【連載・シブヤ大学(3)】シブヤの地ビールつくります!

東京ウォーカー

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「乾杯!」渋谷の路上に大きな声が上がった。大勢の人でにぎわうセンター街近くで缶ビールを気持ちよく喉に流し込むその声の主たちは、アサヒビールとNPO法人シブヤ大学がコラボした「ビールゼミ」のメンバーたち。

同ゼミは、事前の選抜試験を通過した28名が、ビールの歴史や製造方法、分類などを学び、渋谷の地ビールを作ろうというもの。8月の開講以来3回目となる10/19の講義は、実際に渋谷の街へ足を運び「シブヤビール」のコンセプトをグループごとに決める。

どんな時にどんな場所で、誰と「シブヤビール」を飲みたいのか? イメージストーリーを描くことがコンセプトワークには重要だと、講師を務める紫牟田伸子さん(日本デザインセンター)は語る。グループで共有したそのストーリーを「色」「香り」「ボディ」「苦味」「炭酸感」といった具体的なキーワードに落とし込んでいく。

前回の講義で「イメージが漠然としすぎ。より具体的なキーワードを!」とダメ出しを受けた受講生たちは反省を生かし、各グループ積極的に町に繰り出していった。その1グループに同行してみることに。

彼らが向かったのは“The 渋谷”とも言うべき駅前のスクランブル交差点。休日ということもあり相変わらず人の波。「やっぱりこれが渋谷の象徴」「自分のペースで歩くのが困難で疲れる」「小さな集団が無数にあり、それぞれが街を楽しんでいる」という意見がグループ内から聞こえてきた。次に向かった場所。そこはコンビニ。「??」と思っていると出てきた彼らの手には味の異なるビールが握られていた。「シブヤビール」を作るにあたり、渋谷の路上でビールを飲んでみるというシンプルな試みに行き着いたのだ。その後、ビール片手に渋谷を散策し、講義会場のニッカウヰスキー本社ビル(東京都港区)へ戻ってきた。

さっそく各グループが意見をまとめ、街に出て見て聞いて感じた渋谷を発表。「意外と目的を持って行動している人が少ないのでは」と発表したのは、メンバー各々が歩行者1人をマンツーマンで追跡し、どこに向かっているのかを調べてきたグループ。「小さなグループが無数に存在している。しかし、そのグループ同士はまったく干渉しあっていない。その無数の点の接点になれるビールがあればいい。“乾杯”に代わる、思わず口に出したくなるような合言葉も一緒に作っていきたい」「空き缶を捨てたくなくなるようなデザインにしたい」と街に触れたリアルな意見がいくつも出た。中には「渋谷はすべてが人工的。それぞれの思惑が渦巻く空想都市のようなもの。一方で自然なものは、ビルの隙間から見える“空”とアスファルトの隙間から芽を出す“草”だけ。その2つから着想を得たネーミングは“空草ビール”。夢と現実が共存する渋谷にピッタリです」と一歩先に進んだグループも。

大のビール党の記者が考える「シブヤビール」の名は、ずばり“街角ビール”。渋谷は極彩色の看板やネオンが入り乱れ、若者たちは地べたに座り奇声を発している。人やモノが生み出す熱気で息が詰まりそうになる。どこか喧騒に包まれた東南アジアの街並みを思い浮かべたのだ。旅先でビール片手に街をブラついた経験がある人も少なくはないはず。その雰囲気が渋谷にはある。街角で気軽に飲めるものがあればいいのでは。アルコール度数は低め。シャープな炭酸で閉塞感を吹き飛ばす喉ごし爽やかなものであればなおいい。立ち飲み居酒屋やバルが流行っている時代背景を考えても、店で飲む“とりあえずの1杯、の前の1杯”になりえるかもしれない。あくまでも筆者の願望にすぎないのだが。

次回は、「シブヤビール」を醸造する隅田川ブルーイングのスタッフに、自分たちが考えたコンセプトをプレゼンする。果たして受講生たちはどのようなビールを作ってくれるのだろうか? 完成する来年2月が楽しみだ。【東京ウォーカー/町田拓郎】

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