投資はおもしろくなくていい。手堅く無理なくお金を増やす、パックン式投資法

東京ウォーカー(全国版)

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ハーバード大卒のお笑い芸人として有名なパックンことパトリック・ハーランさん。その博識ぶりは広く知られるところだが、25年以上の投資歴があることを知っているだろうか。パックンの投資に対する考え方、そしてそこから導き出された投資法を教えてもらった。

経済にも明るいお笑い芸人のパックンことパトリック・ハーランさんにインタビュー【撮影=阿部昌也】


どの企業が成長し衰退するのかは誰にもわからない

投資に関する僕のセオリーは、いわゆる「分散投資」と「長期投資」です。というのも、僕は資本主義の仕組み、マーケットの原理を信じているからです。

資本主義経済のなかでは、無数の起業家、イノベーター、マーケティングエキスパート、ビジネスパーソンといった人たちがそれぞれの自己利益を求めながら、お客のニーズやマーケットのトレンドを読みつつ、さまざまな商品やサービスを開発していきます。

それこそAIが登場して世間をにぎわしている今なら、それを活かしてどのように儲けるかということを数え切れないほど多くの人が考えています。

正直、僕は商品開発とかAIの収益化など一切考えていません。でも、それを考えている人は、世界中に100万人はいるはずです。そして、そのなかから「正解」を見つけて将来的に大儲けする天才が現れるでしょう。その人の会社はどんどん成長していきますから、そんな天才や会社をいち早く探し出して投資できたなら、自分も大儲けできます。

一方、逆に衰退していく会社もあります。そんな会社も周囲に先んじて見つけることができれば、ここでは詳細な解説は避けますが、「空売り」という手法を使ってとんでもなく大きな金額を儲けることだってできます。

でも、そうすることは僕には不可能です。僕はただのお笑い芸人であり、そんな天才やイノベーターを探し出せる、いわゆるエンジェルインベスターではありませんし、衰退していく会社を見抜く眼力もありません。それでも投資で得できますよ。どうすればいいのでしょうか。その答えが、「インデックスファンド」を活用することです。

「インデックスファンド」の活用をすすめるパックン【撮影=阿部昌也】

損をしないための選択肢「インデックスファンド」

インデックスファンドとは、投資信託という金融商品のひとつです。インデックスは指標、ファンドは投資信託という意味なので、インデックスファンドは「株価指数などの指標に連動した運用を目指す投資信託」を指します。

念のために説明すると、投資信託というのは、たくさんの投資家から集めたお金をひとつの資金としてまとめ、ファンドマネージャーと呼ばれる専門家たちが株式や債券などに投資して運用する金融商品のことです。つまり、これひとつで多種多様な銘柄の株式や債券に分散投資できるものです。

先の例に挙げたような、天才がいる会社をいち早く見抜いて資金の全額を投資できたならたしかに大儲けできるかもしれません。でも、その見立てが間違っていたとしたらどうですか?ひとつの会社の株式だけを買った場合、その会社が倒産してしまえば全投資額を失ってしまうということになります。

かつて、アメリカで創業されて日本にも進出していた、ある有名なビデオレンタルチェーン企業がありました。1980年代に爆発的に店舗を増やしたのですが、ストリーミングサービスの普及によって結局は倒産してしまいました。

僕は原則、個別株投資をやりませんが、当時「これからはビデオレンタルの時代だ!」とその企業の個別株に投資していたらどうなったでしょう?売り時を間違えれば、全額がパーということになっていたかもしれません。

だからこそ、天才がいる会社も衰退していく会社も見抜けない僕は、損を避けるために投資信託を選択するのです。

経済にも明るいお笑い芸人のパックンことパトリック・ハーランさんにインタビュー【撮影=阿部昌也】

おすすめは世界的企業がそろう「S&P500」

そして、長期にわたって投資するということも僕の投資手法には欠かせません。個別で見れば、どんどん成長していく会社もあれば、逆に衰退していく会社もあります。でも、マーケット全体を長期的に見た場合には、浮き沈みを繰り返しながらも右肩上がりというのが資本主義経済です。

僕が一番おすすめするのは、「S&P500」という株価指数に連動するインデックスファンド。S&P500は500社のアメリカ企業によって構成されていて、そのなかにはAppleやGoogle、Amazon、マイクロソフト、テスラなどそうそうたる顔ぶれがそろっています。

こんな世界的企業に分散投資できていれば、たとえ500社に含まれる会社の一部が衰退していったとしても、トータルで長期的に見た場合には大きく損をする可能性は限りなくゼロに近いはずです。

もちろん、インデックスファンドは多くの企業の銘柄に分散投資することになりますから、短期間で大きな利益を出すことはかなり難しいです。だからこそ、長期投資ということがセットとなってくるのです。

こんな投資法は、はっきりいうとなにもおもしろくありません。なぜなら、リスクが低い代わりに、リターンも小さいからです。といっても、数十年で投資額が数倍に増えるはずです。僕は、おもしろくない投資を長く続けることで、僕自身の老後がおもしろくなればいい――。そう考えているのです。

この記事のひときわ #やくにたつ
・お金の勝負に負けないよう守ることが大切<br />・商品としての自分の価値を上げてなるべく高く売り込む<br />・勤務先の事業の中心、主力商品や主力サービスに近いところで仕事をする

構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=清家茂樹、撮影=阿部昌也

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