住む街に最も誇りを持っている都市はどこ!?世界10都市対象の調査結果が発表、「シビックプライド」ってなに?
東京ウォーカー(全国版)
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今回取り上げるのは、株式会社読売広告社が世界10都市(※1)を対象に実施した、住民の街への愛着や誇りを測定するグローバル・シビックプライド調査。2008年からスタートした本調査は、市民や街に関わる人達が、その地域や街に対して持つ意識「シビックプライド/ CIVIC PRIDE(R)」(※2)に関して行われている。シビックプライドとは?そこからわかることはどのようなことなのか?担当者に話を聞いてみた。

※1ニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン、バルセロナ、ローマ、ヘルシンキ、上海、東京(23区)、大阪
※2「シビックプライド/CivicPride」「CIVIC PRIDE」は、株式会社読売広告社の登録商標。
――「シビックプライド」とはどのようなものですか?
「シビックプライド」とは、街や地域に関係する人々が、街・地域に対して持つ「誇り」や「愛着」のことです。「郷土愛」とは少しニュアンスが違い、たとえば、地域の文化や歴史を理解し、守り伝えるために行動したり、地域のイベントやコミュニティに参加したりして地域の活性化に貢献するなど、自分自身が関わって地域をよりよくしていこうとする、当事者意識に基づく自負心のことを指します。
――今回の調査を実施した意図や狙いを教えてください。
世界では今、多様な都市のプレイヤーたちが柔軟に、フラットにつながりあってさまざまな価値を共創してゆく「水平連携型の都市」という新しい構造の都市が、いたるところで生まれつつあります。このような都市の変革期を迎えているなかで、都市に暮らす市民と街や地域との関係性はどのようになっているのか?欧米7都市と日本を含むアジア3都市を対象に、シビックプライドに関する意識を測定する調査を企画~実施し、世界の主要都市における生活者意識の現在地と課題を分析することを目的としています。
――調査の注目すべきポイントを教えてください。
調査企画としてのポイントは以下3点です。
・日本の「東京」「大阪」におけるシビックプライドの現状を、シビックプライドという概念に歴史的にも先行している欧米の都市や、福利厚生が充実し幸福度が高いとされる都市、アジアで急成長をみせる都市、などと比較ができること。
・現在または今後の日本の街づくりや次世代の生活者意識の潮流として、参考となる示唆が得られる可能性があること。
・海外8都市については、定量的な評価だけでなく、現地で暮らす日本人「ライフスタイル・リサーチャー」に対するインタビュー調査を合わせて実施することで、定性的に現地の“感覚的な評価”も含めて分析が行えること。
調査結果としてのポイントは以下2点です。
・日本を代表する「東京」「大阪」に暮らす市民の意識と、海外主要都市に暮らす市民の意識では、シビックプライドという観点で見たときに大きな差があること。
・海外の主要都市においても、都市の歴史や背景によって「街と市民の関係性」が異なることが見えてきたこと。
――「シビックプライド」が高いと、街にとってはどのようないいがありますか。
一般的に、自治体視点としては、定住人口の増加(転出の抑制)・Uターン人口の増加や、犯罪の抑制・治安の向上といったこともシビックプライドが高まったことの効果の仮説として取り上げられたりします。ただ、それらは、シビックプライド以外の多くの要素もあいまって達成される、最終的な結果とも捉えられます。また、シビックプライドが高く、街に対する活動が活発な地域は、地域外の人たちの共感を喚起し、“何らかの関わりを持つ・持ちたい人たち“、つまり「関係人口」が増えることも期待できます。
――日本の2都市(東京・大阪)の「シビックプライド」に対する評価が欧米の都市や上海といった都市に比べて低い要因を教えてください。
1つ目は、今回の調査により、日本の2都市は、ほかの海外8都市に比べて「街に対して重視するもの」が少ないことがあげられます。これは、日本の都市は今回比較した海外の都市に比べて、「市民」と「地域・街」との関係性自体が希薄である、ということにも読み取れ、シビックプライドの評価差を生んでいる大きな要因と考えられます。
2つ目は、市民が重視(期待)する内容の差から推測される街づくりや街の在り方に対する意識が異なることです。これらの結果と、現地に住む「ライフスタイル・リサーチャー」からの街への定性評価も含めて分析すると、海外都市は、多様性や個の存在・生き方・暮らし方を尊重しながらも社会や地域とつながるためのさまざまな活動やコミュニティがあること、また自治体などがその市民の主体性や創造性を最大限に活かすサービスや場の提供を積極的に行おうとしている点が、日本の2都市との差となっています。
世界10都市の「シビックプライド」ランキング
10都市の中で、2位以下を引き離し「シビックプライド」の総合ポイント(※3)が最も高かったのは「上海」。以降、「バルセロナ」「ロンドン」と続き、日本は9位「大阪」、10位「東京」と対象都市の中では低い評価となった。

※「シビックプライド」総合ポイントは「愛着」「誇り」「共感」「継続居住意向」「他者推奨意向」5指標のスコアを足し上げ1000点満点化したもの。なお、各指標のスコアについては、各質問内容を[非常にあてはまる~まったくあてはまらない]の7段階で聴取し、[非常にあてはまる]を7点[まったくあてはまらない]を1点とし、平均値を算出している。
「街への愛着」「街への共感」「街への誇り」の結果
「愛着」「共感」「誇り」のいずれも「上海」が最も高い評価となった。「愛着」と「共感」では「ローマ」「ロンドン」が、「誇り」では「ローマ」「ニューヨーク」が次いで高い評価となった。日本の2都市については「大阪」の「愛着」の項目以外はほかの都市よりも低い評価となった。



文=土屋梨夢
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