【残り1コの価値】「残り1コ」に人はどんな価値を見いだす?残り1コのパン屋に来た客の反応を描いた深い話【作者に訊く】
東京ウォーカー(全国版)
「残り1コです」、そう言われると人はどう思うだろうか?「1コ残っていてラッキー!」と喜ぶ?それとも「ほかの人が買わなかった残り物かよ」とネガティブに捉える…?今回紹介する漫画は、そんな『のこり1コの価値』を描いた深い話である。
あるところに知る人ぞ知るおいしいパン屋さんがあった。しかし、このパン屋さんは少し変わっていて、いつ行っても売っているパンの数は「残り1コ」。店主のおじいさんはお客さんが訪れる度に「残り1コです」と最後のパンを販売し、何を言われても追加でパンを焼くことはない。そんな風変わりなパン屋さんを舞台に、訪れるお客さんの反応を描いたのが本作『のこり1コの価値』である。
読者からは「商売戦略としたらかなりの知将」「おじいさん策士だわ」「マーケティングのプロ!」と店主のおじいさんを称賛する声も。本作『のこり1コの価値』を描いたのは、紅月陽(@RedSunCat)さんである。紅月陽さんはこれまでアニメーターとして数々の有名アニメ作品に携わり、その後ゲーム会社のアートディレクターやイラストレーターとして活躍。映画『娼年』の画コンテや、同じく映画『星の子』の作中で主人公が日記帳に描く似顔絵などを担当。そのほか、米津玄師さんの楽曲『砂の惑星』のミュージックビデオの作画や、アドベンチャーゲーム『因果応報マーダラスプラザ』のオープニングのアニメ監督などを手がけてきた。
そんな紅月陽さんに本作について話を聞いてみた。
――「のこり1コの価値」という着眼点がとてもおもしろい作品でした!
昔、何かの本で読んだことがあるんです。「価値とは場所によって変わるものだ。例えば、1本100円の水が1万円で売れることもある。日本では無理だとしても、例えば砂漠で水が一滴もない場所だったらどうだろうか?」みたいな話でした。常識とは社会生活の中で植えつけられていくものです。だから常識を取っ払って試行してみたのが、今回の作品です。
――本作に込めた想いについて教えてください。
作品の意図はちょっと違うかもしれませんが、「今その居場所で自分の価値を理解してくれないと感じるのであれば、自分の価値を理解してくれる場所に移動するのは正しいことだと私は思います。それは逃げとは違う」というのをこのインタビューを見てくれている方には伝えられたらなと思います。
――読者から「おじいさん策士」などの声のほかにも、「おじいちゃん怖…」「余生を楽しんでそうだなぁ」など、人それぞれの感想が届いていましたね。読者の反響についてどう感じましたか?
ありがとうございます。コメントをいただけるのは反響が大きいからなので、素直にうれしいです!私は漫画とは想像力だと思っているので、漫画をきっかけにいろいろな思考をしていただけるなら、本望です。漫画を読み終わったあとに、何か心に残せるような漫画を描きたいなとずっと思っていたので!
漫画を読める人は想像力もある人だと思うので、いろんなことを多面的に考えてもらえるといいなと思います。優しさとは想像力から生まれますから。
現在は兼業漫画家へと活動の場を広げている紅月陽さん。2025年4月に発行された雑誌『HONKOWA』の霊障ファイル『幽界からの警告』特集で、エッセイ漫画『カラフル☆スピリチュアル~共感覚で視える世界~』が掲載されたり、2024年に学研から出版された学校書籍漫画に携わるなどパラレルクリエイターとして活躍は多岐にわたる。「本格的に漫画を描き始めたのは30歳を過ぎてからです」と言う彼女だが、描きはじめてほどなく、集英社主催の「マンガMee新人賞」やぶんか社主催の「マンガよもんが新人賞」など数々の賞を受賞している。本作を読んで興味を持った人は、彼女のほかの作品もぜひ読んでみてほしい!
取材協力:紅月陽(@RedSunCat)
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