「順番を抜かすな、非常識だぞ!」店で怒鳴り出した父!価値観が古い自分の親。これが「老害?」【作者に聞く】

東京ウォーカー(全国版)

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混雑している寿司屋。20分経過して、イライラしてきた父。店員が人数の少ない人を優先的にカウンター席に案内すると、「俺たちよりあとに来ただろ。順番を抜かすな、非常識だぞ!」と、店員を怒鳴った。順番がきても「俺たちのほうが早く並んだのに」「お金を払うお客様に対して失礼だろ!」と不機嫌のまま。周囲から冷たい視線を浴びているのは、自分の父親だった――。今回は、作者の西野みや子(@miyakokko61)さん『わたしの親が老害なんて』を紹介するとともに話を聞く。


古い価値観のまま自分たちは正しいと主張。現代の常識とのズレに気づかない両親が煩わしい

『わたしの親が老害なんて』38画像提供:(C)西野みや子/KADOKAWA

『わたしの親が老害なんて』39画像提供:(C)西野みや子/KADOKAWA

『わたしの親が老害なんて』40画像提供:(C)西野みや子/KADOKAWA

『わたしの親が老害なんて』41画像提供:(C)西野みや子/KADOKAWA

『わたしの親が老害なんて』42画像提供:(C)西野みや子/KADOKAWA

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『わたしの親が老害なんて』45画像提供:(C)西野みや子/KADOKAWA

『わたしの親が老害なんて』46画像提供:(C)西野みや子/KADOKAWA

80代になる両親は近所に住んでいた。娘が小さいときは面倒をみてもらったり、アドバイスをくれたり、とてもありがたい存在だった。しかし、娘が巣立ち、夫婦2人の時間が当たり前になると、定期的に電話がかかってくるようになった。こだわりの買い物をさせられたり、一緒に外出すれば店でクレームを言ったり、世間とのズレに気づかず悪びれない親の代わりに栄子が謝罪することもあった。周囲から「老害」と呼ばれるのが、まさか自分の親だなんて...。

「『老害』は誰にでも潜む可能性があることを伝えたかったので、話を聞いてくれない祖父母や心配性で世話焼きな母親など、あえてどこにでもいるような登場人物にしました」と、話す作者の西野さん。元教員だった父、そして父には逆らわないけれど、昔の価値観を押し付けてくる母。主人公の栄子は夫と2人暮らし。娘の美咲は結婚し、今はスーパーでパートをしている。

「描きながらあらためて感じたのは、『老害』とは特別な誰かを指すものではなく、私たちのすぐそばにあるものだということです。年齢に関係なく、自分の価値観や経験を他人に押しつけてしまったり、異なる文化や考え方を受け入れようとしない態度が、そうした摩擦を生む原因になるのではないかと考えています」

親は古い価値観を押し付けてくる。たとえば、栄子が娘の美咲を妊娠したときは、「最低2人産むのが母親の務めだろ」と悪気なく言ってきたり、母には「仕事はいつ辞めるの?男の人は外で稼いできてくれるんだから」と早く家庭に入るよう言われた。そして、帰省した娘の美咲に対しても、「つわりでほとんど食べられない」「生ものは控えてる」という声を無視して、お寿司の出前を取り、「お祝いだから」「ちょっとくらいいいんじゃないか」と、押し通す。さらには、「染めた髪は、赤ちゃんに悪い影響があるんじゃない?」と言い出して、美咲の生き方を否定。

まさに、「自分の親も当てはまるところがある」「こういう老人を見かけたことがある」「主人公に関してもどこか自分と重なることがある」そんなどこにでもいるような、ある家族が直面する親との価値観の違いが描かれる。

「私が今まで生きてきて『女性の生き方』『子育ての仕方』などの古い価値観に直面することが多くありました。私は妊娠中につわりがひどく、ファストフードを少量しか食べられなかったのですが、相手に悪気はないものの『2人分食べないと』と言われるのがプレッシャーでした。無痛分娩を視野に入れていましたが、出産の痛みはみんなが通った道だからと女性陣から反対を受けました。子どもが生まれて漫画家として活動し始めたにもかかわらず『旦那さんは仕事があるから母親が家事育児をしないと』言われたことがあります」と西野さん。

「作中でも祖父母の『つわりへの対応』や『母親はキャリアよりも育児を優先すべき』という考えが孫の美咲に及びます。娘の栄子も自分は美咲の味方だと思っているのですが、長年両親から言われていたことが無意識に体に染み込んでいることがわかると思います。そういった、私が体験してきた親世代やその上の世代から言われて感じた違和感を多く描いているので、注目していただけるとうれしいです」

「『老害』という言葉はインパクトが強く、軽々しく使うべきではないと私も思います。でも、その実態は特別なことではなく、私たちの身近な人、そして自分自身にも起こりうるものです。この作品を通じて、『老害』とされる人たちの背景や、なぜそうなってしまったのかを知ることで、私たちもまた同じ道を歩まないように、自省するきっかけになればうれしいです」


取材協力:西野みや子(@miyakokko61)

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