「子どもの幸せな未来こそ国益」竹野内豊主演『雪風 YUKIKAZE』特別試写会で語られた平和への願い
東京ウォーカー(全国版)
2025年7月26日、ニッポン放送で開催された映画『雪風 YUKIKAZE』特別試写会に田中麗奈さんと小滝祥平プロデューサーが登壇した。2025年8月15日(金)に公開を控えた本作のトークショーでは、制作の舞台裏や役作りへの想いなど、貴重な話が次々と明かされた。

映画『雪風 YUKIKAZE』とは
太平洋戦争中、数々の激戦を最前線で戦い抜いた駆逐艦「雪風」。主力である甲型駆逐艦38隻のうち、ほぼ無傷で終戦を迎えたのは「雪風」ただ1艦のみ。戦場で沈没した僚艦から多くの仲間を救い出し、戦後は復員輸送船として約1万3000名もの日本人を本土へ送り届けた―。

本作は、この知られざる史実を背景に、「生きて帰り、生きて還す」という使命に生きた人々の姿を描く感動巨編。艦長・寺澤一利役に竹野内豊さん、先任伍長・早瀬幸平役に玉木宏さん、若き水雷員・井上壮太役に奥平大兼さんが扮し、戦火に立ち向かう男たちを熱演。さらに、早瀬の妹・サチ役として當真あみさん、寺澤の妻・志津役として田中麗奈さんが、彼らの帰りを待つ家族を演じる。監督は山田敏久さん、主題歌はUruさんの「手紙」が作品を彩る。

半藤一利の教えと元乗組員との出会い
上映を終えたばかりの会場に、MC・上柳昌彦さんの呼び込みで田中麗奈さんと小滝祥平プロデューサーが登場。まず小滝プロデューサーが、本作誕生のきっかけを明かした。「『聯合艦隊司令長官 山本五十六』という映画を作った際に、原作で歴史家の半藤一利さんから、今度『雪風』という艦を勉強してごらんなさいと言われたことがきっかけです」

史実とエンターテインメントのバランスについて悩んだのではと問われると、小滝プロデューサーは半藤さんとのやり取りを振り返る。「『無知を恥じずに勝手にものを作ってはダメだ。歴史をしっかり学んで、そのうえで脚色することは構わない』と、かなり厳しくおっしゃられましたね」。その言葉を胸に、脚本家と共に国会図書館へ通い詰めたという。

脚本を作るうえで貴重だったのは、実在の元乗組員との出会いだった。「当時は海軍でも陸軍でも元兵士の方がたくさんいらっしゃったんですよ。今回現役でお会いできた方は5名でしたが」と小滝プロデューサー。また、『雪風』が幸運にも沈没を免れたことで、貴重な記録も残されていた。「最後の主計長の方が乗員の手記をお書きになって。それをお子様から見せていただいたり」。こうした手記や資料、地道な取材の積み重ねが、作品にリアリティと深みを与えている。
田中麗奈「時代が変わっても家族はやっぱり家族」
ここで田中麗奈さんも加わり、3人でのトークが展開。本作で田中さんが演じたのは、寺澤艦長(竹野内豊)の妻・志津だ。その演技について小滝プロデューサーは「最初から最後まで出ているわけではないので、250人の命を引っ張っていく寺澤艦長の妻という役をしっかりとスクリーンに焼き付けないといけない。そんな役どころをしっかりと田中さんが全うされたと思います」と絶賛。

田中さんは役作りの苦労を語る。「旦那様のお迎えの仕方だったり細かく教えていただいたんですね。環境、時代、地位などで所作が変わっていくので。(所作の先生に)武士の妻に近いかたちで佇まいをご指導していただきました」
撮影前、小滝プロデューサーから『海軍の家族 山本五十六元帥と父三和義勇と私たち』という本を借りていた田中さん。その中に描かれていた家族の日常に深く共感したという。「海軍の方の家族の様子が描かれていて。子どもたちもどんな生活をしていたんだろう、どれくらい会えないんだろう、お父さんが帰ってきたらどんなことするんだろう、というのを娘さんが日記で書かれていて。それがありありと思い浮かぶように書かれていたんです。時代が変わっても環境が変わっても、家族はやっぱり家族で。その様子を読んでホッとしました」
そして本作について「国を守るとしても、一番守りたい人は心にいて。一人ひとりの“人間”というのを映像で体現されていると思います。戦場で戦う人たちというだけではなくて、血が通った背景が見れる作品になっていると思います」と力を込めた。
「子どもたちの幸せな未来こそが国益」―本作に込められた平和への願い
小滝プロデューサーは「本当にたった80年前なんですよね。あまりに大きな悲しみがあるとその理由を考えずに忘れ去ろうとしてしまうので、この節目節目に未来がもっと豊かであったり、もっと平和であるためにと、万博を見るたびに考えてしまいます」と語る。今年は大阪・関西万博イヤーでもあり、劇中で1970年大阪万博の映像を使用したのも、未来への希望を込めてのことだという。
「このごろ、“国益”という言葉がよく使われますが、私たちが考えた“国益”というのは子どもたちの幸せな未来。これが多分“国益”なんだろうと。そのためには絶対に戦さをしてはいけない。戦さをしないように小さな力ですがこの映画を作りました」
田中さんも「身近な人と一緒に私たち幸せだなって噛みしめて見ていただければと思います。(劇中で寺澤艦長がつぶやいた)『普通がいいな』という言葉が身に沁みました。8月15日(金)に公開となりますが、夏休みなので、ぜひご家族の方と映画館に観に行っていただけたらと思います」と呼びかけた。
フォトセッション時には参加者との記念撮影も行われ、温かい雰囲気のままトークショーは終了した。


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