新しくオープンした店に客が来ない理由は悪霊のせい!?不気味な霊能者が悪霊を“転職”させて万事解決！【作者に訊く】

オープン以来、1人もお客がやってこないクレープ店。その原因は「人を迷わせる悪霊」の仕業だった。それを見抜いた不気味な男は、悪霊に「イタズラをするなら――もっと面白いのがあるよ」と提案し……。

以前、矢薙さん( @yanaginga )がX(旧：Twitter)に投稿し、2.7万件を超える「いいね」を集めた創作漫画「悪霊を退治する人の話」。不穏な笑みを浮かべ霊を手なずける男による予想外な形での“悪霊退治”に「めちゃいい話」「適材適所」と多くの反響を呼んでいる作品だ。

同作は、Amazon Kindleインディーズマンガで公開中の無料電子書籍にも、シリーズ累計1万件以上の評価がつく人気のインディーズ漫画。今回は注目を集めた新エピソードの紹介とともに、作者の矢薙さんにアイデアのきっかけや作劇法について取材した。

退治せずに導く…「悪霊を活かす」不気味な霊能者

矢薙さんが描く独特な世界観と展開が人気のシリーズ、漫画「悪霊を退治する人の話」。
舞台は開店したばかりなのに客がまったく来ないというクレープ店。店の前まで来ているのに、誰もその存在に気づかないその原因は、“人を迷わせる悪霊”が店主に取り憑いていたことだった。この異常事態に気付いたのは1人の不気味な男。実は彼は霊能者であり、悪霊を封じる札を使って一件落着させる。客足も戻った…と思いきや、物語はここで終わらない。霊能者の男は、封印した悪霊に「イタズラをするならもっと面白い相手がいる」と持ちかける。ターゲットは盗みに向かおうとする強盗団。悪霊は彼らを道に迷わせたあげく、到着したのはなんと警察署。霊能者は“人を迷わせる力”を正しく使わせることで、悪霊の能力を社会の役に立たせたのだった。

矢薙さんによると、「シリーズの発端は、透明人間を題材にした作品のアイデアに遡る」という。その後、「悪霊をやっつけずに退治する」という独創的なシリーズとなった。ストーリーの作り方について聞くと「悪霊の能力から考える場合と、オチからの逆算で考える場合がある」と言い、「人を乗っ取る悪霊関連の話は前者にあたるので、比較的話が作りやすいです」と明かす。本作へのこだわりを聞いてみると、「後味の悪い終わり方にはならないように気を付けています」と語り「1話に1つは温かな気持ちになれるシーンを入れるようにしている」と意識している点を教えてくれた。

短編ながら濃密な構成と意外性のあるオチが魅力の本作。読むたびに“新たな悪霊の活かし方”に驚かされる。

取材協力：矢薙(@yanaginga)

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