昭和の食卓を彩った「花柄ポット」が令和になって再ヒットした理由とは?開発のヒントは“着物”

東京ウォーカー(全国版)

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア

今、「花柄ポット」が若年層の間で話題になっているのをご存知だろうか。昭和時代を過ごした人は驚くと思うが、あのポットがここ数年の“レトロブーム”の一環で再ヒットしているのだ。

この流れを受け、象印マホービン株式会社では「象印復刻花柄シリーズ」を発売。昭和の食卓を彩っていた花柄をあしらったポットやタンブラーを売り出したところ、SNSで話題になり、柄によってはすぐに完売したそうだ。SNSを見るかぎり、若者たちは「レトロでかわいい」という理由で購入しているようだが、そもそもの「花柄ポット」の魅力とは何なのだろうか。

今回は、象印マホービン株式会社(以下、象印)の濱田捷彦さんに、花柄ポットの誕生秘話と第二次ブームまでの変遷を聞いた。

「花化粧」(1968〜1974年)。本物さながらの可憐な花があしらわれたデザイン


「花柄のポット」着想は“着物”から!

1960年代後半、高度経済成長期に突入した日本の食卓には多彩な料理が並ぶようになり、同時に食事そのものを楽しむ、いわゆる“家族団らん”も一般的になりつつあった。そんななか誕生したのが「花柄ポット」だ。写真さながらの美しい花をあしらったデザインは、「食卓が華やぐ」とたちまち大人気になった。

「花柄という柄は昔から着物に採用されている、日本人にとっては非常に馴染みのあるモチーフでした。ポットに採用する以前にもトースターなどで採用されていましたが、当時、ちゃぶ台で食卓を囲んでいた人々にとって、『花柄ポット』は食卓を彩る花と花瓶のような扱いでした。発売してすぐに大ヒットしたので、他社さんからもいろんな『花柄ポット』が出ていましたね」

「フローラ」(1975〜1978年)。「花化粧」から一転、鮮やかでポップな色合いのイラスト調に

「ルナフラワー」(1977〜1981年)。水彩絵の具で描いたような淡い色味が特徴


その後、時代が進むにつれて徐々に花柄のテイストが変化していき、リアルな花からイラスト調の花に変化。最初、象印では花柄があしらわれていたのはガラスのハンドポットのみだったが、その大ヒットの影響でエアーポットや電子ジャーなどにも採用され、一般家庭に広く浸透することとなった。

「ワインフラワー」(1980〜1984年)


徐々に衰退も…第二次ブームが起きたきっかけとは?

1980年以降になると、生活様式がモダン化、シンプル化に変化していく中で「花柄ポット」は家庭から姿を消しつつあった。そこからしばらくは“おじいちゃん・おばあちゃんの家にあるポット”という印象が強くなり、若年層が保有する割合は減少。ところが、昨今の“レトロブーム”でその状況は一変した。

「2015年に『GARARY』(ガラリー)という、過去に発売されていた『花柄ポット』について紹介するWEBコンテンツを公開して以来、SNSでご好評の声をいただいていました。そのようなお声もあったので、2020年11月にオープンした直販ECサイト『象印ダイレクト』では、『象印復刻花柄シリーズ』を各3種発売したんです。このシリーズは2021年7月頃、SNSで予想以上に話題となり、なんと1日(※1)でECサイトの月平均受注数を超える注文をいただきました(※2)。ある程度の反響は予想していたのですが、まさかここまでになるとは思わなかったですね」
※1:2021年7月5日18時〜7月6日14時までの集計。
※2:2020年11月25日のWEBサイト開設以降、「象印復刻花柄シリーズ」(ステンレスマグとガラスマホービン)の受注数量合計を月数で割った平均受注数量。

「象印復刻花柄シリーズ」のステンレスマグ。花柄ポットが再注目されるきっかけとなった商品


「象印復刻花柄シリーズ」について、当時の「花柄ポット」ブームを知るユーザーからは懐かしむ声が多く見られた一方、若年層からは「花柄がかわいい」と、デザイン性を評価する声が寄せられたのだとか。「懐かしさと新しさの両方を感じていただけるよう、バランスを考えて開発しました」と濱田さんは話す。

根強い人気でブームはまだまだ続く!

2021年の再ヒット以降、今では安定的な人気を得るようになった「花柄ポット」。現在も新作が発売されており、年代問わず幅広い層が使用できるように設計されている。このように、昭和の魅力が詰まったデザインが復刻されることで、世代を超えて価値観を共有できるという循環を生んでいるわけだが、今後はどのように展開していくのだろうか。

「2年前の第二次ブームを経て感じたのは、やはり根強い需要があることでした。なので、今後も再ヒットのきっかけとなったECサイトのさらなる拡充を目指していきたいと思います。ちなみに、弊社が運営する『まほうびん記念館』では、これまで発売されてきたさまざまな『花柄ポット』をご覧になっていただけます。ぜひお越しいただき、その魅力に触れてみてください」

2015年10月28日〜2016年4月20日までの期間、象印が開催した企画展「花柄ストーリー」では、まほうびん記念館の一般来館者の投票により「花柄」のベスト3が決定した。画像は1位の「胡蝶蘭」

2位の「カトレア」

3位の「花雲」


ここ数年、省エネや節電の必要性が叫ばれているが、ポットは一度に多くの水やお湯を保冷・保温することができるため、実は今の時代にこそ役立つものかもしれない。そんな実用性に加え、インテリアの一部としても楽しめる「花柄ポット」。かつて人々が目でも楽しんでいたように、食卓を華やかにしてみてはいかが。

取材・文=西脇章太(にげば企画)

この記事の画像一覧(全8枚)

キーワード

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

花火特集

花火特集

全国約800件の花火大会を掲載。2024年の開催日、中止・延期情報や人気ランキングなどをお届け!

花火大会人気ランキング

ページ上部へ戻る