伝えられた「精神遅滞」の言葉。療育に通えば…という期待から大きな不安へ。「娘は幸せになれるの?」【作者に聞く】

東京ウォーカー(全国版)

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知的障害+自閉スペクトラム症の長女とイヤイヤ期の次女の育児に奮闘しながら、自閉症育児の悲喜こもごもを発信しているにれ( @nire.oekaki )さん。子どもの成長への不安や悩みを赤裸々に描いていて、大きな反響を呼んでいる。

にれさんが新たに描き下ろした漫画とエッセイを加えた電子書籍「今日もまゆみは飛び跳ねる~自閉症のわが子とともに~」が発売された。


ウォーカープラスではこの電子書籍の中から特に印象的な漫画を、にれさんのエッセイと共にご紹介。日々思い悩みながらもなんとか前に進むママと、確かに成長していく娘の姿を描く、共感必至エピソードをお届けします。今回は第11回。コラムは「知的な遅れ」についてです。

「今日もまゆみは飛び跳ねる~自閉症のわが子とともに~」第11話-P1(c)nire

「今日もまゆみは飛び跳ねる~自閉症のわが子とともに~」第11話-P2(c)nire

「今日もまゆみは飛び跳ねる~自閉症のわが子とともに~」第11話-P3(c)nire

「今日もまゆみは飛び跳ねる~自閉症のわが子とともに~」第11話-P4(c)nire

「今日もまゆみは飛び跳ねる~自閉症のわが子とともに~」第11話-P5(c)nire

「今日もまゆみは飛び跳ねる~自閉症のわが子とともに~」第11話-P6(c)nire


診断や検査の数値が全てではない?「知的な遅れ」について思うこと

まゆみの診断書には「精神遅滞」という言葉が載っていました。

受診したとき、すでにDSM-5(米国精神医学会・精神障害の診断と統計マニュアル第5版)やICD-11(WHO・国際疾病分類第11版)では「知的発達症/知的能力障害」という語に置き換わっていたようですが、名称については過渡期なのでしょう。ともかく、受診したことでまゆみは知的な遅れを伴う自閉スペクトラム症だと分かりました。

知識も経験もない私たちには、わが子の発達の遅れが自閉特性によるものか知的な遅れによるものか判別できておらず、自閉スペクトラム症はまだしも「精神遅滞」の診断を受け止める覚悟ができていなかったというのが正直なところです。

ただ、この「精神遅滞」については、その後も理解に迷うことがありました。

療育手帳を取得するための知能検査でも、中等度に近い軽度知的障害という結果になったまゆみ。それを療育先に伝えると、返ってきたのは予想外の「まゆみちゃんには知的障害はないものとして療育します」という言葉でした。「精神遅滞」の診断がついていて、数値もほとんど中等度なのに?と困惑しましたが、心理士兼任の園長先生によると数値に表れない部分から判断したとのことでした。

「診断名や検査の数値が全てではない」とする見立てには励まされましたが、まゆみに何かを理解してもらう困難さは身に沁みていたので「知的障害はない」との言葉に戸惑ったのも本音です。

後に知ったのですが、福祉の世界では知的発達症(知的障害)の判定をIQだけでなく多面的に判断する方針に変わってきているそうです。診察室での姿しか知らない医師・検査員と、まゆみの日頃の姿を知っている園長先生で見解が分かれたのはそのためかもしれません。

診断名や数値を度外視するのは足がかりを失うような不安もありますが、親の立場からすると明るい展望を示してくれる先生に出会えたことを有難く感じています。

また、知的な遅れを伴う自閉症児の場合、難しくなるのが言葉のやりとりです。まゆみを見ていると、そうした子どもたちが言葉を発するまでには「やっと言葉が出た」と親が一言で済ます以上の苦労があるのだろうと感じます。

まゆみの話す日本語は、ピジン言語(いわゆるアルヨ言葉など)を使う昔のアニメキャラのような、宣伝に来日したハリウッド俳優のような、なんとも摩訶不思議な抑揚です。

自分で文章を組み立てるのが難しいので、アニメのセリフや歌詞から一言を拝借してくることが多いのですが、母国語らしからぬイントネーションで借り物のフレーズを口にする姿からは、「本人の中には思いがあふれているのに、表現できないだけなのかもしれない」という空想が湧いてきます。

実際に、幼児図鑑の中のものはほとんど指差しできることや、初めての発語が名詞ではなく「きれい」という形容詞だったことからも、口にできる言葉以上の語彙が本人の中にはあるのだろうと感じます。
場面に合わないエコラリアばかりだったまゆみが、時折セリフの意味を理解して意思を伝えてくれるようになっただけでもわが家にとってはパーティ開催ものの快挙ですが、まだまだ当の本人はもどかしさでいっぱいなのかもしれません。

まゆみの心を覗くことはできないので「かもしれない運転」ばかりの育児ですが、「返ってこないだけで、通じているかもしれない」という眼差しを持って、反応の有無は気にせずまゆみと関わり続けていこうと思っています。

「今日もまゆみは飛び跳ねる~自閉症のわが子とともに~」第11話エッセイイラスト(c)nire

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