「テリヤキバーガー」が50年続く定番メニューになった理由とは?当初は「できれば売りたくない」の声も

東京ウォーカー(全国版)

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今や、日本のハンバーガーチェーンのほとんどがメニューにラインナップしている「テリヤキバーガー」。テリヤキバーガーはもともと、「モスバーガー」を手掛ける株式会社モスフードサービスが考案したものだというのはご存知だろうか。

テリヤキバーガーが誕生する前の日本のハンバーガーは、“ケチャップ味”が主流。そのなかで誕生した“テリヤキ味”のバーガーは少々異端に思われたが、今ではすっかり人気者に。どのようにしてここまでのヒットとなったのだろうか。

今回はテリヤキバーガー誕生50周年を記念し、株式会社モスフードサービスの担当者にそのストーリーを聞いた。

モスバーガーが生みの親で、同チェーンで2番人気の「テリヤキバーガー」


伸び悩んでいたテリヤキバーガー。火付け役は女子高生!

諸説あるそうだが、日本におけるハンバーガーの歴史は1950年代から始まり、1970年代には続々とチェーン店が登場。そんななか、1972年に「モスバーガー」の1号店が誕生した。

モスバーガーは完全なる日本資本によるハンバーガー店で、東京・成増の1号店はわずか2.8坪。今日まで続く「モスバーガー」といったメニューは創業時からあったが、さらなる看板メニューの開発を行っていた。

1972年に東京・成増のオープンしたモスバーガー1号店


そこで掲げていたのが、「ケチャップ味とは違うハンバーガー」「日本人の口に合うように、日本の調味料を使ったもの」といったコンセプト。これらの条件を満たすために、醤油と2種類の味噌(白味噌・赤味噌)ベースの「テリヤキ」を考案し、創業の翌年1973年にめでたく発売となった。

しかし、当初「テリヤキ味のハンバーガー」というのは前代未聞であり、味のイメージがつきにくかったことから、客の反応が鈍かったという。また、テリヤキバーガーは店頭でのオペレーション上、看板商品の「モスバーガー」よりも3倍手間がかかるもので、店員たちは「できれば売りたくない」とも思っていたんだとか。

1973年にメニューに加わった、初代「テリヤキバーガー」


店員からも客からも芳しくない評価を受けながら、テリヤキバーガーはどのようにして50年後にもつながるような支持を得ることになったのだろうか。モスバーガー担当者はこう語る。

「1号店の常連のお客様だった女子高生の方から火がつきました。その方が、ご自身の学園祭で販売・紹介してくださったことで、口コミでテリヤキバーガーの存在が広がり、徐々に多くの方からご支持をいただくようになりました」

今日ではモスバーガーの人気メニューNo.2に君臨するテリヤキバーガーだが、「女子高生が広めた」とは意外だ。また、「テリヤキバーガー」というメニューがほかのハンバーガーチェーンにも派生したことを思えば、この事象はとても興味深いものでもある。

ソースのリニューアルは50年間で7回。おいしさの秘密とは?

少しずつ存在が定着し始めたテリヤキバーガーは、50年間で数多くの“派生バーガー”を展開してきたことはご存知の通り。担当者によると、これまでに以下の全12品を販売したという。

「月見テリヤキバーガー」
「クリームチーズテリヤキバーガー」
「グリーンバーガー(テリヤキ)」
「モスバーガーポテト(テリヤキバーガー風味)」
「AIR MOS テリヤキバーガー」
「AIR MOS クリームチーズテリヤキバーガー」
「AIRモスバーガー テリヤキたまご」
「ワイワイテリヤキチーズバーガーセット」
「テリヤキバーガー(コーンの香ばし揚げ)」
「旨辛テリヤキバーガー」
「ドーナツバーガー テリ(わさびソース)」
「『スッキリ!!』辛テリーヤキバーガー」

これまでに販売したテリヤキの関連バーガーの名称を見て、それぞれの味を想像するだけでも、味わいの汎用度の高さがうかがえる。さらにはテリヤキ風味のスナック菓子の販売実績もあったという。

派生商品「テリヤキバーガー(コーンの香ばし揚げ)」※現在は販売終了


一方、モスバーガーでは、時代の変化に合わせてベースとなるテリヤキソースのリニューアルもこれまでに計7回行ってきたという。

「弊社では常に味の見直しを行っており、2022年3月には7回目のリニューアルを行いました。従来のテリヤキソースにココアパウダーと黒すりごまを加えて味の厚みを出し、さらに米酢とバルサミコ酢を加えることで、ソース全体の味を引き締め、コクと酸味、深みをプラスしました」

また、7回目のテリヤキソースのリニューアルに合わせて、野菜などの素材も一部変更。特にモスバーガーのバーガーの魅力である「レタス」のおいしさについて教えてくれた。

「弊社との契約農家によって栽培されたレタスは、玉のままお店に納品され、毎日丁寧にお店で仕込んでいます。商品の味を支えているレタスは1枚ずつ流水ですすぎ、4℃の冷水に浸し、十分に水切りを行います。この作業を行うことで一層歯ざわりが良くなり、旨味が増します。また、レタスのカットも包丁で切ると旨味が損なわれるため、バンズの大きさに合わせて手でちぎって仕込みをしています。リニューアルした醤油と味噌のバランスが絶妙なテリヤキソースは、ハーフマヨやたっぷりのシャキシャキレタスとも相性抜群で、お客様からの高評価も多くいただいております」

5月15日を「テリヤキバーガーの日」に制定!

現在、モスバーガーで販売しているテリヤキ関連のバーガーは、「テリヤキバーガー」「ソイテリヤキバーガー」「テリヤキチキンバーガー」「グリーンバーガー(テリヤキ)」「モスの菜摘 テリヤキチキン」。そこに、2023年3月には期間限定商品として「とろったまチーズテリヤキバーガー」が加わった。モス自慢のテリヤキソースと、「とろったま」というトロトロのゆで卵、北海道産ゴーダチーズをマッチさせた贅沢なハンバーガーだ。

さらにモスバーガーでは、5月15日を「テリヤキバーガーの日」として記念日協会に申請し、承認を得たところだという。それに先駆けての商品となった「とろったまチーズテリヤキバーガー」は、同社の矜持と顧客への感謝が込められたひと品と言っていいだろう。

50周年に先立ち、リリースされた限定商品「とろったまチーズテリヤキバーガー」


最後に、担当者にメッセージをもらった。

「ここまでお伝えしたお話の通り、テリヤキバーガーは弊社が生みの親であり、今日まで続く代表的バーガーの1つです。今後も自慢のテリヤキソースの味わいを大切に守り続け、そして時代の変化に合わせて柔軟にリニューアルを行いながら、より多くの方に味わっていただきたいと考えております。今後も、モスバーガーのテリヤキバーガーをぜひご賞味いただければ幸いです」

撮影・取材・文=松田義人

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