「お経」は、お釈迦さまからのメッセージ。仏教の教えのキホンを漫画で解説【作者に聞く】
「仏教」や「お経」というワードに、なんとなく堅苦しいイメージを抱いている人も多いのではないだろうか。僧侶(浄土真宗本願寺派)である近藤丸さん
(@rinri_y)
が2023年2月に発売した
「ヤンキーと住職」
は、とある寺の住職と仏教が大好きなヤンキーの交流を通して、誰でも楽しく仏教の教えを学べる漫画だ。
今回は、
同書
から印象的なエピソードを抜粋・編集し、作者である近藤丸さんのインタビューとともにお届けする。今回のテーマは
「お経」
。
明かされる住職の過去






「生きるということ自体が苦である」という台詞は、仏教の教えの中心にある「一切皆苦」という教えを前提としたものです。「一切皆苦」は、「あらゆるものは皆苦である」という意味ですが、仏教でいう「苦」とは「思い通りにならない」ということです。あらゆるものが変化し無常だからこその、「一切皆苦」です。お釈迦さまが出家した理由と言われている「生老病死」の苦しみも、一切皆苦の一部になります。老も病も死も思い通りにならないことだから苦と捉えます。そして生によって、それらの苦が始まるのです。
確かに説明として聞くと、「ずいぶん冷たい教えだな」とか、「ネガティブすぎない?」と感じるかもしれませんね。でも、ネガティブやポジティブという言葉ではくくれない、厳粛な事実だと思います。現実への徹底した冷静な見方というか。私は家族関係のことなどでとても悩んでいるときに、この言葉に出合いました。その時、驚くと同時に本当にその通りだなと思い、こういうことを一生懸命考えつづけ、大切な教えに出合った人がいるのだなと何だか感動しました。お釈迦さまだって、いろんなことに悩んだ。そして、人間誰しもさまざまな苦しみを背負って生きているのだと教えられて、「一切皆苦」「生老病死」という言葉に、むしろエールをもらったような思いになりました。
ただ、これらはどこまでも「自覚」の言葉であり、自分が出会ってそうだなと思うべきです。誰かほかの人に「一切皆苦だ、だから我慢しろ」という風に使ってはなりません。あらゆる宗教は、人間が握ったり何かのために利用したりすると、必ず間違います。そういう意味で、仏教を漫画にすることにも危うさ・危なさがあるという点は、心に留めておきたいと思っています。