三重県発、美味が集う食のテーマパーク「VISON」で発酵グルメ&バル巡りを満喫!
東京ウォーカー(全国版)
伊勢エビや松阪牛といった世界的なブランド食材に加え、多様な発酵文化も息づく三重県。近年は、食を通じてその土地の文化や歴史に触れる「ガストロノミーツーリズム」にも積極的に取り組んでおり、そんな豊かな食の魅力を体感できるのが、多気町にある複合リゾート施設「VISON(ヴィソン)」だ。東京ドーム約24個分という広大な敷地に、レストランやカフェ、マルシェ、宿泊施設、温浴施設など9エリアが点在し、敷地内でガストロノミーツーリズムが満喫できる。今回はその中から、今話題の発酵グルメと和洋の美食をレポート!

和食をテーマにしたエリア「和ヴィソン」で発酵ツーリズムを体験

VISONの中でもひと際目を引くのが、蔵をイメージした建物が立ち並ぶ「和ヴィソン」エリア。ここには、味噌や醤油、みりん、酢、出汁など、和食に欠かせない発酵調味料や食材の店が集まり、実際に蔵内で製造を行う店舗もあり、その様子を間近で見学できるのが大きな特徴だ。なかでも、発酵グルメと“オーダーメイドだし”が作れる店が話題となっている。
●林商店
最初に立ち寄ったのは、どっしりとした大樽が目を引く「林商店」。ここは、江戸時代から続く伝統製法で「伊勢たくあん」を守り続ける、知る人ぞ知る老舗漬物店だ。

伊勢たくあんに使われるのは、三重の伝統野菜「御薗大根(みそのだいこん)」。この大根を2週間ほど天日干しにし、ナスの葉やカキの皮、唐辛子などを混ぜた米ぬかに漬け込み、2年以上じっくりと発酵・熟成させるという。特徴的な黄金色はウコンによるもので、実際に食べると、パリッとした歯応えとともに香味が広がり、深い酸味が食欲を刺激する。“幻のたくあん”と呼ばれるのも納得の唯一無二の味わいで、お土産にも喜ばれること間違いなし。

食べ歩きグルメとして人気なのが、自家製のぬか床で漬けた「きゅうり棒」。氷で冷やしたみずみずしいきゅうりは、暑い日のクールダウンにもぴったりだ。

●美醂 VIRIN de ISE(びりん ビリン ドゥ イセ)

続いて訪れたのは、多気町の米を使ってみりん造りを行う「美醂 VIRIN de ISE」。蔵の中には醸造所があり、みりんの本場である愛知県・三河の伝統製法による仕込みの様子をガラス越しに見学できる。

ここで造られている「美醂」はVISON限定の特別なみりんで、料理にはもちろん、ヨーグルトやアイスにかけたり、お酒としてそのまま飲むことも。さっそく試飲させてもらうと、上品な甘さと飲みやすさにびっくり!口当たりも驚くほどまろやかで、まるでデザートワインのような芳醇な味わいが広がる。みりん=調味料というイメージが一気に覆されると同時に、発酵の奥深さをあらためて実感した。

●MIKURA Vinegary(ミクラヴィネガリー)
みりん同様、“仕込みの現場”を見学できると聞いて訪れたのが「MIKURA Vinegary」。本店は三重県・御浜町(みはまちょう)にあり、昔ながらの木桶仕込みの酢造りを守り続けている。VISON内の「多気蔵」には杉造りの醗酵室があり、酢の醗酵工程をガラス越しに見学できる。

代表的なお酢は、酒粕赤酢「朱音(あかね)」、酒粕白酢「月下(げっか)」、玄米黒酢「玄(しずか)」の3種類。このほか、果汁をブレンドした酢や寿司酢、ドレッシングなど多彩なラインナップで、店内に並ぶすべての酢をテイスティングできるのもうれしいポイントだ。まずは基本の3種類から試してみると、どれも酸味が優しくてまろやか。それでいて、風味やコクにしっかり個性があり、気づけば夢中で味見を繰り返すことに。その甲斐あって、とっておきのお酢に出合えて大満足のテイスティング体験となった。

お酢を使ったテイクアウトグルメの中で、絶対に外せないのがVISON限定の「朱音(あかね)のソフトクリーム」。赤酢の「朱音」を練り込んだソフトクリームは、ヨーグルトのような味わいで、さわやかな酸味と甘さのバランスが絶妙!さらに“追い酢”ができるのもユニークで、朱音のほか、青梅酢やブルーベリー酢で味変も楽しめて、お酢とスイーツの意外なマッチングに沼ってしまった。

●無添加商店 尾粂(おくめ) 三重VISON店

最後に立ち寄ったのは、東海エリア初出店となる「尾粂(おくめ)」。1871年(明治4年)に東京・日本橋市場で創業した無添加食品の専門店で、店内には国産素材にこだわった調味料や乾物が並ぶ。ロングセラーはオリジナルの「だしパック」で、特に「三重だし」は郷土らしさ満点で、自宅用とお土産用にまとめ買いする人が多い人気商品だ。

そしてこの店の最大の魅力は、日本初の“オーダーメイドだし”が作れること。店頭にずらりと並んだ24種類の素材から、好きな組み合わせを自由に選び、オーダー表に記入。スタッフに渡すと、目の前で素材を配合→粉砕→充填し、「〇〇家のだし」と名前入りのラベルを貼って仕上げてくれる。

素材選びに悩んでいたら、スタッフに声をかけられ、料理の用途を伝えると、最適なブレンドを提案してくれた。おかげで、世界にひとつだけのだしパックが完成!“わが家の味”を作る特別な体験になった。

スペインの人気レストランが軒を連ねる「サンセバスチャン通り」でバルホッピング!

発酵の奥深さに触れたあとは、少し気分を変えてスペインへショートトリップ。VISONがある三重県・多気町は、世界一の美食の街として名高いスペイン・サンセバスチャン市と、2017年に「美食を通じた友好の証」を締結。その縁でVISONに誕生したのが「サンセバスチャン通り」だ。通りには、スペイン・バスク地方の人気レストランが軒を連ね、いずれも海外初出店。昼から飲める陽気なバルストリートで、本場さながらのバルホッピングをスタート!

●ARATZ(アラッツ)
最初に立ち寄ったのは、サンセバスチャン市長おすすめの「ARATZ」。ピンチョスや魚料理、肉料理、パエリア、デザートまで、バスクの伝統的な郷土料理がひと通り楽しめる本格派だ。

店のイチオシは、VISONでしか味わえない「松阪牛のステーキ」。三重が誇る松阪牛を、バスク伝統の炭火焼で香ばしく焼き上げ、シンプルに塩だけで味わうという技と素材を極めた一皿だ。肉の火入れも絶妙で、きめが細かい肉質と脂身の甘味を余すことなく堪能した。

アラカルトのほかにコース料理(8000円~)もあり、バスクの美食をじっくり堪能したい人にもおすすめの一軒だ。

●Zazpi(サスピ)
次に訪れた「Zazpi」は、世界ピンチョス大会でチャンピオンに輝いたシェフが手がけるモダンバスク料理の店。カウンターにずらりと並ぶ創作ピンチョスは、フレンチの盛り付けや調理法を巧みに取り入れていて、見た目も華やか。ワインやクラフトビールを片手に、食べ比べるのもこの店ならではの楽しみ方だ。

●Casa Urola(カサウロラ)
バルホッピングのラストを飾るのは、同じくピンチョス世界大会で優勝経験を持つ「Casa Urola」。本店はサンセバスチャンで“行列ができるバル”として知られ、そんな名店の味が日本にいながら体験できるのはかなり貴重だ。

お目当てはもちろん、世界一に輝いたピンチョス「カルメリータ」。カリッと揚げたバゲットに、エビ、ゆで玉子、アンチョビ、そしてマヨネーズベースのソースが美しく重ねられ、“さすが世界一”と思わず唸る完璧なハーモニーが楽しめる。
現在VISONでは、三重の発酵食材と冷やし麺をテーマにした「発酵冷やし麺」を楽しめる「夏!発酵涼麺スタンプラリー」を開催中。8月31日(日)までの期間限定イベントなのでお見逃しなく!
取材・文・撮影=田辺千菊(Choki!)
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※20歳未満の者の飲酒は法律で禁じられています。
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