【漫画】自分のことを嫌う娘のために執筆、小説家の男性が遺作に込めた“伝えきれなかった思い”とは【作者に聞いた】

元ゲーム会社所属デザイナーで、現在はストーリー漫画をメインに執筆している吉良いと(@kilightit)さん。個人で作品を公開・販売するほか、商業誌にも作品を掲載するなど、精力的に活動している漫画家だ。代表作「ようこそ亡霊葬儀屋さん」は、「このお話ほんとに好きです」「1度見た事あるはずなのに泣いてしまった」など、多くの読者に感動をもたらしている。
今回は、「幽霊が視(み)える葬儀屋さんと小説家の娘」をお届け。“視”える葬儀屋・烏丸枢(からすま・くるる)は、助手の皇灯(すめらぎ・あかり)とともに、幽霊の依頼人・久遠寺成実(くおんじ・なるみ)の家を訪れていた。応接間で成実の霊と談笑する烏丸の横で、皇は烏丸が“遺族よりも幽霊の依頼を優先して聞くこと”を不思議に思っていた。しばらくして、成実の娘・色(しき)が部屋に姿を現す。すると途端に部屋の空気が変わったことを、霊感のない皇も察知した。

成実を書斎で発見したときにはすでに手遅れだった様子。次回作を執筆していたようだが、色は「そんなこと私にとってはどうでもいい」と切り捨てる。成実は父親らしいことは何もしなかった、きっと娘のことよりも書くことのほうが大事なのだ、そんな父が書いた小説に興味はない。「原稿も全部処分するつもりです」と言う色に、「そんなの絶対後悔する」と皇は思わず反論するのだが、色の表情は変わらない。「…そんなこと、葬儀屋さんには関係ないことでしょう?」

応接間に残された2人は、改めて依頼人・久遠寺成実に依頼内容を聞くのだが、成実は依頼をやめると言い出した。たまらず皇は立ち上がる。「アンタは後悔してる!俺たちにやってほしいことがあるはずだ!」。烏丸は柔らかい表情で、成実に再度依頼内容を尋ねるのだった。

烏丸が成実と話していた小説「物語の在処」とはいったいどのような本なのか。気になった皇は、烏丸葬儀社社員の御堂豪(みどう・ごう)に声をかけた。御堂いわく、その本は生まれてくる自分の娘を主人公にしたファンタジー冒険劇で、作者自身「娘が生まれてから続編を書きたい」と言っていた作品だという。しかし娘が幼い頃に妻を亡くし、以降は執筆活動を休業していた…。意外な事実に驚きを隠せない皇。そこにやってきた色から烏丸はどこにいるのかと尋ねられ、、皇は動揺する。
