音楽を通して社会貢献に取り組む「公益財団法人名古屋フィルハーモニー交響楽団」の取り組みとは

東京ウォーカー(全国版)

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1966年の設立以降、「地域の皆さんに親しまれ、愛され、誇りに思える、世界的に評価されるオーケストラ」をめざして演奏活動を続ける名古屋フィルハーモニー交響楽団、愛称は “名(めい)フィル”。「私たちの活動そのものがSDGs」と話す理事長の山口千秋さんに、名フィルのSDGsへの取り組みについて話を聞いた。

公益財団法人名古屋フィルハーモニー交響楽団(サンクスコンサートにて)


今から57年前、「名古屋にクラシックのオーケストラを」と音楽を愛する有志たちによって発足した名古屋フィルハーモニー交響楽団。1973年からは名古屋市の出捐により、財団法人に。その後支援の輪は広がり、現在は名古屋市、愛知県、国のほか、約360の地元企業や670人の個人の賛助会員がサポートしている。コロナ禍以前は、年間のオーケストラでの演奏会を約110回行っている。

「コロナ禍では公演数が半分に減ってしまい、私たちも大変な影響を受けました。練習すらできなかった状況の中で、地域の方々から“文化芸術の火を絶やしてはいけない”と変わらず支援を受け、なんとか乗り越えることができました」と話す山口さん。

こうした支援に感謝をしたいと、2022年10月にはワンコインで本格的なオーケストラ演奏が楽しめる「サンクスコンサート」を開催。チケット収入全額にあたる約75万円は名古屋市を通じて「名古屋市福祉基金」に寄付した。「地元の多くの方々に、“我々のオーケストラ”という意識を持っていただけている。そうしたお姿に触れ、あらためて、感謝の想いを抱きました」と山口さんは語る。

【写真】感謝を込めて行われたサンクスコンサート(2022年10月2日:日本特殊陶業市民会館フォレストホール)


名古屋フィルハーモニー交響楽団では以前からSDGsの理念に通じる事業に積極的に取り組んでいる。「もともと子供たちのためのコンサートや、福祉コンサートは行っていましたが、SDGsの観点で振り返ると『3.すべての人に健康と福祉を』『4.質の高い教育をみんなに』『10.人や国の不平等をなくそう』に当てはまることがわかり、名フィルのSDGsとして宣言しました」。

そのひとつが、40年もの間活動を続ける「なごや子どものための巡回劇場『名フィルがやってきた!』」だ。これは名古屋市文化事業振興団ほかと名フィルが共催するもので、毎年数回公演を行う。「公演は好評で毎回ほぼ満席になりますが、どうしても規模が小さい劇場等での公演になり、来場していただける方に限りが出てしまいます」と山口さん。そこでSDGs宣言後、もっとオーケストラを多くの子供たちに楽しんでもらいたいと2021年からスタートしたのが「こども名曲コンサート」だ。「未就学児は感受性が育つ大切な時期。子供にも、親御さんにも、本格的なコンサートホールで演奏をたくさん聴いていただきたい、との思いでスタートしました」。

名古屋市内の小劇場等で行われる「なごや子どものための巡回劇場『名フィルがやってきた!』」

子供が集中できるよう、1曲3分ほどの曲で構成される


「こども名曲コンサート」は単純にクラシック音楽を聴くだけではなく、子供が楽しめる工夫もされている。今年9月に行われたコンサートでは「オーケストラが奏でる絵」をテーマに、演奏会のプログラム冊子に、ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲『展覧会の絵』など演奏曲にまつわる絵画を掲載。絵画の解説もしながら演奏を行った。「わかりやすかった、楽しかったと喜んでいただけました」と山口さんは笑顔で話す。「1月のコンサートは、『オーケストラが奏でるおどり』をテーマに行う予定です」。

5歳から入場できるというのも、このコンサートの特徴だ。「2023年4月に名フィル音楽監督に就任する川瀬賢太郎さんが、特に子供のコンサートに力を入れています。“子供が聴いた曲をどう捉えるかが大切。思うままに、自由に音楽を楽しんでほしい”とあえて難しい曲も取り入れ、子供の感性で聴いてほしいというのが願いです」。常にいい音楽がそばにあってほしいという想いが、SDGsの取り組みである「質の高い教育」にもつながっていくのだ。

大人も楽しめるフルオーケストラの本格的な演奏を行う「こども名曲コンサート」

「こども名曲コンサート」のために世界初演となる新曲を作曲した名フィル・コンポーザー・イン・レジデンスの坂田直樹さんが作品について語る

4月に音楽監督に就任する川瀬賢太郎氏。現在は名フィル正指揮者Yoshinori Kurosawa



「『夢いっぱいの特等席』福祉コンサート」も名フィルの特徴的な公演のひとつ。障害を持つ人々に、健常者と同じように本格的なホールでいい音楽を楽しんでほしいという願いから毎年行われている。開催にあたっては、多くのボランティアが協力。ストレッチャーや車椅子のままでも入れるように、ステージ前の座席は取り払われる。生のオーケストラの本格的なコンサートだが、客席は常時明るいまま。声を出したり、走り回るのも制限しない。

「選曲は、お客さまも手をたたいて参加できるものなど工夫をしています」と山口さんはいう。こうした社会福祉への貢献は、楽団にとっても得るものが大きいとも。「障害を持つ方はとても感情が豊かで、率直に喜びを表現してくださいます。演奏中や終演後の皆様の笑顔、それが楽団員の励みになります。またボランティアの方々の協力がないと成り立たないコンサートでもあります。多くの人々が支え合って成り立っている取り組みだと実感しています」。

「『夢いっぱいの特等席』福祉コンサート」では寝たままで、あるいは車椅子のままで音楽を楽しむ工夫が行われている


今後もこうした地域への社会貢献活動を展開するとともに、さらに演奏の質を高めていくことが目標だと山口さんはいう。「我々はより多くのお客さまに楽しんでいただける演奏を行うことが、そのままSDGsにつながると考えています」。地域の人々にますます親しまれ、愛される楽団になることをめざして名フィルはこれからもSDGsに取り組んでいく。

公益財団法人名古屋フィルハーモニー交響楽団理事長の山口千秋氏

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