ナイチンゲールダンス・ヤスのコラム連載!「おめでとう」と言うのに気を遣う「おめでとう恐怖症」の心理とは?
東京ウォーカー(全国版)

神保町よしもと漫才劇場に所属し、「M-1グランプリ2023」では準決勝進出&敗者復活戦3位という結果で注目を浴びたお笑いコンビ・ナイチンゲールダンスのヤスさん。“尖り芸人”と呼ばれた過去もあるが、その素顔は「真っすぐで熱い男」だ。そんな彼が日々感じたことを書き綴る連載「ヤスのコラム」。第16回では、おめでとうと伝えるのに気を遣う心理について語る。

第16回「おめでとうって言うの気を遣う時ない?」
ヤスです。
最近周りが結婚やらおめでたいニュースで溢れています。芸人って実は全員結婚してるんじゃないの?とざわつくTLのお笑いファンへ。おめでとうございます、芸人ってびっくりするくらい結婚してません。
こういう「おめでとう」は簡単に言えるんですけどね、表題に戻ります。
ただ今回は僕が少数派そうすぎてかなり書くか迷ったんですが、目を閉じてえいやっと食用コオロギ食べてみる気持ちで文字を綴ってみます。

この現象になんと名前をつけるべきか、「おめでとう恐怖症」と言わせていただきます。
たとえばそれこそ誰かが結婚をSNS等で発表してその次の日職場で会うってなった時に、おめでとうを言うのに気を遣うという現象です。本当に書いていてこれ頭おかしいんじゃないのか?と思うんですが、事実あるのです。
ちなみに悔しいとかそんな気持ちは微塵もありません、僕は結婚願望がリヴァイ兵長くらい無いので。じゃあなんでおめでとう恐怖症が発症するのか。
多分散々おめでとうって言われててもうしんどいだろうなと勝手に見定めるからです。なんなんですかねこの気持ち。
もちろんおめでとうと思ってるんですけど、その人が大勢の人がいる場所にきて第一声「おー!おめでとう!」とか「出た!既婚者!」とかを我先に言えるやつの気が知れないんですよね。

でもそいつのことは全然悪いやつだと思ってないですし、むしろこういうやつのほうが大きな声で白い歯見せながらよく笑う男女の垣根あまり無いボーダーレス系の女の子とすいすい付き合ってオリジナリティ溢れる結婚発表写真を各SNSで公開できると思っています。
僕は本当にこれができなくて、たとえば結婚発表したやつがみんなからおめでとう言われそうな場所に来たら「あぁ!これはまずいですぞ!」と誰もいないとこに逃げてしまいます。別にてめえが祝われるわけでもないのに。
なんでなんだろう、挨拶とかもそうなんですけど全員がその人に挨拶に行くノリの時あるじゃないですか?あの時に周りと同じ顔して同じ声発するのもなんか苦手で、若手の時はそれで挨拶ないやつと思われたりもしました(ただ大概は「こいつにはまあいいか」と思ってしなかったやつが騒いでただけですが。今そいつらは全員消えました。ばいちゃ)。

多分これって自分が祝われるの苦手だからだと思います。
詳しく言うと今このドア開けたら大人数が俺のことを祝福するんだろうな、みたいな雰囲気が苦手なんです。祝われそう祝われそう、はい祝われたー!で祝われるのがなんかだるくって。だから他人が祝われてるのを勝手に自分に重ねて、あんま真正面から祝ってもあいつ気遣うだろうなと思ってしまうのだと思います。
だから結局そいつがある程度その場で祝われ終わった後、ふと風が気持ちいい丘に1人で涼みに来た時そこに一本だけ生えているオリーブの木に僕は腰掛けていて
「おいエレン、死ねねえ理由がまた増えたな…」
とか言う祝い方しかできないんですよね。

本当どうせ主人公抑えて人気投票1位になるセリフしか言えないのがつらいです。結局一番お金落とすコンテンツになる自分が苦しい。
もし僕と同じ「おめでとう恐怖症」の方がいるなら周りがおめでとう言ってる時はすっと引いても全然いいです。そしてひと段落ついた相手にそっと自分なりのおめでとうを言いましょう。
その時のマインドは「はあ、どうせ刺さるんだろうなあ」です。
実は僕が一番おめでたいのかもしれないですね。

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