坂本龍馬のお膝元、高知県で大政奉還の記憶に思いを馳せる
東京ウォーカー(全国版)
ことしは大政奉還そしてその立役者である坂本龍馬が没してからちょうど150年。全国の博物館などで幕末関連イベントがめじろ押しだ。なかでも龍馬の出身地、高知県(土佐藩)は、2017~19年春まで2年にわたって歴史を中心とした観光博覧会「志国高知 幕末維新博」を開催するなど、盛り上がっている。ここでは11月27日(月)まで開催中の特別企画展「大政奉還と土佐藩」を特に紹介したい。

徳川幕府が朝廷に政権を返上することで、約700年続いた武家政治が幕を閉じた大政奉還。黒船来航に象徴される、欧米列強による圧力、幕藩体制の揺らぎから生まれた佐幕派と倒幕派の対立など、当時の日本は内外に火種を抱えた火薬庫のような危機的状況だった。
一般的には薩摩藩・長州藩の主導により幕府が倒れ、明治を迎え、一気に近代化が進んだような印象があるかもしれないが、話はもっと複雑だ。幕府を武力によって徹底的に倒さんとした長州と薩摩に対して、内戦による国の弱体化を避けなければ欧米に食い物にされる、と無血革命を目指したのが土佐藩だった。
土佐藩の重臣であった後藤象二郎が、坂本龍馬の主張する大政奉還論に大いに賛同し、前土佐藩主であり「幕末の四賢侯」と称された山内容堂を動かしたことから、武力討幕を排した土佐藩の大政奉還案は動き出した。
山内容堂や後藤象二郎らが名を連ねた「大政奉還建白書」が慶応3年10月3日に土佐藩主・山内豊範から提出され、10月14日に十五代将軍・徳川慶喜がこれを受け入れることで、大政奉還は多くの日本人の血が流れることなく成立したのだった。
ちなみにその1か月後、11月15日に、悲願であった大政奉還を見届けた坂本龍馬は、京都の近江屋で刺客に襲われて命を落としている。
「大政奉還と土佐藩」は高知城を仰ぎ見る、高知県立高知城歴史博物館で行われているが、特に見ものなのは、大政奉還にかかわる史料「大政奉還建白書写」、「坂本龍馬書状 後藤象二郎宛」の2点だろう。
慶応3年9月に書き写された前者は、その全長は約4メートルにもおよぶ。山内容堂による本文に続いて、後藤象二郎らによる別紙副書も写されている。
後藤象二郎宛の書状が書かれた慶応3年10月13日は、京都・二条城にて徳川慶喜が40藩の重臣を集め、大政奉還に関する意見を聴取した日だった。龍馬は象二郎に「共に失敗に終われば死ぬ覚悟で大政奉還を実現しよう」と激励の文を送ったのだった。
それぞれが違う立場にあり、時に血で血を洗う対立の立場にありながら、しかし日本の未来をすべての人間が思っている。その重みが胸に迫る史料だ。
そのほか、酒と女性、詩を愛し、自ら「鯨海酔侯」と称した、風流人、山内容堂の陣羽織や、土佐の名鍛冶師・左行秀に龍馬の兄・権平が依頼し、龍馬が譲り受けた刀など、希少な史料が展示されている。
150年という歴史的な年に、土佐・高知の地で、幕末当時の時代の転換に思いを馳せてみてはいかがだろうか。
土佐藩主の秘蔵資料など一挙公開!【高知県立高知城歴史博物館】

高知県立高知城歴史博物館は「志国高知 幕末維新博」のメイン会場。「大政奉還と土佐藩」と題した企画展では、同博物館が収蔵する土佐藩主・山内家を中心とした約6万7000点の資料のうち、「幕末の四賢侯」として体制に影響を及ぼした第15代藩主豊信(容堂)ゆかりの資料などを特別公開している。
土佐の志士たちの輝きを外装にラッピングしたJR四国のトロッコ列車「志国高知 幕末維新号」も運行中だ。この機会に、“近代国家への変革”に挑んだ人々の息吹を感じに、ぜひ高知に足を運んでみては?【ウォーカープラス編集部】
Raira
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