終戦後、「丸坊主になって」満州から帰国した親戚のお姉さん… その理由に涙しかない【作者に聞いた】

ライブドアブログ「ゆっぺのゆる漫画ブログ」やInstagram(@yuppe2)でエッセイ漫画を描くゆっぺさん。2021年12月から執筆した『親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話』は完結後、電子書籍が発売。「人生で一番大切なことが描いてある漫画」など感動の声が続出している。

今回は、本作のモデルでありゆっぺさんの実の祖母・キヨさんと、作者のゆっぺさんに戦争について話を聞いた。

「日本は勝っている」戦時中に行われていた教育とは？

本作は、ゆっぺさんの祖母・キヨさんの幼少期からの実話が描かれている。父の死後、幼くして養女となり、養母から容赦ないいじめを受けるキヨ。そんななか、戦争が始まり、彼女はますます追い込まれていく。

キヨさんから聞いた戦時中の話で特に印象的だったことをゆっぺさんは、「学校の先生から『日本は勝っている』と聞かされ続け、子どもたちは本気で信じていました。大人も子どもも、『お国のために死ぬことはいいこと』だと洗脳されていた」と語る。また、「戦争終盤には食べ物がまったくなくなり、仕方なく芋の皮を食べていた。とにかく毎日お腹が空いていて、当時はお腹いっぱい食べることが夢だった」とも。なかには、ムカデを食べて飢えをしのいだ知人もいたようだ…。衝撃の食料事情を明かした。

「皆に伝えたい」満州からの帰還と戦争体験者の使命

漫画には盛り込めなかったが、「これは皆に伝えたい」というエピソードがあるという。親戚のお姉さんが満州から帰国したときのことだ。「髪の毛を男の人のように丸坊主にして帰ってきたそうで、街をうろつくソ連兵に強姦されないように男性のふりをしていたのだとか。『あんなにきれいだった姉さんが、見る影もないほど別人になっていて驚いた。よほど怖い思いをしたのだろう』と話す祖母が印象的だった」と、その壮絶な体験を伝えた。

戦争を経験したキヨさんから読者へのメッセージは、「絶対に戦争はしてはいけません。勝っても負けてもどっちの国も犠牲者が出ます。どんな理由があっても、戦争を正当化してはならないと思っています」と、平和への強い願いを語った。

取材協力・画像提供：ゆっぺ(@yuppe2)