構想40年の初監督作!「TAP -THE LAST SHOW-」水谷豊監督・HIDEBOHインタビュー

関西ウォーカー

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俳優・水谷豊が監督に挑戦。構想40年、23歳の頃に思い描いていたストーリーを軸に映画「TAP -THE LAST SHOW-」を完成させた。タップダンスを題材に、ショウビジネス界の光と影を丁寧に描いている本作は、40年間思い続けていた水谷監督の夢が詰まった作品となった。自ら主演を務めた水谷豊監督と、劇中のタップダンスの振付・監修を担当したダンサーのHIDEBOHにインタビューを行い、ショウビジネス界の現状や本作の魅力について話しを伺った。

映画「TAP -THE LAST SHOW-」は、タップダンスの世界に焦点を当てた物語。不慮の事故で第一線から退いた天才タップダンサー渡真二郎(水谷豊)の前に、旧知の劇場から「ラスト・ショウ」を演出してほしいとオファーが。渡は渋々参加したオーディションで若き才能に触れ、止まっていた時間が動き出す、というストーリー。ラスト・ショウに奮闘する5人の若きダンサーには、オーディションで選ばれた本物のダンサーを起用した。

水谷監督にとって初監督作品となった本作。タップダンスの世界を一本の映画にしたいと思ったのは、23歳の頃。今、思い返せば行きつくところはチャップリンだったと明かしてくれた。

「チャップリンが大好きであの動き、大きな靴が僕の中ではタップダンスと結びついてしまったんです。それからジーン・ケリーやジンジャー・ロジャースなどのショウの世界に夢のような憧れを持つように。いつか若いタップダンサー達がスポットライトを浴びたいと夢見る映画をつくりたいと思っていました」

ショウビジネス界は、限られた人だけがスポットライトを浴びることができる厳しい業界。本作でも日本の厳しいショウビジネス界の現状を浮き彫りにしている。タップダンスの振付・監修を担当したHIDEBOHもダンサーで食べていくのは大変なことだと話す。

「タップダンスはストイックに練習をしなければうまくなれない。バイトをしながらでもいいから続けている人もいるし、タップダンスが趣味になっていく人もいます。でも、いつかプロとして踊りたいという、現実と夢、光と影は実際にもありますね」

本作でタップダンスを披露するキャストは、オーディションで約500人以上の中から選ばれた新星たち。本作でもオーディションのシーンがあり、そこでは水谷監督が演じる渡が鬼のようにダンサーを振るいにかける。実際のオーディションの様子を聞くと、渡のように怖くないと茶目っ気に答える水谷監督。

「あんなに怒っていると、誰も出演してくれませんからね(笑)HIDEBOHさんに参加してもらって、実力やこれからの伸びしろまで、僕にもわからないところまで理解して選んでくれました」

劇中には説得力のある格言のようなセリフが多い。才能あるダンサーMAKOTOがオーディションに遅刻してきたとき、渡がMAKOTOに放つセリフ“時間を守れないやつにはチャンスはない”。このセリフには水谷監督の思いが詰まっている。

「彼(MAKOTO)の才能は理解しているけれど、才能以上のものを持っているなら必ずはい上がってくるのを渡もわかっている。そのぐらいじゃなきゃだめだと。語らずともわかってくれる世界、言葉を超えた世界にたどり着きたいと思って書いたセリフです」

才能を理解したダンサーに、あえてライバルを当てがうシーンがある。そこでのセリフ“ライバルがいないと、上へはいけない”。これもまたひとつの教訓といえる。水谷監督はライバルの存在について話してくれた。

「いろんなスタイルの役者がいて、みんな自分にはできないことをやっている。それを見ると“嬉しく嫉妬”するんですよ。それがまた自分を次へ向かわせてくれる。常に嬉しく嫉妬することを求めてしまう。本当に嫉妬すると困ったことになるんですけど(笑)」

ダンスで成功を収めているHIDEBOHからも、ライバルがいないと安心してしまうと水谷監督の意見に大きく頷く。そこで、水谷監督にとって本作での若手ダンサー達の芝居とダンスは、ライバルに値するぐらい刺激になったのかを聞いてみた。

「20代の頃にこの作品を考えていたときは、自分がステージで踊るだろうと思っていました。けど、この歳になって、この作品が作れるってなって踊らなくてよかったなって思いました。だって、HIDEBOHさんに作ってもらったショウのシーンを見たら、自分が踊っていたらあそこまで人を別世界に連れていけなかったと思うから。神様がこの歳まで、この作品を作るのを待っていたんだと感じましたね」

初監督作品で、自身の夢や思いをたくさん詰まった作品を作ることができた水谷監督。HIDEBOHをはじめ、さまざまな出会いに感謝しながら作品について話す表情は、輝きに満ち溢れていた。

【関西ウォーカー編集部/ライター山根 翼】

山根翼

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