最新作『バイオハザード RE:4』の制作秘話をバイオオタクが直撃!あの「空耳」はどうやって生まれた?

東京ウォーカー(全国版)

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誰もが一度は名前を聞いたことがあるゲーム『バイオハザード』。今ではゲームのみならず映画に小説、漫画とさまざまなコンテンツで展開される、サバイバルホラーの金字塔にして株式会社カプコンの大人気ゲームシリーズだ。

そんなバイオハザードだが、2023年3月24日にシリーズ最新作『バイオハザード RE:4』(以下、 RE:4)が発売。同作は2005年にリリースされた『バイオハザード4』(以下、原作)をリメイクした作品で、すでにプレイしたユーザーから高い評価を得ている真っ最中。筆者は、バイオハザードに特化したYouTubeチャンネルを運営するほど大ファンで、原作・RE:4ともにもちろんプレイ済みなのだが、やはり気になるのは制作の裏側だ。この作品を作り上げる過程で、どんな苦労や工夫があったのだろうか?

今回は、株式会社カプコン(以下、カプコン)『バイオハザード RE:4』プロデューサーの平林良章さんに、RE:4の制作秘話を聞いた。

最新作『バイオハザード RE:4』。「死を逸し、倒す快感」をコンセプトに、原作の魅力を守りつつリメイクされた話題作


大切にしたのは、原作の魅力である「感触とプレイテンポ」

原作では、それまでのシリーズ作品で採用されていた「固定カメラ&ラジコン操作」から打って変わり、「TPS」(サードパーソン・シューティングゲーム)と呼ばれる3人称視点でキャラクターを操作するシステムに変更された。それに伴ってプレイスタイルの幅は格段に広がり、プレイヤー独自の攻略方法が次々に編み出されていった。

「リメイク作品として、原作の魅力であった『感触やプレイテンポ』を大切にするというメインコンセプトを踏まえ、プレイフィール(ゲームプレイの触感)の現代化や新鮮に感じていただける要素を加えています。さらに、どんなユーザー様でも楽しめるゲームバランスにするために、敵の挙動や配置などをゼロから見直し、再構築しています」

【原作のプレイ画面】バイオハザードといえば「ゾンビ」のイメージが強いかもしれないが、今回レオンの前に立ち塞がるのは寄生生物「プラーガ」に支配された「ガナード」だ

【RE:4のプレイ画面】原作の雰囲気はそのままに、さらにレベルアップした恐怖演出がレオン(=プレーヤー)を襲う


発売から18年経った今もなお“シリーズ最高傑作”と呼び声高い原作だが、その要因はTPSの導入による自由度の高い操作性だろう。では、そうした原作の強みをRE:4ではいかにして昇華しているのか。

「RE:4の操作性は『バイオハザード RE:2』と『バイオハザード RE:3』、そして最新のナンバリングタイトルである『バイオハザード ヴィレッジ』を土台とし、ユーザー様に違和感なく遊んでいただけるように意識して制作しています。また、プレイヤーの戦略の幅を広げることを目的として、『ナイフアクションのバリエーション追加』や『しゃがむ』といった挙動も追加しています」

【RE:4のプレイ画面】「しゃがむ」で敵の背後に忍び寄り、同じく新たに実装された「ステルスキル」を駆使して、効率良く敵を倒そう!

【RE:4のプレイ画面】敵の攻撃に合わせてナイフを構えると発動する「パリィ」。タイミングが良ければ「メレー」(体術)につなげることも


ナラティブな演出で、さらに深い没入感を

筆者は当時、原作をプレイした際に味わった物語冒頭の荒廃した村エリアの不気味さや、狂気に満ちた村人(ガナード)の集団に襲撃された恐ろしさを今でもよく覚えている。

【原作のプレイ画面】原作の発売当時、それまでのバイオハザードでは感じたことのなかった恐怖を感じた筆者。ガナードは、戦闘時以外は普通に生活しているというのがなんとも不気味

【原作のプレイ画面】原作のグラフィックでも十分にきれいだが…


そんな筆者がRE:4をプレイして感じたのは、原作で味わった感覚もさることながら、まるで自身が主人公の「レオン・S・ケネディ」になり、ゲームの世界を実体験しているかのような没入感だった。それにしても、ここまで夢中になれる理由とは一体何なのか。

「原作は非常に精彩かつ魅力的なグラフィックを持つ作品でしたが、18年経った現在、マシンスペックの進歩により、当時では実現できなかった最上級の光源表現や空気感の演出が可能になりました。また、グラフィック面においても、最新の技術と原作以降のシリーズタイトルで培ったナラティブ(主体的なゲーム感覚)な演出のノウハウを生かし、原作にあったエリアごとのビジュアルの魅力・コンセプトがよりわかるよう、再構成を目指しました」

【RE:4のプレイ画面】精巧に作り込まれた背景と夕日の光が反射した水面。敵との戦闘をよそに、その美しいグラフィックに見惚れてしまう

【RE:4のプレイ画面】投石機から放たれた砲弾によって周りは火の海に。火の粉の表現や、炎の光源表現は圧巻!


加えてキャラクターやクリーチャーについては、原作にもあったキャラクターの特徴的なニュアンスを残しながらも、プレイヤー自身が「こういう意図があるのかな?」と解釈・想起できるようなデザインに作り替えているのだとか。普通にプレイするだけでも十分に満足感はあるが、キャラクターのバックグラウンドを知ることで、RE:4の物語により一層深みを感じられるはずだ。

【原作のプレイ画面】原作では、レオンが愛用する「ナイフ」について特段描写はなかった

【RE:4のプレイ画面】対してRE:4でレオンが装備する「コンバットナイフ」には、「先輩から譲り受けて以来愛用している」とあり、彼のバックグラウンドを垣間見ることができる


気になる「空耳」について。反響を受け、RE:4では…

前述の通り、原作の醍醐味はプレイ時の感触やテンポの良さだった一方で、ファンの間で親しまれていた要素が「空耳」だ。原作およびRE:4の舞台はヨーロッパの閑村で、登場するキャラクターや敵クリーチャーの「ガナード」はスペイン語を話すが、セリフの一部が「ペラペラソース」「あーりえんな」に聞こえると発売当時から話題だった。

【原作のプレイ画面】みなさんは、どの空耳が印象に残っているだろうか?


そして先日、バイオハザードの公式YouTubeチャンネルで配信されたアニメPV内では、なんと空耳が取り入れられた。これには「ついに公式公認に!」など多くの喜びの声であふれたが、当のカプコンはこの空耳をどのように認識していたのだろうか。

「当時の原作の制作スタッフは、意図して言葉を選んでいたわけではありませんでした。セリフはあくまで『ヨーロッパの閑村での不気味な村人たちを表現するため』に用意したエッセンスだったんです。しかし原作発売後から現在に至るなかで、多くのユーザー様が原作における楽しみの1つとして捉えてくださっているんだと、開発チームでも認識していきました」

以上の背景もあり、RE:4のサウンドやボイスは多様な楽しみ方を見越して制作したそうだ。平林さんは「RE:4ではより深く村人たちの不気味さを感じていただくために、原作にはなかったセリフ類も追加しています」と見どころを話してくれた。

【RE:4のプレイ画面】2023年3月21日に「CapcomChannel」で配信された『カプコンTV!!』。ガナードのセリフが「チャンネル登録お願いします」に聞こえると話題になった

【RE:4のプレイ画面】進化したガナードの不気味さとともに、新たな空耳も探してみよう


懐かしいのに新しい!新・旧どちらのファンも楽しめる最高傑作

最新技術によってリメイクされたRE:4は、高いクオリティと壮大なスケールを誇るものの、原作の魅力を損なわない絶妙なバランスで仕上がっている。発売されて約1カ月が経った今、ユーザーからはどんな声が届いているのだろうか。

「本作の開発コンセプトであった“懐かしくも、新鮮な体験を”という部分においても、原作を体験いただいたユーザー様からは『原作を遊びこんでいたけど、新鮮に楽しめた』といった声を多くいただいています。スタッフ一同、バイオシリーズファンの方や本作から初めて遊ばれた方、それぞれに楽しんでいただける作品作りを目指したので、非常にうれしいですね。“目指していた体験をお届けできている”という実感があります!」

【原作のプレイ画面】巨人クリーチャー「エルヒガンテ」。圧倒的な巨体でレオンの行く手を阻む

【RE:4のプレイ画面】リメイクで生まれ変わったエルヒガンテ。迫りくる巨躯の迫力は、原作の比ではない!


最後に平林さんは、「未プレイの方は、ぜひ今年のゴールデンウィークにでもRE:4を体験していただけるとうれしいです」と話してくれた。当時原作を楽しんだ人はもちろん、新しくRE:4をプレイする人も、極上のサバイバルホラーを体感できること間違いなしだ。

取材・文=西脇章太(にげば企画)

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