玉木宏「80年前、必死に生きた人たちがいるから今の僕らがある」“幸運艦”と呼ばれた「雪風」の史実に基づく物語から考える、生きるということ

東京ウォーカー(全国版)

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太平洋戦争中に実在した駆逐艦・雪風をめぐるドラマを描く、映画『雪風 YUKIKAZE』が2025年8月15日(金)に全国公開される。雪風は敵弾をかいくぐりながら任務を果たし、必ず日本に還ってきた“幸運艦”と呼ばれた船だ。その「雪風」で、下士官や兵を束ねる先任伍長を務めた早瀬幸平役の玉木宏さんにインタビューを実施。主演の竹野内豊さんとの初共演についてや作品への思い、俳優としての生き方などを語ってくれた。

映画『雪風 YUKIKAZE』に出演する玉木宏さん撮影=大塚秀美


戦争作品に、いかに“人間らしさ”を込められるか

――竹野内さんとの初共演について、感想を教えてください。

【玉木宏】イメージ通りの方でした。とても物腰柔らかで、穏やかで本当に優しい先輩です。いつお会いしても、とても柔らかい雰囲気を身にまとった方という印象があります。

竹野内さんが演じた寺澤艦長も、すごく穏やかな役柄だったので、竹野内さんが持つ空気感とマッチしているように感じました。現場でも、竹野内さんがいるだけで場の雰囲気が穏やかになるんです。

(C)2025 Yukikaze Partners.


――『真夏のオリオン』『沈黙の艦隊』など、戦争を扱う作品に数多く出演されています。ほかのジャンルの作品と比べて、戦争映画に感じる難しさはありますか?

【玉木宏】当然、所作などの難しさはあります。ただ、映像作品なので、戦争などの時代背景があったとしても、やはり人の心の動きを作り上げて伝えることが一番だと思います。だからこそ、あまり硬いものにはしたくないなと考えていました。

撮影=大塚秀美


竹野内さんもおっしゃっていましたが、史実や教科書から伝わるものは、どうしても悲惨な出来事ばかりになってしまいます。けれど、戦時中という苦しい中でも、そこで笑ったり泣いたりしながら、生きてきた人たちがいます。

だからこそ、どんなふうに人間らしさを込められるか、常に想像しながら追求していましたし、人間ならではの心情を、できるだけ映像に込められるように演じていました。

撮影=大塚秀美

撮影=大塚秀美


――玉木さんが妹さんに向けてお手紙を書いているシーンが、朗らかな表情でとても印象的でした。演じる際にどんなことを考えていましたか?

【玉木宏】早瀬が一人きりで手紙を書くシーンは、彼が家族に伝えたい気持ちや、妹がどんな思いで読んでくれるかなということを想像しなが演じていました。

きっと、悲惨な戦禍の中でも、その瞬間だけは穏やかな気持ちで、家族に向けて手紙を書いている。そんなシーンになったかと思います。撮影中は、妹役の當真あみさんとは一度もお会いできなかったんですが。

直筆の手紙は、電子機器を通した現代的な連絡手段よりも、より思いが伝わりやすいものだと感じています。だからこそ、早瀬が家族へ向けた優しい思いが届くといいなという気持ちが、映像に色濃く映ったのかもしれません。

(C)2025 Yukikaze Partners.


――そういった家族愛が描かれていることも本作の魅力です。この作品を通して気づいた家族愛や、思いがあれば教えていただきたいです。

【玉木宏】戦後80年と聞くと遠い昔の出来事のように感じますが、僕の祖父も戦争に行って、シベリアに抑留されたこともあったそうなんです。実際に戦争が起こっていた80年前の時代に、必死に生きた人たちがいるからこそ、今の僕らがあるわけで…。

そこでもし祖父が命を落としていたら、僕は今ここにいないので、先人たちが命をつないでくれたからこそ今があるんだなと、しみじみと感じます。

僕自身も親になり、子につないでいかなければならないものがたくさんあると思っています。こうやってつながっている家族がいるということは、当たり前のように見えて本当にありがたいことで、奇跡なのだとあらためて感じました。

(C)2025 Yukikaze Partners.


一生涯、俳優として生きざまを見せていきたい

――玉木さんが演じる早瀬の言葉や生きざまを見て、竹野内さん演じる寺澤艦長も気持ちが変わっていったようにお見受けしました。玉木さんご自身も、誰かの言葉や生きざまに心を動かされた経験があれば、教えていただきたいです。

【玉木宏】特定のどなたかというよりは、俳優の先輩方です。演技の経験もないままこの世界に飛び込んで、現場で見よう見まねでやってみる中で、先輩のアドバイスや演技、生きざまには何度も心を動かされました。先輩たちの姿を見て常に何かを受け取っていたし、今でも受け取るものがたくさんあると感じます。

年齢を重ねるごとに生きざまが演技に反映されていくのも、俳優という職業ならではだと思います。きっと自分が見てきたものが自然と表れると思いますし、何を経験したかが、きっとプラスアルファになっていく。

俳優には定年がないので、命が尽きる直前まで演じている先輩方をたくさん見てきました。僕も一生涯この仕事だと感じているので、先輩方のように生きざまをずっと見せていきたいですね。

(C)2025 Yukikaze Partners.


――玉木さんが多趣味なのは、演技に反映されるような、さまざまな経験をしたいといったこともあるのでしょうか?

【玉木宏】それはずっと思っています。 俳優ということだけではなくて、常に何かをインプットしている方が刺激にもなるし、それがまたアウトプットにつながるというか。

もともと休日に家で寝ていられないタイプではありますが、この仕事を始めてから、何かを吸収したいという思いがより強まった気がします。

撮影=大塚秀美


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