「年金制度なんてとっくに崩壊している」は嘘?日本の年金は実は優秀だ
東京ウォーカー(全国版)
「今の若い世代がもらえる年金は大きく減る」「年金制度なんてとっくに崩壊している」——。少子高齢化に歯止めがきかないなか、日本の年金制度についてはこういった声が聞かれる。しかし、経済キャスターや金融コメンテーターとして活躍するDJ Nobbyさんは、「実は日本の年金制度は優秀」と語る。その根拠を示してもらった。

日本の年金は2階建てではなく「3階建て」
まずは、日本の年金制度の構造についての話からはじめます。日本の年金制度は、よく「2階建て」と表現されます。1階部分がいわゆる「国民年金」。原則として日本国内に住所がある20歳以上60歳未満のすべての人が加入します。
2階部分は「厚生年金」です。これは、会社員や公務員など第2号被保険者と呼ばれる人たちが加入します。第1号被保険者である自営業者は加入することができませんが、厚生年金に代わる「国民年金基金」というものに加入することができます。
こういった構造となっているために日本の年金制度は2階建てと呼ばれるのですが、私は「3階建て」というほうがイメージしやすいように思います。なぜなら、国民年金、厚生年金と国民年金基金という公的年金に上乗せする年金制度があるからです。
その3階部分は、「iDeCo」などの「個人型確定拠出年金」です。これは、個人が希望すれば誰でも加入することができます。「2階建ての年金だけでは、将来が不安だ」という人が、自分でつくる年金です。

「日本の年金制度は崩壊している」といわれる要因
日本の年金制度をめぐっては、「今の若い世代が将来もらえる年金は大きく減る」「もらえなくなる」だとか、あるいは「すでに崩壊している」という声もよく聞かれます。
そんな見方を生んでいる最大の要因は、少子高齢化です。日本の年金制度は、「世代間扶助」という考えに基づいてできています。一般の保険会社で入る年金のように、自分で払ったお金を運用して将来受け取るのではなく、現役世代が払ったお金を高齢者が受給するという仕組みになっています。
ですから、現役世代がまったくいなくなってしまわない限りは、受け取れる年金がゼロになることは理論上あり得ません。しかし、少子高齢化によって現役世代が減ってしまう、あるいはその給与水準が下がってしまうといったことになれば、当然ながら高齢者が受給できる年金も減ってしまいます。
そのため、少子高齢化がどんどん進んでいる状況から、「今の若い世代がもらえる年金は大きく減る」「もらえなくなる」「年金制度はすでに崩壊している」といった声が挙がっているのです。

この先数十年は安定した年金給付が可能
しかし、私はそれほど心配する必要はないと考えています。日本の年金制度は優秀なのです。そういえる大きな理由としては、「年金積立金」が挙げられます。
年金積立金とは、年金制度がはじまって以来、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が運用している積立金のこと。その運用残高は、現時点で200兆円ほどにもなるのです。
年金の受給世代が受け取っている年金は、そのすべてが現役世代の支払った年金保険料でまかなわれているのではありません。年金保険料に加えて、全体の約半分を国が税金から足しています。そして、それでも足りなかった場合に年金積立金から足すという仕組みになっているのです。
「その200兆円の年金積立金もすぐになくなるのでは?」と思った人もいるかもしれませんね。でも、年金積立金は、あくまでも受給世代に給付する年金が足りなかった場合に使うための、余裕資金として確保されているもの。基本的には将来の年金給付に使われるものです。
しかも、先にもお伝えしたように、この200兆円ものお金を使ってGPIFは投資による運用もしています。GPIFの発表によれば、2022年度の運用益は2兆9536億円です。ですから、200兆円がすぐになくなることはなく、この先数十年は安定した年金給付が可能だとされています。そう考えると、私が「それほど心配する必要はない」ということをわかってもらえるのではないでしょうか。
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