韓国で観客動員数100万人突破の大ヒット映画『秘顔-ひがん-』を鑑賞。激しい情愛に溺れる男女3人を描いたR18指定のスリラームービー!
東京ウォーカー(全国版)
2025年6月20日より全国公開された『秘顔-ひがん-』。本作は、消えたはずの婚約者が鏡の中から“秘密”を覗き見する密室サスペンスを描いている。公開前に試写で観た本作の感想を紹介(以下、ネタバレを含みます)。

【ストーリー】
婚約者が消えた。残された手がかりは、「あなたと過ごせて幸せだった」というビデオメッセージだけ。
将来有望な指揮者ソンジン(ソン・スンホン)は、オーケストラのチェリストでもある婚約者スヨン(チョ・ヨジョン)の失踪に動揺していた。
喪失感に苦しむ中、ソンジンは公演のためにチェリスト代理のミジュ(パク・ジヒョン)と対面する。スヨンの代わりはいないと考えていたソンジンだったが、言葉にしがたいミジュの魅力にたちまち惹かれていった。
大雨の夜、ソンジンとミジュは、スヨンのいない寝室で許されない過ちを犯す。しかし、欲望のままに求め合う2人を失踪したはずのスヨンがすぐ<そこ>で覗いていた…。

名優2人と新鋭俳優が圧倒的演技力で紡ぐ予測不能なストーリーにハラハラさせられる!
本作のメガホンをとったのは、『情愛中毒』(2014年)のキム・デウ監督。『情愛中毒』は、ベトナム戦争末期の1969年を舞台に、軍人としてエリートの道を突き進むキム・ジンピョン大佐と、その部下ウジンの妻チョン・ガフンの禁じられたラブストーリーを描いて話題となった。
『情愛中毒』で主人公のキム・ジンピョン大佐を演じたソン・スンホンが、キム・デウ監督と再びタッグを組んだ本作。『情愛中毒』では自身初の大胆なベッドシーンに挑んで話題を呼んだソン・スンホンだが、本作でも濃厚なラブシーンで大人の色気を爆発させている。
ソン・スンホンが演じるのは、主人公の指揮者・ソンジン。婚約者の失踪に喪失感をおぼえながらもチェリストのミジュに惹かれ、やがて秘められた欲望をあらわにする役どころで新たな魅力を開花させた。

婚約者のスヨンを演じたのは、映画『パラサイト 半地下の家族』(2019年)で大豪邸に暮らす社長夫人役で全米映画俳優組合賞のアンサンブル賞に輝いたチョ・ヨジョン。彼女がキム・デウ監督とタッグを組むのは『春香秘伝 The Servant』と『情愛中毒』に続き今回で3回目。『情愛中毒』以来10年ぶりのソン・スンホンとの共演も話題となった。
本作の冒頭でスヨンは失踪してしまうが、実はどこにも行っておらずソンジンのすぐ側にいる。セレブのお嬢さんが脱出不可能な場所に監禁されてしまったあとの描写がとてもおもしろく、『パラサイト 半地下の家族』とはまた違った振り切ったチョ・ヨジョンの演技にも注目してもらいたい。

ソンジンが次第に惹かれていくチェリストのミジュを演じるのは、映画『コンジアム』(2018年)、ドラマ『財閥家の末息子 ~Reborn Rich』(2022年)、『財閥 x 刑事』(2024年)などで人気女優の仲間入りを果たしたパク・ジヒョン。失踪したスヨンの代役としてオーケストラの チェリストとして参加したことがきっかけで、ソンジンと許されない関係に溺れていくミジュの複雑な感情を見事に体現している。

スヨンの監禁が発覚したあとの3人のキャラクター描写に引き込まれる
将来有望な指揮者ソンジンは、ベルリンでスヨンと出会って恋に落ち、婿入りを決めてソウルに戻ってきたばかり。大切な公演が間近に迫り、結婚も控えていたところでスヨンが失踪してしまう。
公演のリハーサルを進めるためにスヨンの代理のチェリストを探すことになったソンジンは、面接で「シューベルトが一番好き。とても悲しくて、自分の悲しみを忘れられるから」と発言したミジュをスヨンの代理に決めることに。
ある日、ミジュとディナーを共にしたソンジンは、スヨンのいない自宅へとミジュを招く。そして2人は欲望のままに許されない過ちを犯す。ところが、激しく求め合う2人をすぐ“そこ”から覗いていたのは失踪したはずのスヨンで、彼女が自宅の密室に監禁されていたことが発覚してから怒涛の展開がスタートする。
誰がなんの目的でスヨンを監禁したのかを書くとネタバレになってしまうので詳細な説明は避けるが、映画が始まってからわりと早い段階でその経緯は明かされる。
そのあとソンジンとスヨンの過去、ミステリアスなミジュの秘密など3人のキャラクターが丁寧に描かれ、物語にぐいぐいと引き込まれていく。すべてのパートがおもしろく、見応えたっぷりなところが本作の魅力と言える。
たとえば、ソンジンはスヨンの母親が娘に買った豪邸に住んでいて、彼が貧しい家の育ちであることからスヨンの母親はソンジンを常に見下している。そんなソンジンを不憫に思ったが、婚約者が失踪しているというのに浮気をするようなふてぶてしさがあり(笑)、彼のキャラクターから“情けなさ”“欲深さ”“したたかさ”などの奥行きが感じられて楽しかった。

個人的に好きだったのはスヨンのキャラクター。超セレブで欲しいものはなんでも手に入れてきたタイプのお嬢様だが、そんな彼女が密室での監禁状態に陥ったあと、乾パンのような非常食を食べたり、あの手この手で脱出を試みる逞しい姿がとてもユーモラスで、笑っていいシーンではないかもしれないが、自然とクスクスと笑いが込み上げた。
ミジュについては、ぜひ本作を鑑賞して彼女の秘密を確認してもらいたい。演じたパク・ジヒョンは本作で初めて知ったが、繊細さを持ちながらも大胆な行動も取るミジュを魅力的に演じていて、これを機にもっと彼女の出演作をチェックしたくなった。
誰も予想のつかないラストシーンが待っている本作。ぜひ劇場で鑑賞してもらいたい。


文=奥村百恵
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