誰でも情報発信できるSNS時代…デジタルネイティブ世代が手にする“武器”は剣でもペンでもなかった!!【作者に聞く】
東京ウォーカー(全国版)
誰もがSNSを使って情報を発信できる時代となり、パソコンやタブレット、スマホ画面の向こう側には、世界中の人々の楽しそうな笑顔や充実した日々が絶えず流れている。その一方で、キラキラした世界とは無縁の、決して幸せとはいえない日々を送っている人たちもいる。この物語の主人公の圭多は、「幸せはいつもガラス一枚向こう側」と心でつぶやいていた。圭多は、毎日のように母親の恋人から虐待を受けていたのだ。

圭多は現実から目を背けるかのように、ストップモーションアニメの制作に没頭する。どこに配信するわけでもなく、ただひたすら制作をしているだけだったが、“小学生uTuber”として活躍する夏目の目に止まり、同じ感性を持った彼との出会いが、圭多の時計の針を少し動かすのだった。
本作『てのひらの世界で』を描いたのは、「ヘビーな感情のやりとりを描くのが得意です」と語る映生(@e_va_lontano)さん。過去作『呪いの少年とプリンセスになりたい少女』はSNSで5.4万を超えるいいねを獲得(2025年6月4日時点)、読者の心を強く揺さぶった。「昔からテンポのよさを褒めていただけることが多いです。意外かもしれませんが、ギャグやコメディも描けます」と話してくれた。
本作『てのひらの世界で』は「第1回コミック アース・スター漫画大賞」のネーム部門奨励賞と営業部賞をW受賞した傑作で、現在「コミック アース・スター」をはじめとする漫画配信サイトで配信されている話題作である。作者である映生さんに本作について聞いてみた。

――本作品『てのひらの世界で』のコンセプトや作品に込めた想いなどをお聞かせください。
「降りかかる理不尽な世界との対峙」でしょうか。子どもは守られるべき存在なのに、なぜ虐待という社会病理と対峙しないといけないんだ!と思うことが多々あります。でもさまざまな事情が重なって社会のしわ寄せが子どもへと押し寄せていきます。そういう家の子どもが本作の主人公・圭多です。
そのような子どもたちですが、デジタルネイティブ世代として文明の利器を使って、自分の力で世界を変えて勝ち取っていく様を描きたくて本作を手掛けました。ずっと描きたかった企画なのでやっと世に出せてうれしいです。手を変え品を変え、形を変えて足掛け7年目にしてようやく公開できました。機会をくださったすべての方には感謝の言葉もありません。

――「細かいところだけどここを見てほしい」というシーンはありますか?
本筋とは関係ないシーンなんですが、少年2人がアニメの作画談義をしているシーンです。「専門的すぎるので直してください」と言われるかと思ったのですが、まさかそのまま通って…。好きに描かせてくださって助かります。小学生が知っている知識とは到底思えませんが、サブスク世代なのでいろいろなアニメを見ているんです きっと!
――本作は映生さんの最新作ということでしょうか?新作のご予定は?
拙作は「第1回コミック アース・スター漫画大賞」で奨励賞をいただいた作品の読切版でして、現在は本作が最新作ですが、この記事が公開されるころにはもしかしたら最新作ではなくなっているかもしれません。実はほかにも掲載が決まっている作品がありまして…!映生としてどんどん作品発表していきたい所存ですので、応援よろしくお願いいたします。

「オレたちは世界とつながる術を持つ時代の子どもだ」。このセリフは夏目が圭多に向けて言った言葉だ。生まれたときからSNSが身近にあり、コミュニケーションツールや情報収集の手段として当然のように使いこなしているSNS世代の彼ら。夏目は「“これ”を使え」と圭多に言う。“ペンは剣よりも強し”という言葉があるが、デジタルネイティブな彼らが戦うときに手に持つのは剣でもペンでもなく、「これ」なのかもしれない。
取材協力:映生(@e_va_lontano)
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