チャンピオンシップで伝えたこと、気づいたこと。スターバックス史上初のバリスタ世界大会・日本代表二人の思い
東京ウォーカー(全国版)
2025年6月にアメリカ・ラスベガスで開催された、スターバックス初のバリスタ世界大会「スターバックス グローバルバリスタチャンピオンシップ2025」。初代チャンピオンとなったのは、札幌市内のスターバックスのストアマネージャー(店長)・下出伸喜さん。3位には、スターバックス リザーブ(R) ロースタリー 東京(以下、ロースタリー 東京)のマニュファクチュアリングチーム(豆の管理や焙煎を担うチーム)に所属する菅原孝宏さんが入賞した。大会を終えたばかりのふたりに、率直な思いを聞いた。

大会を通して、エネルギーの原点を再認識。下出伸喜さん

――初代チャンピオンおめでとうございます!「この大会への出場は、これまでのバリスタとしての答え合わせ」だと試合前にコメントされていましたが、どんな答えが見つかりましたか?
バリスタは、自分にとってのおいしいコーヒーを探す旅。おいしいコーヒーは、味だけじゃない。どれだけおいしいコーヒーを抽出しても、温かなつながりがあるコーヒーとは比べ物になりません。そこに一言、言葉を添えることで「その人から入れてもらったコーヒー」に変わるんですよね。温かなつながりがコーヒーをいちばんおいしくするんだということを、チャンピオンになったことで証明できたかなと思います。
――評価されたのはどの点だと思いますか?
「warm aftertaste(温かな余韻)」というコンセプトがいちばん評価されたのではないかなと思います。それが、最後のスタンディングオベーションになったのかな。お店を出たあとに、何かよかったな…という余韻があるとまた戻ってきてくれる。それが僕たちに必要なんじゃないかなって。ファイナルで話した、学生時代に勉強に疲れていた僕に母が入れてくれたコーヒーは香りと味は微妙だったんですけど(笑)、頑張ったねってあの時かけてもらった言葉がすごくよかったし、なぜだかおいしく感じる。それが一番伝えたかったんです。準備で一番大変だったのは、英語での原稿作りです。どのような言い方にしたらアメリカの人たちの心に響くのか、通訳の人に相談しながら作り上げていきました。
――余韻は、シグネチャードリンクでも存分に表現されていましたね。
ブロンドのトリプルリストレットエスプレッソにシトラス果肉をソース状にしたものを加え、トップにはゆずはちみつ風味のムースフォームをのせて仕上げに桜パウダーを振りかけていました。
コーヒーを引き立てるものとしてユズのイメージが沸いたので、ユズの余韻が長く続くようなコーヒー豆としてブロンドの浅煎りの豆をチョイスしました。でも3ショット入っているので、さわやかで親しみやすいけれどエスプレッソを飲んだ時のような力強さが残っているようなイメージです。桜パウダーは少ししょっぱい分、飲むとユズの風味と甘みが引き立って、混ぜることでさらに甘味が引き立つ。「Back to Starbucks」(米国スターバックスの会長兼CEOブライアン・ニコルが掲げる原点回帰のビジョン)に合わせて、日本らしさと、新しい出発をイメージするのに桜パウダーがピッタリだと思いました。

――逆に、課題に感じた点はありましたか?
課題というか…、セミファイナルが終わったあとに、ファイナルを頑張る理由がわからなくなった瞬間がありました。セミファイナルは勝ち上がることだけ全集中して臨んでいたので、いざ勝ち進むと、「結局何のためにこの大会に出たんだっけ」と見失ってしまったんです。でも、振り返ってみると、いちばんは、自分がバリスタとして目の前のお客さんに笑顔になってもらいたいだけだなと。「のぶくん、がんばって、君ならできる」「世界一になった人のセミナー受けたい」って、お客様にお手紙をいただくんです。僕のコーヒーセミナーをいつも受けに来てくれる年配のお客様がいるのですが、優勝したら喜んでくれるだろうなと思って。意外とそこが、僕のエネルギーの原点でした。
――グローバルチャンピオンとして、今後何をしていきたいと思っていますか?
日本のエッセンスを、世界に伝えられたらいいなと思っています。
両手でドリンクを提供するのは、日本ではみんな自然とやっていますし、一つひとつのドリンクを丁寧に入れています。一言を添える、お客様に商品をお渡しする際のコネクションもそうですよね。グローバルの代表としてはもちろんですが、日本の代表として日本が大切にしていることを広められたら。それがグローバルに伝わって、世界のスターバックスを変えていけたらいいなと思います。
チームと共に、成長を止めない。菅原孝宏さん

――3位入賞、おめでとうございます!大会を終えて、何を感じていますか?
率直に、うれしいです。敵同士で戦うというより身内で楽しんでいる雰囲気があり、今日のファイナルも観客は多かったけれど、とても温かな雰囲気でした。
東京ロースタリー マイクロ ブレンドをすべての競技で使いましたが、その豆を開発した人が審査員でした。彼にテイスティングしてもらい、アレンジドリンクとしてもお出しできるのは、コーヒーを作る立場としてはとても貴重な機会でした。
――通常店のストアマネージャー(店長)を経て、現在はマニュファクチュアリングチームに勤務されていますが、練習は大変ではなかったですか?
バリスタから異動して2年半たっていたこと、さらにロースタリーのエスプレッソマシンは通常店とは違いマニュアルです。この大会に向けて初めて扱ったので、本当に大変でした。
――セミファイナルのストアラッシュではマシンの不調に見舞われながらも、落ち着いて何度も抽出し直しましたが、10杯目は惜しくも制限時間に間に合いませんでしたね。
グラインダーの調子が悪く、湯がスムーズに流れませんでした。1項目落とすとスコアが一気に下がるので葛藤もありましたが、それは日本らしくないなと思い、最終的には落としてもいいからよいものを作ろう!と。あれで自分はファイナルには残れないと思っていました。
――タイムアップ後も最後の一杯を丁寧に提供する姿が印象的で、菅原さんらしさを感じました。
何も考えずに出していました(笑)。
――普段の積み重ねが自然な所作につながったのでしょうね。
世界のスターバックスの中でも日本はサービスがいいとよく言っていただけるので、僕たちの当たり前にできていることを見てもらって、マネしたいなって思ってもらえたらいいなっていうところから考えて、所作なども意識しました。
――「チームの力で変化を起こせる」ことを発信したいと、大会前におっしゃっていますね。
大会に出場するいちばんのきっかけは、下出君が出場した「アジアパシフィック・リージョナル・バリスタチャンピオンシップ」を現地で見たこと。輝いている彼の姿はもちろんですが、チームで勝ちにいく姿を見て。自分もチームを大事にしているので、そういう形なら自分も輝けるものがあるんじゃないかなって触発されたんですよね。

――それは、シグネチャードリンクにも表れていましたね。
ロースタリー 東京にはティバーナがあるので加賀棒ほうじ茶のことを聞けますし、アリビアーモのバーテンダーにも意見をもらえます。ストーリーテリングが上手な人もいますし、コーチはラテアートのチャンピオン。身近にいる、ありとあらゆる強みのある方に協力いただきました。
今の部門で働いていると豆の貴重性を感じていますが、お客様の反応をリアルには見られません。でもこの期間でそれを鮮明に描けるようになりました。だから、これからは自分の立場からバリスタに伝えられることが増えていくのではないかなと思います。
人と人とのつながりや日々の積み重ねが実を結んだ世界大会。 二人の言葉からは、“誰かのために入れる一杯”への真摯な思いがあふれていた。それこそがスターバックスのバリスタとしての原点なのかもしれない。
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