セサミストリートが大切にする“多様性とインクルージョン”、100以上のキャラクターを通して子どもたちに伝えたいメッセージとは?

東京ウォーカー(全国版)

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1969年にアメリカで放送を開始して以来、50年以上に渡って世界中の子どもたちを楽しませ、良質な教育を届けてきたテレビ番組「 セサミストリート 」。エルモやクッキーモンスターなど、個性豊かなキャラクターが多数登場するコンテンツとして認知されているが、今回は、同番組に込められた思いや、子どもたちに伝えたいメッセージ、今後の展開などについて聞くために、「セサミストリート」の日本国内エージェントであるソニー・クリエイティブプロダクツと、その制作版権元である米国NPO法人セサミワークショップ/セサミストリートジャパン合同会社の担当者にインタビューを実施した。

50年以上に渡って世界中の子どもたちを楽しませ、良質な教育を届けてきたテレビ番組「セサミストリート」

今回お話を伺ったのは、ソニー・クリエイティブプロダクツ IPマーケティング本部 マーケティング部チーフの曽根基さん、セサミストリートジャパン合同会社 ビジネスディベロップメント ディレクターの曽我謙介さん、セサミストリートジャパン合同会社 マーケティング・コンテンツ戦略 シニアマネージャーの吉田麻鈴さん。

写真左からセサミストリートジャパン合同会社 ビジネスディベロップメント ディレクターの曽我謙介さん、セサミストリートジャパン合同会社 マーケティング・コンテンツ戦略 シニアマネージャーの吉田麻鈴さん、ソニー・クリエイティブプロダクツ IPマーケティング本部 マーケティング部チーフの曽根基さん


――まずは「セサミストリート」誕生のきっかけ、そこに込められた思いを教えてください。


【吉田さん】今からちょうど55年前の1969年、放送を開始した当時は、人種問題・貧困・教育格差や移民の問題など、さまざまな社会的課題や社会的不安が渦巻いている世の中だったのですが、そのような中で、“テレビという媒体”を使い、学校に行っている子どもも行っていない子どもも、すべての子どもたちに良質な教育を届けていこう、というミッションで開始したのが「セサミストリート」です。

メッセージは今も変わらず、“学びと笑いをミックスする”、教育とエンターテインメントを結び付けた番組として展開していくというところを大切にしています。そのために、子どもの発達や学びの専門家だったり、クリエイターやパペティアだったりと、さまざまな分野の専門家たちに参加していただいて番組を制作してきました。

吉田麻鈴さん


――「セサミストリート」では多様性豊かなキャラクターたちが、隔たりを感じさせないグローバルなコミュニティを見せてくれていますが、その世界観について詳しく教えてください。

【吉田さん】多様性とインクルージョンというのは、番組が始まった時からとても大切にしているテーマなんです。誰もが受け入れられるコミュニティというものを象徴していて、その特徴のひとつがセサミストリートのパペットたち。色や形、大きさや性格、それぞれが持っているさまざまなバックグラウンド…。いろいろなキャラクターたちが、あの世界、あの街で出会って、そして関わりを見せていくというところがセサミストリートの特徴かなと思っています。視聴者が“番組の中に自分を見つけられるようにする”ということをとても大事にしているんです。

100以上のキャラクターの中には、いつも元気で無邪気な性格のエルモや、食いしん坊で我慢することを練習中のクッキーモンスター、ちょっと失敗したときにパニックになってしまう、心優しいビッグバードなど、さまざまなキャラクターがいます。

そして、番組の舞台は夢の世界ではなく、実際に子どもたちが住んでいる世界というのを体現していて。視聴者が番組と一緒に、自分の住む世界を理解し、多様な人たちの関わりをキャラクターと一緒に見たり学んだりしながら、コミュニティの一員として生活ができるように…というロールモデルになっているんです。

いつも明るくポジティブな3歳半のモンスター、エルモ

クッキーには目がないクッキーモンスター

セサミストリートの仲間たちと並ぶと、ひときわ大きく見えるビッグバード。その身長は250センチメートルもあるのだそう


――「セサミストリート」の新しいキャラクターを生み出すとき、どのような流れで進められているのでしょうか?

【吉田さん】「セサミストリート」はリサーチ機関でもあり、時代や社会ニーズ、展開する地域の文化や社会課題にあったものを届けていくということを大切にしています。そのために、常にニーズ調査を行い、その場所やその時代の子どもたちに何が必要なのか、どのように届けることが最適かを、専門家と一緒に話し合い、キャラクターを生み出しています。また、キャラクターを生み出したあとにも、どんな学習効果が見られるかなど効果測定も行います。

例えば、2015年に登場したジュリアは、自閉症の特性がある女の子のキャラクターで、開発は2010年頃から始まっていました。開発が始まった当初、アメリカでは自閉症と診断されている子どもの数がかなり多くなっていて、診断数が増加しているにも関わらず、社会の理解が得られていないという事実がありました。そこで「これは自分たちが取り組むテーマなんじゃないか」となり、2010年に初めて企画書を提出し「セサミストリートと自閉症」というプロジェクトを立ち上げ、効果測定を繰り返しながら改良したものを2017年にデビューさせました。

自閉症の女の子、ジュリア


――みなさん、思い入れのあるキャラクターはいますか?いたらその理由も教えてください。

【曽我さん】個々のキャラクターというよりは、”色鮮やかさ”や”明るく楽しい雰囲気”、”親しみやすいデザイン”、”日本の風景とは異なる街並み”、”友情・協力・共感・問題解決”といった、小さい頃に見ていた「セサミストリート」のイメージがとても強く残っています。また、皆が同じことをしたり同じ場所に行ったりするのではなく、個性豊かなキャラクターたちが互いを尊重しながら集まっているという全体の世界観にも強い思い入れがあります。

曽我謙介さん


【曽根さん】僕はグローバーが1番好きです。好奇心旺盛で明るくて、正直で、友達が困っている時は「スーパーグローバー」となって駆け付けてくれる。僕自身もこうありたいなと思える、大好きで憧れの存在です。

友達のピンチに駆け付ける、社交的なグローバー

曽根基さん


【吉田さん】私はずっとアビーが好きです。もちろん見た目とか、かわいいキャラクターが好きというのもあるんですけど、アビーの背景に、個人的に重なるところがあって。「こんな風に前向きに考えればいいんだ」とか、「こんな風に考えなくてもいいんだな」とか、そういうのを見せてくれるキャラクターだなと。自分に寄り添ってもらえるキャラクターだと思っていました。

立派な妖精になるために、日々魔法の訓練をしている、アビー


【曽根さん】アビーはいますごく女性たちに人気で、我々もフォーカスしていて、もっと盛り上げていこうと考えているんですよ。日本全国の皆さまにもっと知っていただくための活動をしていく予定です。

――セサミストリートマーケット池袋に続き、豊洲に2号店のオープンを控えております。盛り上がりが続きますが、今後はどのような活動や企画をお考えでしょうか?

【曽根さん】物販、カフェ、ワークショップが複合した世界で唯一の店舗「セサミストリートマーケット」は、2023年11月に池袋サンシャインシティ店がオープンしたのですが、今冬には、その2号店がアーバンドックららぽーと豊洲にオープンします。ファミリー層が多くいらっしゃるエリアなので、2号店ならではの商品やカフェメニューの開発を進めているところなんですよ。

また、ハンドルを持ったクッキーモンスターが目印の移動物販車「セサミストリートトラック」も人気です。ヌイグルミチャームやアパレル雑貨などが好調。普段使いできるもの、トレンド感のあるものがそろっており、女性に限らず男性、ファミリーにもさまざまな商品をご購入いただいています。


――「セサミストリート」を通して子どもたちに伝えたいメッセージはどのようなものですか?

【曽我さん】「セサミストリート」では、それぞれのキャラクターが個性と考えを持ち、お互いを尊重し合っています。それぞれの行動や言動に対して、周りの子たちは決して否定せず、「そういった考えもあるんだ」「自分ならこうしたい」と考えを広げていきます。こうした違いを素晴らしいものとして受け入れることで、世界観がより広がっていきます。このような姿勢はとても大切だと思います。特に最近では、自分と違うものをブロックしたり攻撃したりするといったことをニュースで見聞きすることが増えているように感じます。自分の考えをしっかり持ちながらも、他人の意見を柔軟に受け入れ尊重することができる、そんな考え方を子どもたちに伝えていける存在でありたいと思っています。


【吉田さん】多様性ってすごく難しいもののように見られがちなんですけど、周りを見ると人って全員違う。 そういうことを知る、自分の住む世界を知るきっかけに、また、お子さんとの会話のきっかけとして、「セサミストリート」があるといいなと思っています。

――最後に、本記事を読んでいるユーザーや子どもたちに伝えたいメッセージがあればお願いします。

【曽我さん】「グッズを購入した」「TVや配信サービスで番組を見た」「ユニバーサルスタジオジャパンでアトラクションを体験した」「キャラクターが好き」など、どんなきっかけでも構いません。それを機に「セサミストリート」に興味を持っていただき、好きになっていただき、その先に我々の理念や活動といった非営利団体としての側面についてももっと知っていただける機会を創っていきたいと考えています。

【吉田さん】「セサミストリート」を楽しんでいただいているすべての人を受け入れるコミュニティだと思っているので、本当にどんなことを入り口にしていただいてもいいので、1度番組を見たり、ショップに遊びに来てもらえたりするとうれしいなと思います。【ウォーカープラス/PR】


取材・文=平井あゆみ
撮影=島本絵梨佳


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