オリンピックシーズン開幕!注目選手を総ざらい 【ジュニア女子・前編】

東海ウォーカー

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今年はオリンピックシーズンということもあり、ジュニア年代への注目は例年ほどではないのだが、平昌五輪後に活躍するであろうホープが次々と現れている。夏のローカル大会、そしてこれから始まるブロック大会で取材した選手達を紹介していきたい。

ジュニアグランプリに初出場!チャンスを掴み取ってほしい、松原星


松原星、東京夏季フィギュアでのフリープログラムの演技


以前からこの連載を読んで下さっている方にはお馴染みだろう。東日本勢のジュニア女子のエースとして、ずっと期待されている選手だ。それも当然のこと、練習でのパフォーマンスがとにかく素晴らしいのだ。ただ緊張癖があるために、なかなか試合本番でその実力を発揮できずにいる。今年こそはと臨んだジュニアグランプリの選考会でもミスをしてしまい、その時点では補欠2位に留まっていた。実は選考会直前まで絶好調だったそうだ。それが演技本番ではループジャンプのミスから崩れたという。本人が一番苦しいことだろう。こればかりは周りがどんなに励まそうとも、試合本番での、たった一度の成功体験に勝るものはないのだ。それでも今年は運が向いている。ジュニアグランプリ第6戦、ポーランド大会への追加エントリーが決定したのだ。昨年は補欠1位で派遣されなかったのだから、この強運を生かして精一杯のアピールをしてきてもらいたい。

今季のプログラム、ショートは“ジェラシー”、振付は鈴木明子。そしてフリーは“ミッション”、振付は杉浦コーチだ。選曲については両方ともコーチが薦めてくれたものだそうだが、“ミッション”に決めた理由は全米選手権でキャロライン・ジャンが使っていたのを見て気に入ったのだという。ボーカル入りのバージョンだったことが新鮮に感じられたようだ。

東京夏季フィギュアでの演技は、ショート、フリー共に満足の行くものではなかった。決して不調なのではない。「本番になるとジャンプのことで頭が一杯になる」という。コーチからは「自信を持って」といつも言われるとのことだが、解決には時間がかかることなのだろう。

松原星はループが試金石の選手だ。昨年の全日本ジュニア、そして今年のジュニアグランプリ選考会でもループのミスから崩れたのだ。その対策としてループの場所を変えたという。以前は冒頭に跳ぶようにしていたものを演技の途中に移し、跳ぶ位置も変更した。夏季フィギュアではその対策は功を奏さなかったのだが、努力が実を結ぶことを期待したい。

今年の全日本選手権は東京で開催されることもあり、東京都連所属選手にとっては特別なイベントとなっている。この点について聞いてみると予想通り「めちゃめちゃ行きたい。行くしかない!」との返事が返ってきた。そのために必要なことは?と聞いてみると、「ショートで失敗しないこと」と、本人も良く分かっている。今回、急きょ決まったジュニアグランプリへの出場が、彼女にとって大きな経験、大きな糧となり、流れを変えてくれるのではないか、そんな期待を抱かずにはいられない。

北京オリンピック世代のホープ!松岡あかり


2試合目のジュニアグランプリへの派遣が決まった松岡あかり。ジュニア初年度としては素晴らしいアピールだ


今季からジュニアに上がった松岡あかり。昨季の全日本ノービスでは複数のミスをしながらの3位入賞。実際に演技を観れば彼女の評価の高い理由が良く分かるはずだ。とにかくエレメンツのクオリティが高い。ジャンプ、スピンの軸の取り方には天性のものを感じる。しかしまだ緊張をコントロールできないところがあるようで、ジュニア昇格直後にはありがちなことだが、ショートプログラムをやや苦手としている。最近は特に3フリップ+3トウループでのミスが多かった。これについて聞いてみたところ、「ショートのフリップ+トウは、ショートの1本目ということで意識してしまうんです。練習でもしっかり跳べていますし、別に苦手というわけではありません」とのことだ。対策としてジャンプの配置を変えたりしたが、それほどやりやすくはならなかったという。結局、フリップ+トウを冒頭に置く構成でJGPオーストラリア大会に臨んだのだが、回転不足はついたものの転倒せずに降りることができた。ひとつ壁を乗り越えた印象だ。

今季のフリープログラムは“黄昏のワルツ”、宮本賢二の振付だ。フリーには以前から自信を持っているそうで、ノーミスの率も非常に高い。ただ「最初のジャンプはやはり緊張するので質が良くないんです。後半の方がリラックスして流れに乗って跳べています」とのこと。スタミナには全く問題なく、後半のジャンプの方が質の良いジャンプが跳べるとの自信があるようだ。

初出場のJGPオーストラリア大会では、フリーでも大きなミスなくこなし総合4位!素晴らしいアピールとなった。サマーカップの折に「ショートさえちゃんと跳んで上位に入れば、フリーは自信があります」と語っていたが、その通りの展開になった。そして目標としていた2試合目の派遣も掴み取ったのだ。初戦が4位ということで、ファイナルへの進出はハードルが高いのだが、来季につながるアピールをしてきてほしい。何よりも、大舞台に慣れ、緊張癖を克服する機会としてもらいたいものだ。

壁を乗り越えつつあるノービスチャンピオン、住吉りをん


住吉りをん、東京夏季フィギュアでのショートプログラムの演技


昨季の全日本ノービスでの優勝スコア、108.25はノービスの史上最高得点だ。一躍、注目を集める存在となったのだが、その後はなかなか思うような演技ができなかった。この点について以前聞いたところ、「全日本ノービスは、優勝を狙っていなかったんです。優勝したことで、その後は狙うようになってしまいました」との答えだった。昨年の東京ブロック、そして全日本ノービスでは「最近は緊張しなくなりました」と話していた。それが躍進の原動力だったのだが、ノービスチャンピオンとなったことで無心で試合に臨むことが難しくなった面があったようだ。

そしてもう一つ、今季、彼女が苦心した問題がある。ジュニアではショートプログラムのソロジャンプが規定されている。今季はルッツジャンプを跳ばなければならないのだが、彼女のルッツはエッジエラーを取られがちなのだ。この修正に取り組んだところ、他のジャンプの練習が十分に出来なくなり、得意だったフリップジャンプも崩れていたのだという。ただ最近になって、その対策の成果が上がってきた印象だ。8月上旬のサマーカップではエラーがついていたルッツが、8月下旬の東京夏季フィギュアではショート、フリー共にエラーがつかなかったのだ。フリップジャンプの調子も戻ってきており、ようやく壁を乗り越えつつあるようだ。

全日本ノービスでチャンピオンになったことで、その後にメダリスト・オン・アイス、ドリーム・オン・アイスなど、アイスショーにも呼ばれるようになった。「お客さんに観てもらえることは貴重な経験でした。踊ることが楽しくなりました」と前向きに捉えていたが、同時にジュニアグランプリの選考会がドリーム・オン・アイスの直後だったことで、調整の難しさも痛感したようだ。

今季のフリープログラムは“黒鳥”。最初はとても難しかったという。表情など、どうすれば良いのかが全く分からず、「お母さんや振付の佐藤紀子先生に相談しました」とのこと。それでも夏季フィギュアの頃には完成度も上がってきたことを実感している様子だった。この時、夏季フィギュアとほぼ同じ日程でJGPオーストラリア大会が開催されており、そこにチームメイトの松岡あかりが出場していた。

「あかりちゃんがいないと、練習での気持ちも違います。あかりちゃんがいなかったら私はここまで伸びなかったと思います」

同じチームの先輩に樋口新葉もいるのだが、あくまでも“目標”であり、松岡あかりの方がより大きな刺激を受けているとのことだ。とても良いライバル関係なのだろう。この両名の存在が、今後の勢力図を一気に塗り替えそうな予感だ。

「ジュニア女子・中編」へ続く 【東海ウォーカー】

中村康一 (Image works)

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