等身大の「楽しい」が伝わる、全国津々浦々の「ひとり酒」コミックエッセイが生まれたワケ【作者に訊く】

東京ウォーカー(全国版)

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デビュー前の作家やアマチュアはもちろん、商業作品を発表するプロの漫画家もこぞって描くようになったWEB発のインディーズ漫画。「日本、ここ行け Walker」グランプリを受賞したぴのこ堂 (@pinokodoaonoshu) さんもそうした漫画家の一人だ。

現在は「呑みにいったはなし」としておでかけ先のお酒も描くインディーズ漫画シリーズ「部屋のみひとりざけ」ぴのこ堂(蒼乃シュウ)

商業媒体では蒼乃シュウや山谷シュウコのペンネームで縦スクロール漫画サイト「Vコミ」での連載や、サスペンス色の強い読み切り作品など幅広く活動するかたわら、自身がさまざまな街で実際に飲み歩いた体験をコミックエッセイとして描いた「部屋のみひとりざけ」シリーズをSNSや Amazon Kindleの無料電子書籍 で発表しているぴのこ堂さん。

タイトルの通り、もともとはカップ酒から日本酒サングリアまで自宅での一人酒をつづった作品。だが現在は「呑みにいったはなし」としてカキの名所である兵庫県たつの市・室津港で初体験した冬の牡蠣小屋、大阪駅前ビルの飲み屋探訪、フェリーで向かう大分での湯巡りなど、内外問わず楽しいお酒の日々をゆるりとした雰囲気で表現しているシリーズだ。

ウォーカープラスではぴのこ堂さんに、「部屋のみひとりざけ」を描き始めたきっかけや、エッセイ漫画ならではのこだわりを訊いた。

「友人に話すように描く」楽しさを伝えたいコミックエッセイならではのこだわり

呑みにいったはなし #1「室津の牡蠣をたらふく食べてきたはなし」(01)ぴのこ堂(蒼乃シュウ)

呑みにいったはなし #1「室津の牡蠣をたらふく食べてきたはなし」(02)ぴのこ堂(蒼乃シュウ)


――ぴのこ堂さんが「部屋のみひとりざけ」シリーズを描き始めたきっかけを教えてください。

【ぴのこ堂】もともとお酒が好きだったのですが、あまり詳しくないので、勉強するつもりでいろんなお酒のことを調べながら覚えたことを漫画にしていこうと思ったのがきっかけです。

でもだんだん、別に詳しくならなくても、お酒を楽しく飲めればそれでいいじゃないかと思い、今のような、いろんな場所で好きなように飲み歩くスタイルになっていきました。

――「呑みにいったはなし」第1話( 電子書籍では5巻収録 )での室津港の牡蠣小屋をはじめ、描かれる土地やお店の選び方から親しみを感じます。どんな基準で漫画に描くお店や場所を選ばれているのでしょうか?

【ぴのこ堂】「室津の牡蠣をたらふく食べてきたはなし」は、別に取材しようと思って行ったわけではなく、たまたま姉が「室津の牡蠣を食べに行こう」と誘ってくれたので行きました。

楽しかったし美味しかったので、せっかくだし漫画にしたらいい思い出になってきっと忘れないだろうな、という気持ちになったので描きました。

他の場所も、だいたいそんな感じで「行ってみて楽しかったら描こうかな」と気楽に考えています。ただ別府(「フェリーに乗って温泉県(大分・別府)ににいってきたはなし」)に行ったときは、遠いし旅費も結構かかるので「後で漫画にしよう」とはじめから決めていました。別府は以前に一度行ったことがあって、それがあまりにも楽しかったので、「あの楽しさを漫画にしたいからもう一度行こう!」という気持ちでした。

「日本、ここ行け Walker」グランプリ 受賞作品「フェリーに乗って温泉県(大分・別府)にいってきたはなし」ぴのこ堂(蒼乃シュウ)


――等身大の感想や楽しげな雰囲気が伝わってくるシリーズです。制作上こだわっていることはありますか?

【ぴのこ堂】読んだ人が「楽しそう」「私も行ってみたいな」と思ってもらえるように工夫しています。そのために私が心がけていることは、「友人に話すように描く」ということです。説明よりも「楽しかったよ」「美味しかったよ」という感情を伝えることを優先したいので、あまり場所やお店のことなど詳しく書き過ぎないようにしています。

――ぴのこ堂さんは商業・インディーズ問わず幅広いジャンルで作品を描かれています。その中で、コミックエッセイを描くうえでのポイントや楽しさ、難しさがあれば教えてください。

【ぴのこ堂】他のジャンル、たとえばシリアスなものや恋愛ものなどのストーリー漫画は、楽しいだけではなく悲しいことや苦しいこともエピソードに組み込まなくてはいけないので、そこが難しいといえば難しいので悩みますが、そういう負の感情も重要ですし、描き上げたあとの達成感は半端ないです。でも必死で描いても必ず読者の共感を得られるわけではないので辛いです。特に商業ですと、まずは編集者にわかってもらえないといけないし自分の意見や考えを却下されてしまう場合もよくあるので、そこが辛いです。

一方、コミックエッセイを描くときは、ただただ楽しいです。楽しかった思い出や、美味しかったお酒と料理のことを描いていると、またそのときの気分に戻れますから。また、今のところ私にとってコミックエッセイは仕事ではなく趣味なので、難しいと思うことも辛いことも何もありません。オチも特にいらないので、あまり考え込まずに描けて、しかもほとんどの人が共感してくれて「おもしろい」と言ってくれるのでクセになりそうです。

呑みにいったはなし #1「室津の牡蠣をたらふく食べてきたはなし」(05)ぴのこ堂(蒼乃シュウ)

取材協力:ぴのこ堂(@pinokodoaonoshu)

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