日本酒が台湾で人気?日本酒界のカリスマが考案したジュース感覚で楽しめる日本酒カクテルに注目

東京ウォーカー(全国版)

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今回取り上げるのは、ジュースに近い感覚で楽しめる低アルコールの日本酒カクテル「ボタニカルSAKEカクテル」。日本酒が海外で注目され、特に若い世代から人気を集めているという。台湾もそんな国のひとつ。そこで今回は、日本酒界のカリスマと呼ばれ、台湾の日本酒ブームの火付け役とされる山本将守さんに同商品への想いや台湾で開催された日本酒セミナーの様子など、話を聞いてみた。

まるでアートのような「ボタニカルSAKEカクテル」


――「ボタニカルSAKEカクテル」を発売した意図や狙いを教えてください。
日本酒の人気が世界規模で高まっている一方で、日本酒に興味を持っているけど、飲まず嫌いや飲めないと思っている方がいまだにたくさんいると強く感じています。私なりの見解としては、日本酒は嗜好品としての位置付けが常識化していますが、歴史やカルチャー、アートといった側面が強くあり、その角度から海外での人気が強くなっています。

興味を持つ人に少しでも日本酒を手軽に感じてもらいたいという考えとともに、世界的に日本酒を広めるためにはカクテルという世界に足を踏み入れることがとても重要と考えました。日本酒ベースのカクテルはとても少ない。日本酒ベースのカクテルが世界で活躍しないのは、日本酒の香味特性をいまいち理解していないプレイヤーが多く、日本酒には季節や造りによって蒸留酒とは違うさまざまな香味特性があるから扱いにくいのです。しかし、ジンやウォッカと違い日本酒には香りとともに「味わい」が存在します。

【写真】日本酒には香りとともに「味わい」が存在するという


――イチオシポイントを教えてください。
ボタニカル由来の香りと日本酒が本来持つ甘味と旨味の調和です。ジンやウォッカに比べてまろやかで柔らかな味わいがポイントです。アートのような、バラエティ豊かで見た目が美しく、低アルコールというところもジュース感覚で素直な味わいが楽しめます。

日本酒ベースのカクテルは「旨味・甘味」といった味わいが楽しめる


――アイデアはどのようにして生まれましたか?また、実現の際に苦労した点はありましたか?
現代風にどうやって日本酒のおいしさを伝えるかを考えるところからはじまりました。果実と植物に合わせた日本酒はどれでもいいというわけではなく、それぞれに見合った特徴を活かすような種類を選定することが重要であり、その選定とその量、あとは家でも簡単に手軽にという考え方から、複雑なことはできる限り避けながら商品数を増やしていくのがおもしろくもあり、難しいところでもありました。比重を変えて日本酒の味をわからないようにしてしまえば簡単なのですが、日本酒の特徴を活かしながらカクテルを作りあげるというのは、ボタニカルSAKEカクテルに限らずカクテルにおいてはとてもデリケートなのです。しかし、私がプロデュースしているファントムブリュワリーの商品は香味特性が幅広く、テーマである果実や植物によって合わせられるラインナップです。

日本酒の特徴を活かし、カクテルを作り上げることは難しい


――台湾で開催された日本酒セミナーではどのようなことをお話しされましたか?
台湾では、特になぜ日本酒をカクテルのベースにするのか?ジンやウォッカより日本酒ベースが優れている点は何か?そこからどんな商品が生まれていくのか?どんな点に注意して構成を考えてメニューにしていくのか?ペアリングやマリアージュ、また口内調味といった日本酒の世界観の中でプレミックスという事前調理をテーマにする考え方などをお話ししました。そして伝統というものを気軽にアップデートすることの重要性について語りました。

台湾・台中市にある日本酒専門店「醴云Sake La Vie」で行われた日本酒セミナー

伝統を気軽にアップデートすることの重要性を語る


――台湾での日本酒ブームの要因を教えてください。
親日ということもあり、日本における伝統や文化を受け入れてもらいやすい国ではありますが、なかでも日本酒は、ほかの醸造酒や蒸留酒に比べて、とても文化的要因が強く、並行複発酵という世界でも屈指の醸造技術、そして無味無臭の米から生まれる香りと味わいが圧倒的な存在感を持っているからではないでしょうか。台湾料理にも合わせやすく、味わいが濃い料理が多いので日本で流行しているような華やかな味わいの日本酒よりも、熟成した酸味のあるタイプ、いわゆる熟成酒などの酒質においても相性のいい商品が多く、国民の理解が深いという印象があります。

また台湾では18歳から飲酒が可能であり、ネットショップではお酒の販売が禁止されているということもあり店舗販売や展覧会など、実際に試飲させるところから始まる市場なので体験から生まれる感動が日本酒の持ち味を出しているのでしょう。

――読者へのメッセージをお願いします。
日本酒は、提供方法、楽しみ方はたくさんあって、飲めなくても楽しめたり、歴史的な部分を感じたり、もっとたくさんの方に興味を持ってもらいたいと思います。

お酒が苦手な人も飲みやすいボタニカルSAKEカクテルとは。

植物を用いるベーシックなレシピを改良し、原料に「日本酒」を使用したものが「ボタニカルSAKEカクテル」。本来カクテルのベースはジンやウォッカといった蒸留酒が主流だが、日本酒を使用することによって低アルコールで原料由来の「旨味」「甘味」といった味わいが楽しめるため、お酒が苦手な人でもジュース感覚で飲むことができるカクテルとなっている。

ボタニカルSAKEカクテル「狐-KITSUNE-」


日本酒の新たな可能性に今後も注目したい。

日本酒界のカリスマの山本将守さん


文=土屋梨夢

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