廃棄物のホタテ貝殻が人命を守るヘルメットに!世界三大デザイン賞も絶賛!“HOTAMET”が機能性と美しさを融合できた理由

東京ウォーカー(全国版)

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甲子化学工業株式会社、株式会社TBWA HAKUHODOと共同開発し、株式会社quantum(クオンタム)がプロダクトデザインを担当した「HOTAMET(ホタメット)」。このHOTAMETが、世界三大デザイン賞のひとつである「iFデザインアワード」にて、最高賞であるiFゴールドアワードを受賞した。

世界三大デザイン賞のひとつで最高賞を受賞した「HOTAMET」が評価されたポイントとは?

HOTAMETとは、廃棄されたホタテの⾙殻を使用して作られた環境配慮型ヘルメット。ホタテの⾙殻を新素材として再利⽤した「カラスチック(R)」という地球に優しいエコプラスチックが使われており、新品のプラスチックを100%使って作るものと⽐較して、最⼤約36%のCO2削減に寄与しているという。

HOTAMETは世界三大デザイン賞のひとつ「iFデザインアワード」の最高賞であるiFゴールドアワードを受賞

「iFデザインアワード」は1954年以来、国際的に権威のあるデザインアワードのひとつで、iFロゴは優れたデザインの証として広く認知されている。「プロダクト」「パッケージ」「コミュニケーション」「サービスデザイン」「建築」「インテリア・内装」「プロフェッショナルコンセプト」、「UX(ユーザーエクスペリエンス)」「UI(ユーザーインターフェース)」の9つの分野で構成されており、すべての受賞デザインはiFの総合デザインポータルサイトで公開されている。ちなみに、世界72カ国・1万1000件を超える応募のなかから、最優秀デザインとしてiFゴールドアワードが授与されるのはわずか75件のみだという。

今回受賞したHOTAMETについて審査員は、「SHELLMET(HOTAMETのエントリータイトル)は、真のサステナビリティと機能性、美しさを融合させている。名前もデザインも、それが何をするものかだけではなく、どう作られたのかを反映している。素晴らしい、ついに誰にでも似合うヘルメットが誕生した!」と講評している。

「HOTAMETのデザインでこだわったところは?」担当者に話を聞いた

quantumの事業内容や、「iFデザインアワード」の審査員に“真のサステナビリティと機能性、美しさを融合させている”と言わしめたHOTAMETについて、quantum Chief Design Officerの門田慎太郎さんに話を聞いてみた。

――まずは、quantumについて教えてください。2016年の創業以来、具体的にどのような事業を生み出したり携わったりされてきたのかも、あわせて教えていただけますか。

2016年の創業のquantum


【門田慎太郎】quantumはクリエイティブ×テクノロジー×ビジネスをかけあわせた新規事業開発手法によって、新しいプロダクト、サービス、ベンチャーを連続的に創り出すスタートアップ・スタジオです。これまでに75社を超える企業や、スタートアップ、大学などと一緒に取り組み、多様な新規事業を生み出してきました。

【門田慎太郎】今回のHOTAMETのような社会課題をきっかけとしたプロダクト開発のほか、大企業の研究開発部門で生まれた技術の活用を検討するところから新規事業を生み出したり、昨今大企業を中心に活発に行われている社内起業家育成プロジェクトの支援をしたり、スタートアップ・スタジオの手法を地域や大学に展開したりと、ハードウェア開発からソフトウェア開発、スタートアップの仕組み化支援まで、幅広くスタートアップのサポートを行っています。

【門田慎太郎】創業以来のアウトプットとして公開可能で代表的なものは、株式会社モルテンと共同開発した“アクティブな車いす生活者”のウェルビーイングを追求した、日常を旅するクルマイス「Wheeliy」、朝日インテック株式会社とともにジョイントベンチャーを立ち上げた、100年歩ける身体を作る歩行専用トレーニング・サービス「walkey」などのほか、AIと人の共同制作の可能性を考える、AIデザインプロジェクト「mitate」をはじめとするデザインリサーチも積極的に行っています。

――HOTAMETについて、「iFデザインアワード」の最高賞受賞おめでとうございます。デザインでこだわった点について教えてください。

貝殻のようなフォルムは、見た目の美しさだけでなく、機能的にも考えられたデザインなのだという

【門田慎太郎】HOTAMETは、廃棄貝殻を粉砕し、リサイクル素材で作られたヘルメットで、プラスチックに比べ、CO2排出量を最大36%削減できます。自然界には長い年月をかけて最適化された構造がたくさんあり、この仕組みを応用し技術開発に活かすことを「Biomimicry」と言います。HOTAMETはその考えに基づき、貝殻特有のリブ構造を取り入れました。その結果、フォンミーゼス応力で比較した場合、通常のヘルメットよりも133%の強度を生み出すことに成功しています。貝殻のようなフォルムは、その見た目の美しさもさることながら、機能的にも考えられたデザインなのです。

【写真】今年(2024年)の夏に販売開始予定のHOTAMETは白、ベージュ、黒、青、ピンクの5色展開

【門田慎太郎】カラーも用途に応じて使い分けられるように5つのラインナップを用意しています。なお、HOTAMETは役割を終えたあとも、粉砕して建材や新たなHOTAMETの材料として再利用され続ける仕組みにすることで、持続可能な社会の実現を目指しています。

――ホタテの貝殻からできた環境配慮型ヘルメットとのことですが、水産廃棄物の再利用としてヘルメットを選んだ理由は?

廃棄物だったホタテ貝殻を、新たな資源に変えることに挑戦し、HOTAMETが誕生した

【門田慎太郎】日本人が最も食べる貝「ホタテ」。それは、最も貝殻が捨てられる貝でもあります。ホタテ水揚げ量日本一を誇る北海道猿払村では、2021年に廃棄貝殻の輸出業者が撤退し、約4万トンもの貝殻が放置されてしまうという課題に悩まされていました。専門家からは、廃棄貝殻による土壌汚染の危険性が指摘されています。

【門田慎太郎】そこで私たちは、このホタテ貝殻を廃棄物ではなく、新たな資源に変えることに挑戦しました。そのときに注目したのが、ホタテ貝殻の主成分と構造でした。貝殻は、「炭酸カルシウム」という建材やセメントなど、強度を高めるために使われる成分で構成されています。また、過酷な自然界を生き抜く貝殻は、高い強度を発揮する構造物でもあります。この2つの着眼点から「これまで外敵から身を守ってきた貝殻が、人の命を守るものに生まれ変わる」というアイデアを導き出しました。強度的な面については、労働安全衛生法第42条の規定に基づく「保護帽の規格」の安全規格を取得予定です。現在申請中で、5月~6月に取得予定です。

――自転車用と防災用の2種類のHOTAMETがあるようですが、子ども用サイズはありますか?

【門田慎太郎】現在は子ども用サイズはありませんが、2024年中に発売予定です。

――どこで購入できますか?

【門田慎太郎】現在は、甲子化学工業のWebサイト・HOTAMETページからのみとなります。ただ、現状はまだ予約を受け付けている状態で、販売は夏ごろを予定しております。

サステナブルな商品、機能的な商品、デザイン性の高い商品はこの世にたくさん存在するが、それらすべてを兼ね備える商品というのはなかなかない。HOTAMET以外にも、quantumならではの視点で、これからも多くの優れた商品や事業を生み出していってほしい。

取材=大庭 かおり/矢野 凪紗・文=矢野 凪紗

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