タザキの投資本案内「千年投資の公理」/長期優良株に欠かせない経済的な“堀”を見極める方法とは

東京ウォーカー(全国版)

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こんにちは。YouTubeチャンネル「聞いてわかる投資本要約チャンネル」を運営している、二児の父でサラリーマン投資家のタザキ( @tazaki_youtube )と申します。

学生時代に株の魅力を知って以来、投資本好きが高じて自分の学びをYouTubeで発信したところ、想像以上の反響を呼び、3年間でチャンネル登録者が10万人を超えました。これまでに読んだ投資・マネー系の本は300冊以上。

その経験から、ここでは特におすすめの書籍や、コスパの高い書籍を、経験値や投資スタイル別で紹介していきます。今回は 「千年投資の公理」(著:パット・ドーシー/パンローリング) という本をご紹介したいと思います。

千年投資の公理パンローリング


ウォーレン・バフェットも用いるといわれる投資行動計画は、以下の通りです。

一.長期間にわたって平均以上の利益を上げることができる企業を探す
二.その企業の株価が本質的価値より安くなるまで待ってから買う
三.企業価値が低下するか、株価が割高になるか、さらに優れた投資先が見つかるまで、その銘柄を保有する。保有期間は、月単位というよりも年単位で考える
四.この手順を必要に応じて繰り返す

同書は、主に 「一.長期間にわたって平均以上の利益を上げることができる企業を探す」に注力している本 です。

「何があれば、企業の縄張りに参入しようとしている賢くて資金力もあるライバル社を阻むことができるか」という疑問に答えるために 「経済的な堀」 についてまとめられています。

「経済的な堀」は、ウォーレン・バフェットのインタビューなどでもたびたび聞かれる言葉です。敵から城を守る堀のように、競合他社からその会社の継続的な利益を守ってくれるような優位性を表しており、以下の4つが挙げられています。

1…無形資産
2…乗り換えコスト
3…ネットワーク効果
4…コストの優位性

【無形資産】価格決定力のあるブランド、当局の認可、分散した特許はあるか
ブランドや特許、行政の認可など。本質的にこれらは同じような機能をもたらし、市場で独自の地位を確立できることになります。

・ブランド
例として、ブランドが与える安心感や信頼感は、時により多くの対価を支払っても良いと思わせる力があります。

指輪や宝石ならば、全く同じ種類の石で同じ重さ、大きさ、色、透明度のものだとしても、ブランドの違いで価格が変わります。ブランドロゴが載せられた紙袋に入っていれば、値段が高くとも、人々はブランド物を選びます。

・特許や認可
ライバルを抑制する行政の認可や特許は堀になる可能性が高いですが、これらは期限付きである場合がほとんどです。

また、新しい特許が出たとなると、それまでの優位性が失われることもあります。よって、多くの分野に分散されたものである方が望ましいです。

【乗り替えコスト】しつこい顧客は面倒ではなく黄金だ
顧客がライバル社の製品やサービスに切り替えるのが大変なとき、乗り換えコストの優位性があると言えます。乗り換えコストには大きく3種類があります。

・事業と密接に関わっているもの
会社のデータベースプログラムや会社で使っている管理のソフトウェアといったものは事業と密接につながっています。

企業の膨大なデータをそのプログラムに入れ込む時間や、その作業をした人件費など、多大なコストがかかっており、サンクコストがあるため入れ替えのハードルは高いです。

時間や手間のコスト、さらに、入れ替えをするときにデータを打ち間違えするリスクなども、金銭面以外のコストも多くあります。

・金銭的コストがあるもの
例えば投資信託に投資をしているとき、商品Aから商品Bに乗り換えようとすると、解約手数料がかかります。さらに、新しい商品の買付手数料もかかります。

そもそも、新しいファンドマネージャーが古いファンドマネージャーよりも高いリターンを今後も出し続ける保証はありません。乗り換えすることで確実に儲かるのは、証券会社だけですね。

・再訓練によるもの
例えばAdobeのツールが挙げられます。私もAdobe Premiere ProをYouTubeの編集で使用しています。

そうしたツールは使えるようになるまで、基本操作や、テクニックを覚えるための訓練が必要ですし、もしそれを雇っているスタッフに研修としてやらせるとしたら、研修代金もかかります。当然習得する時間もかかります。

それほど苦労して覚えたAdobe製品を操る能力を、別のツールに入れ替えるとなれば、また操作を覚え直さなければならないので、めちゃめちゃ大変です。正直私も、Adobe Premiere Proを乗り換えたいとは思いません(笑)。

【ネットワーク効果】ネットワークの人数が増えれば、価値が上がる
これはユーザー数が増えれば増えるほど製品サービスの価値が上がるものとされています。乗り換えコストの一種であるとも考えられています。

例えばSNSは典型的な例です。なぜ日本でLINEをみんな使うかというと、「みんなが使っているから」なんですよね。鶏と卵の話みたいですが、「利用ユーザーが多いほど、サービス自体の価値が高まる」典型ですね。

フリマアプリもです。メルカリが人気なのは、売り手から見れば買い手が多く、買い手から見れば売り手が多いからです。

近年の事例で言えばPayPayのようなキャッシュレス決済もそうですね。使えるお店の数が増えれば増えるほどそのサービスの価値も上がります。なおかつそれが参入障壁になります。

Microsoft Office製品にいたっては、どの会社でもインフラ的に使用されるツールであるため、これを別のツールに乗り換えることは考えられません。

このネットワークは広がり過ぎており、仮にMicrosoft Officeと同じような機能を持っていて完全無料だとしても、有料のMicrosoft Officeには勝てないと同書には書かれています。それほど、ネットワーク効果が巨大だということですね。

このネットワーク効果は表れる業界と、表れない業界があって、売ってる商品・サービスが「競合財」なのか「非競合財」なのかで変わります。

競合財は、物理的な商品で、一度に一人しか使用できないものです。例えば工事現場の機械は、一人が操縦していれば、他の人が同時にその機械を使うことはできません。

一方で、非競合財は「情報」などが挙げられます。「知識の移転」が基盤になっているサービスで、SNS、クレジットカード、フリマサイトも、全て「情報」を扱うサービスです。

そうした、知識の移転を基盤としているサービスでは特に、ネットワーク効果という経済的な堀はできやすいと言われます。

SNSは「ユーザーが多いほど価値が高まる=堀になる」典型的な例


【コストの優位性】経営者の質よりも、事業のコスト優位性
これまで見てきた優位性は、より高い価値をつけることを可能にする優位性でしたが、より低コストで同程度のものを生産できる能力も堀になります。コスト優位性4種類をご紹介します。

・安い製造過程
製造過程を工夫することによる優位性です。ただしこれは一時的な優位性である可能性があります。なぜなら模倣できる場合が多いからです。

安い製造過程による堀を見つけた場合は、模倣のしやすさを同時に検討することが必要です。

・有利な場所
地理的な優位性は、簡単に模倣することができないため、「安い製造過程」よりも耐久性のある優位性だと言われます。

特に安くて重いもの。商品重量当たりの価値が低い商品で見られる特徴です。

例えばネジや砂利です。この、安くて重い商品のどこにコストがかかっているかと言うと、輸送のコストです。単価が安く、重いものは近場で調達するのが一番です。このような点で優位性があるのだとしたら、経営者がいかに頭を悩ませて工夫や努力をするよりも、よほど大きな結果を生み出します。

・独自の資産
産油国など、天然資源が豊富な国が典型的な例です。そのように、他の多くの国にないものは独自の資産になります。

ブラジルのアラクルーズ・セルロース(現フィブリア)は世界最大の紙パルプ会社です。ブラジルでは原料になるユーカリが他の地域よりも圧倒的に早く育つため、超えられないコストの壁を作っています。

・規模の大きさ
規模によるコスト優位性は、販売、製造、ニッチの3分野に分けられます。

経済用語では「規模の経済」と言われますが、特に固定費の比率が高いビジネスで、規模が大きいことのメリットが現れやすいです。そのような業界は統合に向かうこともあります。統合することによって、全体における固定費の比率が下がれば、生産性が改善するためです。

こうして書くと製造業のイメージが強くなりますが、販売の規模も重要だと言われます。大規模な販売ネットワークも同様に作用します。

ニッチ市場で最大の企業は、大手が参入してこないため、堀に守られていると言えます。大手は大きな市場で戦う方が効率がいいので、わざわざ参入しません。

狭い池に大きな鯉が入ってきても、誰も得をしません。

地味なニッチ市場でナンバーワンを取っている企業は、経済的な堀を築いている可能性があります。

大きく、長期的に利益を守る堀を探す

代表的な4つの経済的な堀がある事によって企業の利益は守られます。問題は、堀が一時的なものではなく、長期的に続く堀であるかどうかです。

永続性のある堀を見つけるためのヒントが、同書には凝縮されています。 時代や国を超えて通用する、優良企業の探し方でしょう。

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