自治体で唯一全日本DM大賞を受賞!祝い金を渡すだけに終わらない南相馬市の“18歳の巣立ち支援事業”が胸アツ!!

東京ウォーカー(全国版)

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日本郵便株式会社が主催する「第38回 全日本DM大賞」において、福島県南相馬市が企画したDM(ダイレクトメール)が「銀賞」を受賞し、第38回において自治体の入賞作品は南相馬市のみということで、注目を集めている。受賞した、南相馬市のDMとはどういったものなのか。また、DMを企画するうえでこだわった点などについて、南相馬市の担当者に話を聞いた。

自治体で唯一「全日本DM大賞」に入賞した南相馬市のDM。こだわった“開けたくなる工夫”とは?


「全日本DM大賞」 とは?

日本郵便株式会社が主催しており、DMの入賞・入選作品を通じ、広告メディアとしてのDMの役割や効果を広く紹介するとともに、その企画制作に携わった優秀なクリエイターたちに評価の場を提供したいという想いのもと、1987年から毎年実施されている。評価ポイントは「戦略に基づいて制作されたDM」という点だという。

そして今回、「第38回 全日本DM大賞」にて、南相馬市の「巣立ち応援18歳祝い金支給事業」が銀賞を受賞するという快挙を成し遂げた。

「巣立ち応援18歳祝い金支給事業」の一環で作られたDM

南相馬市は、18歳を迎え成人する人たちへ門出のお祝いとエールを送る事業として、令和4年度より「巣立ち応援18歳祝い金支給事業」を実施。この事業では、祝い金を支給するほか「さぁ、行っといで。」という想いを込めた応援ポスターやDMを制作。なかでもDMについては、18歳一人ひとり宛てに送るもので、地域みんなで巣立ちを応援していると伝えるため、“自治体らしくない”イベントの招待状のようなDMを演出したという。

封筒の中身は伝えたいことをコンパクトにまとめる工夫も

案内状以外にも市長メッセージや卒業おめでとう撮影会のチラシなどを同封

DMには「勇気を出せるお守りになってほしい」という想いから、周囲の人たちに応援メッセージを書いてもらえるよう白紙の色紙も同封されている


巣立ち応援18歳祝い金支給事業やDMについて担当者に聞いた

南相馬市独自の「巣立ち応援18歳祝い金支給事業」や“自治体らしくない”DMの企画でこだわったことなどを、南相馬市こども未来部こども家庭課こども企画係の佐藤さんに聞いた。

――南相馬市が、「巣立ち応援18歳祝い金支給事業」として18歳の巣立ちを応援することになったきっかけを教えてください。

「さぁ、行っといで。」の想いを込めた応援ポスターは3月の卒業シーズンにあわせて市内各所で掲示された


【佐藤】18歳は、就職や進学など人生の中で大きな門出を迎える時期です。新しいことに挑戦できるタイミングでもあり、「支給する祝い金を原資に自分の世界を広げてほしい」「夢を応援したい」という想いから、この事業を構築しました。

【佐藤】また、門出の時期は引っ越しや就職の準備などにお金がかかるので、経済的な負担を少しでも軽減したい。そして、祝い金の支給だけで終わるのではなく、祝い金に込めた想いや、地域の皆さんが応援していることを伝えることが大切だと考え、地域のみなさんの想いを伝えるポスターやDMを制作しました。(ポスターなどで)たくさんの方の目に触れることで、地域全体で18歳の門出を応援するあたたかな雰囲気を作りたいと思っています。

――企画されたDMが「第38回 全日本DM大賞」の銀賞を受賞されたということで、おめでとうございます。“自治体らしくない”演出が好評だったようですが、工夫した点について教えてください。

受賞したDMは、手に取るだけでワクワクするような「市役所っぽくない」色や形にこだわったという。制作はmarutt Inc.が担当


【佐藤】18歳の方へ「お祝い金を渡すだけじゃない、地域みんなが応援しているよ」と伝えるためにも、まずは封筒を手に取ってもらいたい。その想いから、長方形の落ち着いた色の“いつもの封筒”ではなく“市役所っぽくない”色や形にこだわり、イベントの招待状のようなワクワク感がある、トレーシングペーパーでできた半透明の封筒でお送りしました。

――巣立ち応援18歳祝い金支給事業では「卒業おめでとう撮影会」も主催されているそうですが、巣立っていく南相馬市の18歳たちの生の声が届いていたら教えてください。

【写真】大切な人と巣立ちの日を特別な写真に残す「卒業おめでとう撮影会」も好評


【佐藤】事業については、「若い世代に向けた事業はうれしいので、これからも続けてほしい」「応援されているという気持ちになる。頑張ろうという気持ちになる」「ほかにはない施策で、自分たちのことを考えてくれているのが伝わる」「友達が写っていて笑顔になったし、メッセージで元気が出た」「地域の人たちのあたたかさが見えていいなと思った」といった声をいただいています。

【佐藤】また、撮影会については、「卒業式の日に友達と写真を撮れることが本当にうれしかった」「思い出を写真という形で残すことができていいと思う」などの声をいただいています。

――南相馬市は2023年に「日本子育て支援大賞【自治体の部】」も受賞されていますが、どのような支援が評価されたのでしょうか?

【佐藤】南相馬市では、子育て世代に心強い3つの無料化(給食費・保育料・医療費)をはじめ、出会いから結婚、子育て、教育等、ライフステージのあらゆる場面で、切れ目ない支援を行っています。また、在宅で保育をする保護者への支援金、パパの育休支援、(先ほど話題にのぼった)巣立ち応援18歳祝い金支給事業などを実施しています。今回の受賞は、こうした子育て支援策がユニークかつ先端的な取り組みとして評価されました。

――子どもたちの未来について、南相馬市はどのような想いを持たれていますか?

【佐藤】子どもたちは未来をつくる希望です!南相馬市では子どもたちが笑顔で暮らせるよう、「こどもたちの思い・意見を大切にすること」を理念とし、「こども・子育てを本気で応援!」を合言葉に自分の可能性を信じ、夢を抱くことや日々楽しく自分らしくのびのびと成長できる環境を築くことを目指しています。

【佐藤】昨年度に引き続き、今年度も子どもたちが意見を伝える場として、市長などの大人が子どもたちの意見を聴く対面型ミーティング「こども未来ミーティングU18」を9月に開催、さらにWebを活用して子どもたちの意見を聴取する取り組みも実施する予定です。また、11月には地域の子育てに対する機運を高めるためのイベント「こども未来フェスティバル」(子ども達の発表の場、キャラクターショー、市の子育て情報発信等)を開催します。「見ていて、本気の南相馬!」を合い言葉に、引き続き南相馬市は、子ども・子育て世代に寄り添った、子ども政策を進めていきます!

話を伺ったなかで、祝い金給付やDM・ポスターなどで応援を受け取った18歳から「頑張ろうという気持ちになる」「自分たちのことを考えてくれているのが伝わる」といった声が届いた、というのが印象的だった。インターネットやSNSの普及とともに人間関係の希薄化が懸念されている現代において、南相馬市の施策は人のあたたかさを伝えられるコミュニケーションの好例であるといえるだろう。

取材=大庭かおり/矢野凪紗・文=矢野凪紗

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