レイザーラモンHGが語るブレイク後の苦悩と、収入ゼロの入院生活を支えてくれた妻の存在
東京ウォーカー(全国版)
満たされているはずなのに幸せを感じることができない男・おいでやす小田さん。さまざまな芸人に「幸せ」について聞きまくるYouTubeの人気企画が、
「幸せってなんですか? おいでやす小田と14人の芸人が本気で考えてみた」
のタイトルで待望の書籍化!
本記事はこちらの書籍から一部抜粋・編集してご紹介。今回はレイザーラモンHGさんとの対談から。大ブレイクしたあの時期の本音とは?

華やかな世界とは真逆のボロアパートで、悪夢を見ていた
小田:
ブレイクが2005年ですけど、その当時は苦悩が?
HG:
2005年の夏ぐらいにブレイクしたんやけど、その年の11月頃にプロレスデビューすんねん。「ハッスル」っていうプロレス。学生プロレスやってて、プロレスラーになりたい夢もあったから、そこが幸せ度100かも。
小田:
夢が叶ったってことですもんね。
HG:
デビュー戦が横浜アリーナで、2万人の前でメインイベント。ドバドバ脳汁出た。あれがMAX。芸人として、そしてプロレスラーとして舞台に立てたんやから。入場ゲートの袖にスタンバイして入場のテーマ曲が流れて、おれがリングに上がって「OK〜!」で、会場ボーン!その瞬間は「はぁああ!」ってなった。
小田:
はははは!
HG:
芸人とプロレスラー、2つの夢が同時に叶ったというか。
小田:
そこからが苦悩の日々?
HG:
もう大変。忙しい日々を過ごさせてもらって。すべての仕事を受けるわけやん。断る余地もなく。
小田:
今よりずっと忙しかったって言いますもんね。
HG:
移動時間しか寝る時間がなかった。引っ越しもまだできひんから。玉出の木造アパートから仕事通って。
小田:
いきなりブレイクしたから。
HG:
引っ越したのは2006年の春やもん。RGが2005年の秋ぐらいに東京行ってるから、東京と大阪を行ったり来たりしながら東京で何連泊もして、たまに玉出のボロアパート帰ったりするわけよ。
小田:
ほうほう。
HG:
ブレイクして、華やかな芸能界で名だたる人たちに会って。なのに、玉出のアパート帰るときは……「あぁあああ!」ってなったな。
小田:
ははは(笑)。
HG:
なんやろな、あの感情。忙しくてうれしい気持ちももちろんあるけど。
小田:
アパート帰ったらホッとする、とかじゃないんですか?
HG:
帰って寝てたら、サングラスが取れへん悪夢見たりとか。
小田:
もうパンク状態。
HG:
いきなり売れたからストックもないやん。ないのに求められる。給料も時間差で入るやん。今働いてる分が入ってくるのが3カ月後とかだったり。それもあったんちゃう?毎日寝る間も惜しんで働いて帰ってきて、給料明細見たら8万円。
小田:
あー。それは幸せではなかった?
HG:
悪夢見てたね。プロレスラーやってたから肉体的にもキツくて。ボブ・サップとかとやってたんやで。
小田:
そうか(笑)。
HG:
最初はコミック要素強かったから、キャラクターを活かしながら腰振り攻撃とか。でも、やっぱプロレスが好きやから、どんどんハマっていって。週2回の合同練習に参加したり。プロの人が教えてくれるから、練習もめっちゃ楽しくて。プロレスに出てた時期の後半は、ボケゼロの試合。腰なんて一切振らん。技もどんどん過激になっていって大怪我しちゃう。

大怪我で1年休養し、仕事はゼロに
HG:
2009年の7月、後楽園大会メインイベントでプロレス技のプランチャやって。飛びすぎて、相手も飛び越して、コンクリの上に左足だけで着地して、かかと粉砕。
小田:
楽しくてやりすぎたが故に。
HG:
それからが地獄。
小田:
いつまで地獄?
HG:
漫才始めるまでかな。2013年の「THE MANZAI」でファイナリストになれたんやけど、そこまではほんまに大変。まず、怪我で1年休んでる間は仕事ゼロ。2回手術して、半年ぐらい入院してた。
小田:
ベッドの上で何を思うんですか?
HG:
毎日泣いてた。
小田:
はははは!
HG:
情けない。そのとき、子どもが1歳で妻も働いてない。「終わった。どうしよ」って。
小田:
それは後悔の涙?あんなに飛ばなきゃよかった、みたいなことですか?
HG:
そんな具体的なんは思い浮かべへんよ(笑)。ただただ不安ってことやな。そこから奥さんが働いてくれるわけよ。
小田:
ほうほう。
HG:
「私がなんとかするわ」って。たくましい。
小田:
社長さんですよね?
HG:
今はもう社長。ゼロから社長になった。
小田:
エグいっすね。
HG:
石鹸をプロデュースするところからスタートして、今やマツエクサロン、トリートメントサロン……都内8店舗。大経営者ですよ。
小田:
はははは!成り上がってんな!
HG:
だから、ホンマにそこはめちゃくちゃ感謝してる。してるんやけど、劣等感もあるやん。おれも古い考えで「おれが働くから主婦しとけ」っていうスタンスやったし、奥さんも主婦になりたがってたし。それが逆転して、おれの収入はゼロで、奥さんはどんどん成功していく。このときもぐーってなったね。
小田:
あら。
HG:
「奥さんに食わせてもらってる」というヒモ状態が「セーイ!」って感じ。
小田:
はははは。そうかー。
HG:
で、退院して漫才始めて。以前は単発の仕事でギャラをもらってるわけやん。でも、やっぱ吉本って劇場の会社やから、劇場に出て漫才するとめっちゃ安定するやん。
小田:
そうですね。
HG:
それこそさ、2丁目劇場でデビューしてbase入ったときに、NON STYLEとかキングコングが出てきて、漫才で大活躍してた。それを見ながら、どこか悔しさがあったわけよ。
小田:
漫才に対する思いというか。
HG:
結局、それは憧れやったんやけど。おれたちは小道具使いまくってたんやけど、漫才一本で笑いを取るってことに実はめちゃめちゃ憧れてた。骨折して退院して漫才やって、それに気づいて。漫才の楽しさに目覚めた。そこからは今もずっと漫才をやってる。

おいでやす小田さんが「幸せ」を感じられる日は訪れるのか?今後の対談もお楽しみに!

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