大泉洋「4をやりたい」“探偵”の再始動を観客と約束!?閉館迫る「丸の内TOEI」に松田龍平と登場

東京ウォーカー(全国版)

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1960年に開業した映画館「丸の内TOEI」が、2025年7月27日(日)に閉館することが決まった。東映最後の直営館であり、日本で“最後のロードサイドシアター”として長年親しまれ、幾度となく感動や笑い、情熱に包まれてきた空間だ。そのフィナーレに向けた特別企画「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクトの一環として、5月14日に『探偵はBARにいる』シリーズの一挙上映&舞台挨拶イベントが開催された。

『探偵はBARにいる』シリーズの舞台挨拶に登場した、大泉洋さん(写真左)と松田龍平さん(同右)


この作品は、これまで何度も丸の内TOEIで初日を迎え、観客とともに歴史を刻んできた、同劇場と縁深いシリーズ。特に2017年の『探偵はBARにいる3』公開時には、俳優・大泉洋さんが登壇する“単独映画祭”まで実施され、劇場と作品の結びつきは非常に強い。だからこそ、閉館を迎えるこのタイミングで“探偵コンビ”が再集結することに大きな意味があるのだ。

会場からの声援に、手を振り応える大泉さん

松田さんは、「約8年ぶりですからね。大泉さんに会いたいなと思って」と、舞台挨拶を引き受けた理由を明かした


劇場に姿を現したのは、“探偵〈俺〉”役の大泉洋さんと、相棒・高田役の松田龍平さん。さらに、MCとして元ニッポン放送アナウンサーの荘口彰久さんも登壇した。舞台挨拶では、撮影時の裏話やコンビならではの軽妙なやり取り、そして“探偵4”への意欲まで飛び出した。盛りだくさんの内容となったイベントの様子をレポートする。

7年ぶりの再会に、あの音楽とともにふらりと登場

チャラチャラチャ…と、あのテーマに乗せて現れた二人に、観客席から拍手が湧き起こる。この日は、2017年12月15日に開催された「シリーズ累計200万人動員記念」の舞台挨拶以来、実に7年半ぶりのそろい踏みだった。

開始早々、大泉さんがボケて会場を和ませた


まずマイクを握ったのは大泉洋さん。「今日はね、本当に『かくかくしかじか』の公開に来ていただき、本当にありがとうございます」と笑いを取りつつ、「正直、今は探偵の舞台挨拶してる場合じゃないんですよ。数日後に公開があるから」と別作品について言及。「でもね、この曲に乗せて龍平くんと登場したのは、やっぱり感慨深かった」と語り、久しぶりの再会と丸の内TOEIへの思い入れをしみじみと口にした。

「どれぐらいから決まってました?」と聞かれ、「えぇ…4日前ぐらい…」と出演を決めたタイミングを明かした松田さん


松田龍平さんは、今回の登壇が決まったのはつい4日前だったという。「薄情な人間だと思ってた」と笑いながら語る大泉さんに、松田さんは「いやぁ、会いたいなと思って。もちろん」と静かに応じ、会場は温かな拍手に包まれた。「何ひとつ撮影してないのに、ここに呼んでいただいて。しかも、龍平くんに会えるとは」と大泉さんが感慨深げに語れば、荘口さんも「過去作を上映しただけですからね」と笑いを交える。「私はてっきり一人で出るもんだと思ってた。そこに“龍平さんも来れるかも”って聞いてね。断ると思ってたんだよ。“うーん…いいかな”って(笑)」とモノマネ混じりに語ると、観客席からも笑い声が漏れた。

コメントのあとに、思わず「あぁ」と息抜きした松田さん。大泉さんは、「“あぁ”じゃないでしょ!?ひとボケ終わっただけで重労働みたいな感じ(笑)」と間髪入れずつっ込んだ


マイクの持ち方が怪しかった松田さんに対し、「変わってない!」とツッコミを入れる大泉さん。さらに荘口さんが「マイクは口元で」と促すと、松田さんは「やりづら…(笑)」とひと言。冒頭から息ぴったりのやり取りを披露した。あらためて松田さんが口を開き、「高田役をやりました。あの…『探偵はBARにいる4』初日舞台挨拶に…」とボケを投下。「まだでしょ!」と大泉さんが即ツッコミを入れ、「8年間温めてたのかもしれない。うれしいなぁ」と笑いながら返す。探偵と高田の空気感がそのまま舞台上に再現されていた。

あの拷問、あのアクション、あの雪道。“地獄と笑い”の撮影秘話

話題は、シリーズ3作の撮影裏話へ。特に『探偵3』での“パンツ一丁・漁船拷問シーン”は、大泉さんにとって「1、2、3のなかでも最低でしたね」と振り返るほど強烈な記憶。撮影前、監督からは「港の中をバーッと走ります」と聞かされていたという。だが実際に現場へ行ってみると、想像以上の寒さに震えた大泉さん。「本当に寒いから、ちゃんとおもしろい絵にならないと困る」と直談判。「こんだけやって、おもしろくなかったじゃ困るから言ってください。何でもやりますから、やりたいことを言ってください」と伝えたところ、監督は「じゃあ一つだけ」と前置きし、ぽつりと「沖に出たい」。

『探偵はBARにいる3』の過酷な撮影を振り返り、「パンツ一丁で船にくくりつけられて」と言うべきところを、「パンツにくくりつけられて」と言い間違え、会場の笑いを誘った


まさかのリクエストに、大泉さんは観念して覚悟を決めたという。パンツ一丁のまま、凍える海へ。全力で演技をして「カット!」がかかったあと、「どうでしたか?」と確認。すると返ってきたのは、まさかの「揺れて撮れませ〜ん!」だった。「ふざけんな!わかるだろ!沖に出たら揺れんのは!」と、大泉さんがぼやくと、客席からどっと爆笑が湧き上がった。

高田は、アクション担当みたいなポジションだったと振り返った


松田さんは「3が一番、殺陣を頑張った」と振り返りつつ、「でも、あまり頑張らないほうがいいかもなって思った」とコメント。その理由について「1の時は、僕じゃなくて“プロの人がいるからいいや”くらいの感覚でやってた。でも、だんだん全部自分でやる流れになってきて…」と語り、「いい塩梅を探すのが難しかった」とも明かした。そんな松田さんの控えめな語り口に、大泉さんは「しっかり頑張ってやって、いいものになりましたよ」とすかさずフォロー。会場からも拍手が贈られた。

「3って、あれでしょ?本当に、パンチをこうやって顔に当てていいってやつだよね?」と、作品とシーンの関係を確認しながら、トークが進んだ


北川景子さんとの共演や、ハイスピードカメラで撮影した乱闘シーンの苦労話も登場。「あれは、ゆっくり撮ってるんですよ」と大泉さん。「ぐぅわーっと。これぐらいのスピードで全部撮るんですね」とゆっくりしたスピードで自分の顔にパンチを当てて再現した。「それをハイスピードでカメラで撮ると、なんかこうスローに見えるわけ」と大泉さんが続け、「あれ死ぬほど疲れたね」としみじみ語った。すると松田さんが「よく覚えてますね?」と、疑いの表情で見つめる。「昨日見返しました?さては?怪しいですね」と静かにツッコミを入れていた。

松田さんに「昨日、見返しました?さては?」とつっ込まれ、たじたじとなった大泉さん


また、スプリンクラーの中でびしょ濡れになりながらの立ち回りや、坂道を車で下るカーチェイスの話題では、「スキー場の坂を車で下ったのは2でしょ?」「いや、あれは1?」と記憶が曖昧なやりとりがあった。

『探偵1』に登場するスノーモービルでのシーンに話が及ぶと、大泉さんは「雪道はね、危ないからとにかくふかしちゃいけないよ、って言ったんですよ」と切り出し、「“ふかしたら空回りしちゃうから、ゆっくり行ってね”って言ったら、“わかってますよぉ〜”って返してきたのに、スタートした瞬間に“ドーン!”ってふかしたの覚えてる!」と、松田さんの豪快すぎる運転を再現つきで暴露。「ものすごい、この人、運転危ない!」と叫ぶと、会場には驚きと笑いが広がった。

松田さんの運転を、モノマネを交えながら再現


ぽかんとした松田さんの表情を見た大泉さんが、「本当に出たこと覚えてる?」とさらに追い打ち。「なんでここにいるか、怪しいんじゃないの?」とたたみかけると、松田さんはキョトンとしたまま微笑。息の合ったツッコミとボケの応酬は、まるで映画のワンシーンを見ているかのようだった。

サウナシーンの話で、「メイクさんに“大泉さん、もうこれは絵ですよ”って言われました」と、お腹にしっかり筋肉を描いてもらっていたと明かした。しかも、「大泉さん、ちょっと濃くするのはできるよ。でもね何にもないとこには描けない」って言われ、「うるせぇな!いいから描けよ!プロだろ」と、描いてもらったことを裏話として披露してくれた


「4をやりたい」そして“探偵”の再始動を観客と約束

舞台挨拶の終盤、荘口さんが「『探偵はBARにいる4』で検索してる人、すごく多かったんですよ」と話題を振ると、大泉さんも「やっぱりね、そういう方多い」と応じ、会場から拍手が起きた。その時、一緒に拍手していた松田さんを見て「人ごとのように手を叩いてる」とちょっと呆れ気味。一方の松田さんは「いや、もう僕はだいぶ前から準備万端なんです。この人(大泉さん)が忙しくて」と返し、荘口さんが「まあいいことだけど、もう面倒なところ」と笑いを誘った。

「4観たいですよね?」という観客席への問いに対し、大きな拍手が響き渡った劇場内。そんな観客と一緒に手を叩く松田さん


さらに、「お前も拷問を受けてみろよ!こっちは大変なんですから」と大泉さんが熱く言い放ち、「やりたいってプロデューサーに言ってますよ。“室町無頼やってる場合じゃない”ってね」とも。「もう蓮田兵衛で探偵をやろうかと思ったくらい」と冗談も忘れない。

大泉さんは、松田さんからの意外な提案に、大爆笑しながら同意


松田さんが「でも、4の初日舞台挨拶をやる劇場がもうなくなっちゃうんですよ」と話すと、荘口さんが「7月までに作っても無理ですよね」と応じ、大泉さんも「8年ぶりの映画を突貫で作るっていうのはね」と苦笑。「パネルでいいんじゃないですか?パネルで。顔だけはめて」と松田さんが斜め上をいく提案。「それなら間に合います」と大泉さんも乗っかった。

4作目のヒロインに子役をイチオシ。またも斬新な提案で2人を驚かせた


さらに話題は妄想展開へ。荘口さんが「ヒロインの方なんか誰かいたりするんですかね?」と話を振ると、大泉さんは「ヒロインってね、やっぱり大事だから」と応じる。松田さんは「今までは素敵な、アダルティーな女優さんだったんで…すごい子役とか」と提案し、これには一同が「えっ?」と驚きつつ大きな反応。

ストーリーを次々と創作し、どんどん話を進めていく大泉さん


「いいと思う。子どもに振り回される探偵ね。なんかこう…ケラーオオハタにカラカランと入ってきて、『パパ』って。ありそうでしょ?」と大泉さんが即興でストーリーを展開。「探偵、お前子どもいたのか?」「知らねえよ」みたいなやりとりに加え、「この子はあなたの子どもです」という手紙まで登場。ついには「その子とお別れして、一人で生きていくんですよ…子どもが」と妄想が広がり、松田さんが「そろそろ止めたほうがいいんじゃないですか?」と苦笑する場面も。

二人の俳優陣とも、息の合った絶妙な間合いでトークを進行した、MCの荘口彰久さん


荘口さんが「本当にお二人の控え室の雰囲気も、まさに“俺と高田”そのままでしたよ」と語ると、大泉さんは「本当に久しぶりだったんです。2017年の公開以来」とうなずく。その関係性について問われると、「やっぱり松田龍平さんって、不思議な魅力にあふれてるんですよ。お仕事できるなら、またしたいですね」と真顔で答えていた。一方の松田さんも、「準備はできています」と宣言。

探偵と高田の息が合ったコンビネーションは、お互いのことを理解しつつ、認め合う二人だからこそ表現できる演技だ


お互いをよく知るからこそ成り立つ、探偵と高田の関係性。8年ぶりでもすぐに空気が戻る、変わらない関係性に、会場も何度も和やかな空気が漂っていた。そして最後に「やっぱり作らなきゃいけない」とこぼしたその一言に、拍手が重なった。

ありがとう、丸の内TOEI

丸の内TOEIで過ごした時間は、大泉さんと松田さんにとっても、そして観客にとっても特別なものだった。

「お世話になった劇場で、探偵シリーズをあらためて上映することができた。こうやって大泉さんと壇上に立てて、うれしい思いでいっぱい」と松田さん。「ここで初日の舞台挨拶をし、ここで毎回『次回作制作決定!』なんて言って盛り上がっていた思い出がたくさん。最後の最後で、龍平くんと舞台挨拶させてもらい、また素敵な思い出がもらえた」と大泉さん

「ありがとう!またいつか会おう!ありがとう!」と、大きく手を振りながら舞台をあとにした


「またいつか会おう!」と笑顔で手を振る大泉さんの背中に、惜しむような拍手が降ってくる。1960年に開館してから約65年。銀座の街で、映画とともに歩んできたこの劇場は、たくさんの“初日”や“再会”を迎えてきた。あのスクリーンで映画を観た記憶が、今でも脳裏に浮かぶ。閉館までの間に、スクリーンに映し出される数々の名作を、もう一度じっくり楽しみたい。

「さよなら丸の内TOEI」のキービジュアル【提供画像】


トーク中も話題にのぼった『室町無頼』が、「さよなら 丸の内TOEI」の特集上映でスクリーンに帰ってくる。上映は5月31日(土)18時50分〜、6月1日(日)16時30分〜、そして6月3日(火)18時50分〜の3回。この作品をここで観られる最後のチャンス!『室町無頼』の上映を含め、「さよなら 丸の内TOEI」では7月27日(日)までの期間中、数々の名作が日替わりで登場する。「丸の内TOEI」で映画を観られる時間も、もう残りわずか。あのとき心に残った一本も、まだ観たことのないあの作品も、気になるものがあるなら、最後にもう一度、スクリーンで楽しもう!

取材・文・撮影 = 北村康行

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