「同性婚が成立した日は、ただ幸せな人が増えただけだった」芸能界を代表するアライの俳優・東ちづるインタビュー

東京ウォーカー(全国版)

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毎年6月は、LGBTQ+(セクシュアルマイノリティ)に対し、差別や偏見のない社会を目指した活動が世界中で行われるLGBTQ+の「プライド月間」。このタイミングに、“猫様”専用のIoTサービス「Catlog(キャトログ)」を提供するRABOが、「セクシュアリティやバックグラウンドにかかわらず、猫様とを暮らすニンゲンが、家族である猫様と幸せに暮らせる社会を目指す」ためにHappy Pride!ステートメント「すべては、猫様のために。すべての、猫様のために。」を発表した。

すべては、猫様のために。すべての、猫様のために。


このステートメント発表と合わせ公開された特設サイトでは、LGBTQ+のカップルと、彼らを理解し支援する、いわゆるアライの人たちのインタビューを公開し、彼らの日常と、猫との生活を紹介している。

今回、この特設サイトでもスペシャルインタビューとして掲載された、芸能界を代表するアライの俳優・東ちづるさんに話を伺った。

頑張っている人が異性婚の人と同じように愛し合うことのなにが悪いんだろう?【撮影=宮川朋久】


――今回は、LGBTQ+アライとしてこのプロジェクトに参加されていると思いますが、東さんがアライとなったきっかけや、エピソードなどを教えてください。

【東ちづる】テレビ番組の取材でオランダに行ったことがあったんです。オランダは、安楽死や大麻が合法とされている国で、つまり変化を恐れないという国民性の表われでもある。それについてお話を伺いたいなと自分で企画した取材でした。その時に、たまたまゲイとレズビアンそれぞれのカップルの結婚式に呼ばれたので、興味本位で行ってみたんです。

【東ちづる】当時の私は、法律が改正されたからといって、同性婚である以上、少人数で隠れて行うようなイメージを勝手に持っていたのですが、行ってみたら異性婚と全く同じで、家族から同僚、そして子どもまで当たり前のように参加する普通の結婚式でした。

【東ちづる】そして、日本でいう婚姻届のような書類にサインをする場面で、そのサインをもらう係だった役所の方が「この書類が置いてある机の脚はそれぞれ丸、三角、四角、台形でできています。違う人が支えあっているのが社会です」と話していたのがとても感動的で。

【東ちづる】その後、その方に取材をしていたのですが「同性婚を成立させるまで、どれくらい大変でしたか?」と聞いたら「同性婚を成立させるのは確かに大変でしたが、成立した日はいつものように朝が来て、いつものような一日が過ぎただけで、なにも変わったことはなかったです、ただ幸せな人が増えただけでした」という話を聞いて泣いてしまって。添い遂げたい人、頑張っている人が異性婚の人と同じように愛し合って結婚し合うことのなにが悪いんだろう?と強く思いました。

【東ちづる】その経験がもととなり「Get in touch」を立ち上げて、誰も排除しない「まぜこぜの社会」を作るための活動をして、そのひとつとしてアライを表明しています。

【東ちづる】ただ、便宜上アライと言っていますが、実はこれにも違和感があって。アライというのは、理解しているとか支援しているとかの意味がありますが、理解されないといけないの?支援されないといけないの?(当事者にとっては)当たり前のことなんだけど!と思うでしょうし、アライという言葉によってある種の分断も生んでしまうと思っています。全員がアライであれば、アライという言葉がそもそもなくなりますし。

――全員がアライであるべき世界、ということですが、ある調査では、日本の人口の約10%、日本の左利きの人の割合と同じくらいの方がLGBTQ+であるという話もあるなかで、現在の日本においてのカミングアウトのハードルの高さもあり、まわりに当事者がいない(と思っている)方も多いと思います。つまり、アライとかアライじゃないとかいう以前に、そのことさえも自分ごと化できる環境に現時点でいない人も多いと思います。そうしたなかで、すべての人が自分らしく生きるため、誰も排除しないため、私たちにできることはどんなことがありますか?

【写真】いろいろな人たちがいると思うこと【撮影=宮川朋久】

【東ちづる】いると思うこと。人口の10%です。学校のクラスにも、親戚にも、同僚にもいたし、いるんです。「彼氏いるの?」「彼女いるの?」「結婚しているの?」その言葉に苦しむ人がいることをわかっておくこと。そして、それを苦しいと思う人たちのことは絶対に理解が及ばないし、しなくていいんです。

【東ちづる】そして、もちろんこれは同性愛者だけではなく、人間を好きにならない人もいるし、自分自身のことで悩んでいる人もいる。いろいろな人がいる、そしてそのいろいろな人たちがいると思うこと。これだけです。

――いろいろな人がいる、というお話ですが、東さんは、セクシャルマイノリティの方々の支援のほかにも、難病や身体障がいをもつ方々への支援活動も行なっていて、先ほどのお話にも出てきたエンタメで支援活動を行う一般社団法人「Get in touch」を立ち上げていらっしゃいます。先ほどはアライのきっかけをお伺いしましたが、「Get in touch」を立ち上げた想いの源泉もお伺いさせてください。

【東ちづる】いろいろかっこいいことも言えるのですが、実は自分のためなんです。自分が高齢者になったとき、病気になったとき、障がい者になったとき。いろいろなことをあきらめる社会は健全ではないし、つまらない。誰も排除しない社会になってほしいし、自分のためのことだけど、これは家族のためにもなるし、大切な人のためにもなるし、みんなのためになる。このような想いで「Get in touch」を立ち上げました。

――ハリウッドでは低身長症の方や手話で話す方が活躍されているのに比べ、日本の芸能界でのハードルは高いと思っています。また、LGBTQ+の方々についても、一部の画一的な方々の印象が強く、誤解してしまう人も正直多いと思います。このようなマイノリティな方々に対する日本の芸能界やメディアの現状について、東さんはどう考えられていますか?

【東ちづる】「Get in touch」の活動の一環として「まぜこぜ一座」という義足の方、自閉症の方、低身長症の方、全盲の方、そしてもちろんLGBTQ+の方、それぞれ素晴らしいプロのパフォーマーの方とともに映画やショーを作っているのですが、これを作ろうと思ったときに、彼らをメディアで全く見ないので、いろいろなイベントに行って直接スカウトしてきたのですが、これ自体がおかしい、と思って。

【東ちづる】だって、ハリウッドや韓国、ヨーロッパだと映画にもドラマにも当たり前のように彼らにも役があって、主人公の日常に溶け込んでいるのですが、日本では全く見ない。見るとしても、乗り越えている姿を見せるようなドキュメンタリーばかり。いわゆるマスにとっても、普通じゃない人にチャンスがない芸能界やメディアって全くフェアじゃないと思っています。

【東ちづる】だからその扉を開けようと、この「まぜこぜ一座」の舞台を行なって、そしたら全国のメディアの方々が取材に来てくれて。「やった!扉が開いた!」と思っていたのですが、その後なんと1秒も1ページも、この舞台のことが紹介されることはなかったんです。扉どころか壁だった。来てくれた方々に聞いてみたら、マイノリティパフォーマーはデリケートであること、「こびと」という言葉は放送自粛用語だったことを教えてくれました。彼らはメディアで活躍したいのに、いないものにされてしまったんです。こんな芸能界は、メディアは、私が居心地が悪いと感じてしまうので、すべての人にチャンスを作るために、引き続き活動を行なっています。

――いろいろなお話を伺ってきましたが、最初の話題に戻らせていただきまして、今回インタビューさせていただくきっかけとなったRABOの「すべては、猫様のために。すべての、猫様のために。」へ賛同した理由と、このステートメントに対しての感想を教えてください。

【東ちづる】猫が大好きだから!もちろん、わたしのLGBTQ+の方との活動の背景もありますが、本当に猫様、というくらい猫が大好き。物心ついたときから一緒にいたし、今も2匹の子と暮らしています。

【東ちづる】ステートメントについても、とってもすてきなものだと思っていて、RABOの代表の伊豫さんがアライと聞きましたが、LGBTQ+の同じ立場で、すべての、みんなの、と言い切っているのがいいですよね。よくいう「すべての人のために」「みんなのために」ってマイノリティのことを考えたものになっていないことが多い。けれど、このステートメントや発表に携わっている人にもLGBTQ+の方々がいるとのことで、すべての、が本当にすべての人にとってのものだと思えます。いろいろな家族がいて、いろいろな猫たちがいて、それらがすべての存在だとまとめられていることがわかるので、当たり前ですがすてきですね。

――猫が大好きだから!という一言が最初にありましたが、猫の魅力についても教えてください。

すべての猫がかわいいし、大好き【撮影=宮川朋久】

【東ちづる】あんな勝手な生き物はいないですよね。甘えるときは来るのに、癒やしてほしいときには来てくれない。動物全般好きではありますが、あんなに抱っこしてフィットする生き物はいないです。液体ですよね。身体にしっかりとフィットしてくれて。

【東ちづる】もともとメインクーンと一緒に暮らしていた中で、一カ月半前くらいに新たにサイベリアンの保護猫を迎え入れました。メインクーンは大きくて犬みたいな性格でかわいいですし、サイベリアンはあざとい顔をしていてかわいい。本当にすべての猫がかわいいし、大好きです。

――ありがとうございます。では、最後となりますが、活動や発信を通じて、東さんが実現したい社会の未来像について教えてください。

【東ちづる】繰り返しになりますが、誰も排除しない「まぜこぜの社会」になればいいと思っています。そのためには、理解や知識がなくてもまずはいると思うこと。そして、彼らがいればわかり合えます。排除されていると感じる人がいなくなれば、それはすべての人にとっても居心地のいい社会になるから。LGBTQ+だから、アライだから、なんて考えたりあえて分断することなく、レズビアンの方はGBTQ+と異性愛者のことを、ゲイの方はLBTQ+と異性愛者のことを、もちろんそれ以外の人たちも、自分と自分以外のことをアライできる社会を実現していきたいです。

取材・文=大原絵理香、撮影=宮川朋久

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