いよいよ7月4日公開!映画『この夏の星を見る』桜田ひよりの“想像を超える眼力”が輝く、コロナ禍下の青春物語

東京ウォーカー(全国版)

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コロナ禍の最中にあった2020年、中学生・高校生たちが自ら天体観測競技「オンラインスターキャッチコンテスト」を主催し、挑戦する姿を描く青春映画『この夏の星を見る』(2025年7月4日(金)全国公開)。

映画『この夏の星を見る』7月4日全国公開


辻村深月さんの同名小説を原作に、山元環監督が自身初となる長編商業映画のメガホンをとった。主人公の溪本亜紗を演じる主演・桜田ひよりさんを筆頭に、水沢林太郎さん、黒川想矢さん、中野有紗さん、早瀬憩さん、星乃あんなさん、河村花さんら若手の実力派キャストが結集。脚本・森野マッシュさん、音楽は映画『ルックバック』の音楽を担当したharuka nakamuraさんと、スタッフも新進気鋭のクリエイターがそろう。公開直前の今、本作の総合プロデューサー松井俊之さんが語る舞台裏とともに、見どころを紹介したい。

臨場感とリアルさを追求した星空が生まれるまで


本作の見どころ


【松井俊之】役者による演技やセリフ、競技性の身体表現、茨城、東京、五島の彩りある各地の空気感や星空、音響、音楽、色彩。すべてのスタッフ、キャストによる総合的表現で描いた劇場用作品に仕上がったと感じています。


「全編マスクをしたままの作品を作りきれるか?」という課題がありましたが、監督の演出、俳優陣のキャラクター造形の解像度を高めた演技表現、反射神経や運動神経も使った望遠鏡競技のワクワク感を高める身体的表現などで乗り越えられました。多くの登場人物キャラクターたちの中に感情移入できる推しを探してみてください。

また、各地で鳴く蝉の声の違いにこだわって収音しに出かけたり、星空以外にも茨城、東京、長崎・五島の景色、環境の違いに合わせたカラーグレーディングを行なっていたりと、細部に至るまでこだわりが表現されています。

音楽は「ルックバック」のharuka nakamuraさんがsuis fromヨルシカさんの唄う挿入歌や主題歌、そして全編を通じて茨城、東京、五島、全国へと繋がっていく世界観を見事に構築してくださいました。

「星空」へのこだわり


【松井俊之】星をスクリーン上でリアルに描くことはとても難解なのですが、天体監修やナイトカメラマン、VFXチーム、カラーグレーディングチームなど、プロフェッショナルな方々の協力を経て、茨城、東京、長崎・五島の星空を時間と手間を惜しまず再現しました。星をCGで作ることはせず、実際にその地方の星空と同じ位置になる場所までナイトカメラマンが出向いて撮影した星を、本編にVFXチームやカラーグレーディングチームが合成し光の瞬きや数や大きさを1カットごとに調整するなどして画面を作りました。


「スターキャッチコンテスト」のシーン


【松井俊之】「スターキャッチコンテスト」は夜空の星がどの位置にあるかという“星の地図”を頭に入れておき、お題が出たらその星がどこにあるかを素早く判断し望遠鏡で探して、特定の星にフォーカスを合わせるまでのスピードを競う競技です。「望遠鏡で星を見る」という主観でしか表現できない部分をどうお客さんにわかりやすく、ハラハラドキドキできるように映像化するかが課題でした。監督はそこにスマホというツールを使い誰もが想像できる、わかりやすい演出アイデアを発明してくれました。さらに、演じる役者さんたちにも競技性のスピード感や息を合わせるなどの身体性を求めたことで、まるでスポーツ映画を観ているような感覚の競技シーンが出来上がったと思います。

東京・茨城・五島での撮影中のエピソード


【松井俊之】酷暑、猛暑の毎日で、昼間に夜のシーンに見立てて撮るデイフォーナイト、という特殊な撮影技法を採用したので、とにかく夜のシーンの多い本作では、陽の光が変わると繋がらなくなるので常に時間と暑さとの闘いでした。

撮影は、役者さんのまだ入っていない桜の季節からテスト撮影を兼ねて始め、9月1日に長崎県の五島列島でクランクインしました。春夏秋冬の時間経過が出てくるので、役者さんたちは、残暑厳しい猛暑日や真夏日に、マフラーを巻いたり、コートを着て撮影する日などもありました。

長崎、茨城、東京と、どこへ行っても陽の光と暑さ、逆に撮影終盤は寒さとの闘いもあり、撮影スタッフもキャストも皆、天気と気温と自分との闘いに明け暮れていた印象です。

主演の桜田ひよりさんの演技について


【松井俊之】桜田さんは完璧な準備をしてからいつも現場に臨んでくださり、主演としての安心感、安定感のある俳優さんという印象でした。印象的だったのは、桜田さんが茨城の学校で雨の中を激走するシーンの撮影です。暑い日の昼間に何度も全力で走り込んで頑張っていただきました。続く夜の撮影で、気温が急激に下がり、スタッフ皆で、桜田さんのコンディションを気遣い、見守りながら、長時間におよぶ厳しい撮影状況を過ごすことになりました。寒暖差の中で疲労はピークのはずでしたが、岡部たかしさんとの重要なシーンを集中力を切らさず素晴らしいパフォーマンスを発揮し続けて、とても印象的なカットが撮れました。

彼女の集中力と瞬発力、そして弛まぬ準備と努力を積み上げながら芝居に向き合う安定感、主役として周りの皆に与える安心感、皆が引き込まれていくような引力をもった素質は、まさしく太陽のような亜紗の存在そのものです。

桜田さんの瞳の中に輝く眼光と眼力は本作にはとても重要で、彼女がそれらを発動する重要シーンでは想像を超えてきて、マスクのままでこんなに表現豊かにできるならいける!と確信を持ちました。辻村深月先生も「桜田さんの瞳の中には星がある」とおっしゃってくださるくらい桜田さんのパフォーマンスは素晴らしいものでした。

これから映画を見るみなさまにむけて


【松井俊之】コロナ禍を経験したすべて人にご覧いただきたいです。

原作者の辻村深月さんがこのタイトルに込めた「この夏」という言葉には、どんな環境下においても「いまを生きる」ことの大切さ、その時間は尊く誰にも奪うことはできない、という意味も込められていると思います。本作は、「この夏」を生き抜いた学生たちだけではなく、彼らを見守った大人たちの物語でもあります。2020年、あのときを生きたすべての人たちを当事者世代と考え、今日の自分に繋がる時間の意味を考える機会となるように、それぞれの目線から作品を楽しんでいただきたいです。

世代や立場が違っても、登場人物と重なるように星空に引き込まれる作品

結びに、本作の試写会に参加した記者が伝えたい感想をつづった。

望遠鏡で天体を観測することに、きっと観客の誰しもが興味を持っているわけではないだろう。それは登場人物も同様で、最初から全員が星空に目を向けていたわけではない。茨城の高校生・溪本亜紗(桜田ひより)は宇宙飛行士の花井うみか(堀田茜)に憧れ、同級生の飯塚凛久(水沢林太郎)はナスミス式望遠鏡を作りたいと、それぞれ強い目的を持っている。だが、東京・渋谷のキーパーソンである安藤真宙(黒川想矢)はサッカー少年で、進学した中学校で男子の新入生は自分1人きり、部活でサッカーを続ける選択肢がないという状況に悶々としていた。長崎・五島列島の佐々野円華(中野有紗)は実家が島外からの来訪者の多い旅館という環境から、吹奏楽部の活動に参加することに引け目を感じ、幼馴染の福田小春(早瀬憩)ともぎくしゃくしてしまう。

茨城・東京・五島列島の三つの土地では、本来交わることのない中学生・高校生たちの閉じた世界の物語が別々に描かれる。メインキャストのほとんどがコロナ禍当時に10代で、それぞれが“コロナ禍の学校時代”を体験していることもあるのだろう、10代の抱える悩みや戸惑い、言葉にしきれない心情が俳優陣による声色や表情、仕草で表現されていることで、まずコロナ禍の青春として観客を引き込んでいく。茨城の郊外、人気のまばらとなった見慣れない東京、コロナ禍にあっても変わらずに美しい海と緑をたたえる五島のコントラストが、登場人物のバラバラさを代弁するかのように印象的だ。

そして、天体観測のことを知らなかった凛久の連絡がきっかけで、三つの舞台がリモートで繋がり、オンラインスターキャッチコンテストに向けて熱量が高まっていく。星空をよく知らない観客にとっては凛久や円華が、もともと興味を持っている人間にとっては亜紗や凛久、あるいは凛久を理科部に誘った中井天音(星乃あんな)や、天文部部長の山崎晴菜(河村花)が、そしてコロナ禍当時に既に大人だった者には、子どもたちを見守る綿引邦弘(岡部たかし)ら周囲の大人たちが自身と重なるだろう。

“コロナ禍”で本来関わることのなかった登場人物たちが交わるように、観客も“コロナ禍”という共通言語で星を追う2020年の青春に没入していく。“コロナ禍を描いた映画”としてではなく、“コロナ禍を知っている人なら誰しもが入っていける星空の物語”として作られているように感じられる。そんな本作だからこそ、まるでお祭りのようにみずみずしいスターキャッチの演技と、異なる色彩の星空の場面は、きっと胸に響くはずだ。

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