万円以上も投資しなければなりません。

一方、投資信託なら、1単位を追加投資するのに必要な金額は6666円程度なので、常にほぼ全額に対して複利効果の恩恵を受けられるのです。楽天VTIは分配金の実績はないのですが、ファンド内で再投資をしているため、実質的には6666円程度から、複利の恩恵を受けられていると考えられます。

また、投資信託を積み立てる方が、本書の「あくまでシンプルに」というテーマにも合うのかと思います。

表1 資金規模の小さい積み立て段階では、投資信託の方が複利効果を活かせる


資産を積み上げるステージで、ドルコスト平均法はいつもベストなのか

今現在収入がある現役真っただ中の世代であれば、株式インデックスファンドへの集中投資のみで十分だと書いています。めちゃくちゃシンプルですよね。現役世代はとにかく余剰資金を株式インデックスに積み立てるいわゆる「ドルコスト平均法」で、私自身も実践しています。

ただし、 すでに一定の貯金がある方にはもう一つの選択肢があります。それは「一括投資」です。

同書によれば1970年から2013年までの43年間では、上昇期間が77%で、下落している期間が23%しかありませんでした。 ドルコスト平均法が一括投資よりも有利になるのは、「買った後に下がった時」だけです。

相場が基本的に上昇し続けているのならば、最速で全額を入金するのが、最もリターンが高まります。逆に、下落する場合や、ボックスを形成し横ばいの場合には、一括投資よりも積立投資(ドルコスト平均法)の方が効果的です。

表2 相場が上昇しているならば、最速で全額を入金するのが最もリターンが高い


つまり、なるべく早い段階で資金を株式市場へ露出させる方が良いのです。すでにまとまった貯金があってお金を持て余した状態の方は、のんびり積立投資をするよりも、一括投資をした方が良い可能性があるということは、知っておくべきことです。

ただし『投資の大原則』の第一回にも書いたように、ドルコスト平均法による積立投資は「精神衛生的に良い」というメリットがあることも忘れてはいけません。著者のジェイエル・コリンズは「ドルコスト平均法を好まない」と語っていますが、それはある程度市場の法則を学んだからこそ出てくる言葉だと思います。

金額や年齢にもよると思いますが、 自分が安心して眠れる範囲で、一括投資を検討していけば、十分かと思います。 私自身は、毎年ボーナスがでたら即座に一定額を株式インデックスファンドに入金しています。常に余剰資金を最速で株式市場にさらし続けても、安心して夜眠りにつくことができるようになったためです。

資産を維持し、引き出すステージ

引退が近づいてきたら、資産を維持し、引き出すステージに入ります。守りを重視する段階では、株式一辺倒ではなく、債券を少しずつ混ぜていきます。

債券においても、個別の生の債券を買う必要はなく、幅広く分散された低コストの投資信託を買います。 日本で手軽に買えるものとして、AGGやBNDといったETFが候補になります。

AGGとBNDはほとんど似たような内容であるため、SBI証券や楽天証券といった主要なネット証券で買付手数料が無料のAGGがおすすめです。

株式と債券の比率は、自分のリスク許容度や資産額、年齢を考慮して調整するのが良いかと思いますが、同書の 「4%ルール」 は目安になると思います。近年、日本でもFIREムーブメントが話題になったことで聞いたことがある方も多いかと思います。

1998年にトリニティ大学の教授3人が、株式と債券のさまざまな組み合わせのポートフォリオからどれだけ引き出すと、どうなるかを調べました。2009年には新しい数字で再計算もされています。

表3 トリニティ大学の研究結果。「50%株式50%債券」の「30年」の行で、4%の列を見ると、資産が残る可能性が96%と示されている


調査によれば、 株式と債券を半分ずつ保有するポートフォリオで毎年4%ずつ引き出すと、96%の確率で、30年後に資産が減らなかった と言われています。

さらに驚くべきことは、 この96%のうちの大抵のシナリオでは、残高が残っていただけでなく、むしろ増えていた ことです。

当初100万ドルで、
・100%株式なら約1007万ドル
・株式75%、債券25%なら約596万ドル
・株式50%、債券50%なら約297万ドル

この4%ルールが安全な引き出し率なだけではなく、むしろ増える可能性も結構高いということがお分かりいただけるかと思います。

会社に縛られないお金を作るシンプルな原則

「私の資産形成に対して最大の妨げになったものは何か?」と著者が聞かれたとしたら、“長い期間に渡ってインデックスファンドに反対していたこと”だと言うそうです。

バンガード創始者ジョン・ボーグルがインデックスファンドを開発した時代、まだまだ業界では彼の理論が認められなかったといいます。

しかし、投資会社の利害は株主の利益と一致すべきだというバンガード社のコンセプトの正しさは、長い歴史が証明してきました。

インデックスファンドを開発したバンガード社の功績は、どれほどか計り知れないほどです。同書は、 資産運用の基本を脳内に染み込ませてくれるような1冊 でしょう。資産運用の入門書としても最適です。

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